注目エリア「春日」駅直結の再開発が完成目前、その価値を徹底検証!
文京区に位置する春日駅は、2019年に隣接する後楽園駅前で通り魔事件がありましたが、東京23区内でも犯罪件数がもっとも低い区であり、東京大学を筆頭に、名門といわれる公立校がいくつかり、ファミリー層に非常に人気があります。
さらに、春日駅に直結する形で、春日・後楽園駅前地区市街地再開発『文京ガーデン』が北街区、南街区、西街区に分かれて現在進行しており、21年11月に完了予定です。
そして、SUUMOが発表した『SUUMO住民に愛されている街ランキング2020 関東版』では、春日は27位にランクインしています。
また、20年月3月に地域密着系都市型エンターテイメント番組『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)で、春日駅の住所である「本郷」が特集されました。
1位に取り上げられたのは、日本の頭脳が結集した本郷のシンボル的存在「東京大学」でした。
そんな春日駅周辺は、明治時代から武家屋敷や幕府の領地が次々と教育機関の敷地へと形を変えていった歴史があり、現在も、東京都の中で「教育熱」が突出していると言われています。
この記事では、実際に現地を見て、春日駅周辺の利便性や将来性、街の特徴について可能な限り定量的に不動産を購入する観点から詳しく解説していきます。
マンション等春日駅周辺の不動産購入を検討している方は最後まで読み、参考にしてみてください。
まず、後楽園駅や水道橋駅と春日駅を年収別世帯数の割合で比較してみました。
春日駅は3駅の中で年収300万~500万の割合が最も高く、全体の25%近くを占めています。また1,000万以上の割合もおよそ、20%と高いことがわかりました。
以上のことから、ほかの地域と比較して、中堅層と比較的余裕のある世帯に好まれる地域だと言えます。
●1-1.「春日」と「後楽園」、どちらも徳川将軍家と関わりの深い地名
「春日」という地名は、三代将軍家光の乳母・春日局の領地に由来しています。
また、「後楽園」は水戸徳川家上屋敷の庭園が由来となっていて、その上屋敷跡の東半分が現在の「東京ドームシティ」です。
●1-2.都内屈指の教育熱を誇る文京区の中心エリア
東京都教育委員会の資料によると、文京区の公立小学校卒業生で私立中学校に進学した生徒の割合は46.1%であり、23区の中で最も高い数字です。
つまり、文京区では2人に1人以上が中学受験する環境にあるということです。
春日はそんな文京区の中でも中心エリアのため、老舗の中学受験塾などさまざまな塾があり受験熱を後押ししています。
●1-3.4路線利用可能!文京区随一の交通利便性
三田線と大江戸線を利用できる「春日駅」ですが、丸の内線と南北線を利用できる「後楽園駅」と接続しており、合計で4路線の利用が可能です。また、「本郷三丁目駅」や「水道橋駅」、「飯田橋駅」も徒歩圏内と非常に利便性の高い場所だと思います。
「東京ドーム」が近いため、コンサートやイベントの日には人が殺到し、治安の面で不安に感じる人もいるかもしれません。そこで、春日駅周辺を管轄している富坂警察署が発表した『過去5年間の刑法犯の推移』のデータを確認します。
データによると、過去5年間で発生した犯罪件数は減少していました。特に、コロナ自粛が多かった2020年には大きく減少しています。
春日駅周辺は、文京区の防犯対策を推進する地区に指定され、パトロールなどが強化されています。
3.春日駅直結の再開発「文京ガーデン」、西街区、北街区は竣工!南街区も2021年11月に完成予定
2018年「春日・後楽園駅前地区市街地再開発」の正式名称が「文京ガーデン」に決定しました。「文京ガーデン」は住宅・オフィス・店舗などからなる複合施設で、地下鉄4路線の各駅とも接続します。
北街区、南街区、西街区に分かれて開発され、西街区は18年5月に、北街区は20年3月に完成し、南街区も21年11月に完成予定です。施設中央には緑豊かなオープンスペース『グリーンバレー』が整備され、憩いの場になることが期待されています。
このように、春日駅周辺は駅直結の再開発がもうすぐ完成し、より快適に、より利便性がアップする街として期待されています。
しかし、不動産購入を検討するには、さらに詳しく将来的な価値を見極める必要があります。そこで、それぞれのデータをもとに詳しく確認していきます。
●4-1.春日駅周辺の世帯数の比較
上記のグラフは、「春日駅」と「後楽園駅」、「水道橋駅」の世帯数配分の比較です。春日駅は、他の駅と比べ、4人以上のファミリー世帯が若干多い傾向にあります。昔からファミリー層に根強い人気がありましたが、今もその傾向が続いているようです。
●4-2.春日駅周辺の人口予測
次に、各駅徒歩15分圏内の人口推計のデータを見てみます。上記のグラフは「国土数値情報(H30国政局推計)/国土交通省」のデータを国際航業が編集・加工した情報を元にグラフにしたものです。
2045年から減少に転じると予想されていますが、春日駅の40年までの人口増加予想数は7,558人となっています。ちなみに、後楽園駅や水道橋駅も同じような人口推移が予想されており、周辺の住宅市況は今後も手堅く推移しそうです。
