「持ち家が狭い。いま家って買ってもOKですか?」和泉昭子編【オトナLab.】vol.5

画像はこちらから( https://otonasalone.jp/257063/ )

短期連載、【オトナLab.】vol.5です!

オトナ世代特有の多岐に渡るお悩みを、テレビや雑誌などで活躍するエキスパートたちが答えてくれるリレー連載。

多数の質問の中から、エキスパートが自らお答えするものをセレクトしました。

vol.5にお答えいただくのは、生活経済ジャーナリストの和泉昭子さんです。

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持ち家が手狭です。住宅高騰のいま「買い替え」をしていいんでしょうか?

(質問者/43歳・会社員・東京都)

都心部に住むワーママです。夫45歳、子ども6歳(女子)3歳(男子)の4人で、7年前に購入した約60平米のマンションに住んでいます。出産前にはじゅうぶんな広さに思えた家ですが、子どもたちにそれぞれの部屋を与えるのは難しく、売却も検討しています。

テレワークも増えたので4LDK以上の一戸建てを希望ですが、いま住むエリアでは下手をすると1億を超えるので、もう少し郊外も検討しています。ですが、子どもたちが20年以内に巣立つことも考えると、今から新たなローンを背負うのが妥当なのかも悩んでいます。

中古も視野にいれていますが、23区の外まで視野に入れても物件がかなり値上がりしてる印象です。今は住宅を買い替えるのによいときなのでしょうか?

 

家探しにまつわる「意外な課題」が明らかに? >>>> 次ページ

 

ライフステージ的にはよいタイミングだが、考えるべき課題もあります

住宅購入では2つの側面を考える必要があります。

1つはライフイベントと呼ばれる、自分や家族の人生の転換点。結婚、出産、入学、転勤、セカンドライフに入るなどですね。

もう1つは日本経済の状況。要するに、お得かどうかということです。

 

前者に関して、この方のようにお子さんが小学校に上がるタイミングでの家の購入は非常に多く、しかもお子さん同士が異性となればお部屋もそれぞれに与えてあげたほうがいいでしょうから、いまはライフステージの面からはよいタイミングだと思います。

 

いっぽう後者、経済状況で見ると、確かに現在都心一等地の新築物件価格はバブルとも言われる上昇率です。私自身、現在は家の事情で郊外に住んでいて、5年以内くらいに都心に戻るつもりでいましたが、コロナ禍による異次元の金融緩和政策で価格が驚くほど上がってしまい、思惑が外れているところです。

 

ですが、持ち家からの買い替えの場合、価格が下がるのを待っていると、今の自宅の価格も下がってしまう点にはご留意ください。新たに買うのが高い時期は、今の自宅も高く売れるということです。

 

都心部でもエリアによって値上がり率が変わります。私の友人は超人気エリアの青山近辺のマンションを探していましたが、先日渋谷にほど近いエリアに中古マンションを買いました。聞けば、港区ほどの上昇率ではなかったそうです。このように、人気でありながらぽつぽつと残っているエリアがあるので、それを探し出す価値はあります。

 

もう一つ忘れてはならないのが「ローンの金利」、どう考えればいい? >>>> 次ページ

 

今後の金利上昇、ライフステージの変化も考え合わせる必要がある

家を買うときは住宅ローンの金利動向を見ることも大切です。現在は超がつく低金利ですが、欧米では金融緩和枠の縮小が始まっており、先々の金利上昇も見えています。日本でもしばらくは低金利が続くでしょうが、今後の市場の回復に伴い金利も上がる可能性があります。

 

試算してみましょう。3,000万円のローンを期間25年で組んだ場合、現在の全期間固定型ローンの金利1.3%なら、毎月の返済額は11万8000円、総返済額は3516万円となります。

 

これに対して、もし金利が1%上昇して2.3%になると、月13.2万円、総額3948万円。金利の違いで約400万円もの差が生まれてしまいます。仮に住宅価格が400万円下がっても、金利差による返済額の違いで相殺されてしまいますから、住宅価格と金利をにらめっこしないとなりません。

 

価格が下がるのを待っている間に持ち家も古くなりますし、夫婦とも年を取るのでローン返済期間も短くなってしまいます。

 

さらに、忘れてはならないのがライフイベント上でのお子さんの教育費です。もし中学受験をするならば小学校4年から通塾が始まり、教育費の負担が重くなります。その後、高校大学を通じて教育費はピークになりますが、金利が上昇してローン返済額げ増えれば家計が相当圧迫されます。なので、今のように金利が低いうちに築浅の中古を探し、全期間固定金利型のローンで買っておくのも一方かなと思います。

 

「いま引っ越しを考える人」が知っておくべき盲点とは >>>> 次ページ

 

住宅は「消去法」では買わないで。「ここにずっと住みたい家」を探す

住宅は売買コストもかかるので、一般的には人生でそう何回も売買はしません。なので、いまこの物件は買えないからこっちにしておくというような「消去法」では選ばず、少なくとも子どもが独立するまでは住みたいエリアで、間取りに可変性がある物件を探すのがいいでしょう。

 

というのも、老後になるとまた価値観が変わり、別の環境で過ごしたくなるものなんです。手数料その他を考えれば一生一つの家に住むほうが効率的なのですが、なかなか若い時にはライフステージの変化まで見通せないんですね。

 

いま都心は高いから郊外のこのエリアで手を打ちましたといった消去法で選ぶと、住んでみたらやっぱり嫌だった、再び10年で引っ越しというようなことが起きかねません。また、子どもが独立したら細かく区切られた部屋は不便、大きくてひろびろしたスペースが欲しいということになるかもしれません。

 

ぜひ、将来のことまで見据えながら、お気に入りのエリアを探し、ライフステージの変化にも対応できるある物件を選んでください。

 

2021/11/13 12:00

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