上記は、文京区「町丁別世帯・人口」を基に、過去10年間の文京区全体の人口推移をグラフにしたものです。
データによると、2020年までは人口が上昇していましたが、21年は減少しています。しかし、280人の減少と大幅なものではないので、今後大きく減少するといった心配はないように思いますが、数値を注視することは必要です。
●4-3.交通機関の乗車率から見る利便性
東京都交通局が発表している『各駅の乗車人員』のデータを基に、「春日駅」を利用する乗降客数の推移を考察していきます。
データによると、「春日駅(都営三田線・大江戸線)」の乗降客数に大幅な減少は見られませんでした。特に、「春日駅」は2004年以降増えており、再開発の進行とともに、「水道橋」駅からの引き離しを図っているように見えます。
●4-4.春日駅周辺の地価を考察
春日駅周辺の地価を確認していきます。以下のグラフは、商業地域に区分されている『文京5-25(春日駅)』と、住宅地に区分されている『文京区-2(文京区西片1-11-5)』、近隣の場所を含めた3地点のデータを基に、2011年から21年までの価格をまとめたものです。
4-4-1.商業地『文京5-25(春日駅)』について
アベノミクス効果が出た2014年から、地価が上がり、20年まで増加しています。なお、11年から21年にかけて、59万円/平方メートル(約56%)増加しています。
4-4-2.住宅地『文京区-2(文京区西片1-11-5)』について
住宅地も徐々に地価が上昇し、11年から21年にかけて26万円/平方メートル(約30%)増加していました。
●4-5.春日の中古マンションの価格推移
4-5-1.マンション等住宅価格の推移
新駅の開発が進み、人口や地価が上昇している春日駅周辺に建つ中古マンションの価格推移をライフルホームズが発表している『住まいのインデックス』のデータを基に確認します。
まずは、下記のグラフをご覧ください。こちらは、2010年からの春日駅周辺の中古マンションの価格をまとめたものです。
上記のグラフによると、現在、春日駅周辺に建つ中古マンションの価格は上昇傾向です。直近の3年間を見ると11%程度上昇しています。
一方で、土地価格が19年末からコロナウイルスの影響やウッドショックに伴う下降があり、少し気になるところです。ただ、大きなトレンドは変わらず、今後も安定的に推移していくものと思われます。
4-5-2.ファミリー向けマンションの価格まとめ
このように堅調に推移している春日駅の住宅価格ですが、さらにいくつかのマンションサイトを参考に、一般的なファミリー向けマンションの価格を調べてみました。一旦、ざっくり知るために築年数や最寄り駅までの距離は考慮外としています。
まず、大手仲介サイトであるホームズでは、直近3カ月間に募集を開始された物件を基に平均価格を出しており、70平方メートル前後の中古マンションの平均価格は6,591万円(311万円/坪)でした。次に、新築マンションの相場に強い、マンションエンジンでは、平均価格1億2,078万円(570万円/坪)でした。
他にも、国土交通省の売買データを基に価格や相場を教えてくれるウチノカチでは、平均価格6,640万円(314万円/坪)でした。最後に、AIを使った評価で業界を引っ張っているソニー不動産は平均価格6,814万円(322万円/坪)でした。ちなみに、どの相場も21年11月時点の数字です。
上記を参考に、マンションエンジンの新築価格とその他3つのサイトの平均価格(6,682万円)を単純に比較すると、中古マンションと新築では、約81%もの乖離がありました。
他の地域も同様ですが、将来の家族構成や職場の変化などマンションの再販を踏まえ、個人的にねらい目だと思う、築10年程度の中古マンションを賢く購入する方が万が一のことを考え、安心だと思います。
●5-1. 地震情報サイト『JIS』が発表した『東京都文京区・地域別危険度』
春日1丁目~2丁目までを確認すると、どちらも危険度は低いことがわかります。また、より地盤の揺れに対し危険度が低い場所は春日1丁目です。
1丁目に比べ、2丁目は建物倒壊危険度3452位、1.2棟/ha、火災危険度3286位、0.07棟/haと、どちらも少し危険度が上がります。
●5-2. 文京区の「水害ハザードマップ」や対策
春日駅周辺の春日1丁目、2丁目は0.1~1.0mの浸水被害が予想される場所が多少確認できますが、そこまで深刻な被害にはならないように思います。
しかし、隣接する後楽園1丁目、2丁目、水道橋1丁目、2丁目には神田川が流れ、3.0~5.0mの浸水被害が予想されている場所があるため、この付近を避けて不動産を購入することをおすすめします。
日本有数の国公立・私立学校が集まり、史跡も多く残る「春日」。
2021年11月には、区役所が入る文京シビックセンターの北側に「春日・後楽園駅前地区市街地再開発『文京ガーデン』」が完成予定です。
緑豊かな広場空間を確保しながら、住宅・商業・業務ビルが建設されます。また、地下鉄4路線の各駅へも接続し、利便性アップは間違いありません。
子育て支援施設の誘致も進められ、子育てファミリーにはうれしい施設もできます。そうなれば、土地の価値は今より上昇することが期待できます。
一方、最近のゲリラ豪雨から水害に関しては神田川付近への注意が必要です。