【エリザベス女王杯】大きな潮流に乗って期待膨らむ秋の女王決定戦/長岡一也
【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆若き馬の台頭に期待したいところ
世代対決にも関心が高まるエリザベス女王杯だが、勝つのは4歳馬が多く、次いで3歳、5歳となっている。当然と言えば当然だが、レースに興趣を添えるのは若い馬の台頭だ。オークス馬が脚を痛めて休養し、復帰戦の秋華賞では本領発揮までに至らず、後方一気の脚質から東京のジャパンCを目標にしているのは妥当だと思う。今年も強い3歳世代だから無事に走れたらこのユーバーレーベンは面白いだろう。
エリザベス女王杯には、これを秋華賞で破ったアカイトリノムスメが出てくる。ひと夏を越して成長した姿を見せたのは、3歳馬が成功するパターンだが、スタートがよく二の脚がつくので阪神の2200m内回りでは有利に運べる筈だ。オークスの2着馬、世代をけん引する立場にのぼっても不思議ではない。母アパパネの勝てなかったタイトルというのも、語り継ぐ出来事といえる。
ここ数年は、どこを見ても牝馬の活躍が目立っている。アーモンドアイ、リスグラシュー、クロノジェネシス、ラッキーライラックと続いた牝馬の時代は、今年に入っても健在だ。昨秋の秋華賞を6分の4の抽選で除外され無念を味わっていたレイパパレが、この春、大阪杯でコントレイル、グランアレグリアに圧勝、この4歳の秋にさらなる飛躍を期しているかと思っていたら、アメリカの競馬の祭典ブリーダーズカップで2頭の日本の牝馬が優勝するという快挙、歴史の扉が開かれたのだから凄い。
2年前のオークス馬ラヴズオンリーユーが、フィリー&メアターフを勝ったとき、そう言えば、この牝馬には、天才少女のイメージという記述があったことを思い出した。4戦全勝でオークスに勝ったが、爪の不安で秋華賞はパス、ぶっつけで臨んだエリザベス女王杯は3着だった。4歳時の昨年も3着だったのだが、その可能性を信じた関係者の思いが、5歳の秋に花開いたのだと言っていいだろう。
そしてもう1頭が、牝馬のダート頂上決戦・BCディスタフを勝ったマルシュロレーヌだ。昨秋ダートに転向した5歳馬だが、交流重賞4勝があるとはいえ国内のGIは勝っていなかった。砂競馬の本場ではと思っていたが、この勝利には大きな価値がある。海外6か国の遠征経験があり、そのうち4か国でのG1勝ちのある矢作調教師のキャリアが生んだ快挙ともいえるが、日本の牝馬がアメリカでも注目されたことは、これからの海外遠征に弾みがつくだろう。
こうした牝馬の大きな潮流に乗って、エリザベス女王杯に期待するものも大きい。3歳馬アカイトリノムスメ、4歳馬レイパパレに加え、同じ4歳のウインマリリンを加えておきたい。3歳春にミモザ賞、フローラSを勝ってオークスが2着、秋はエリザベス女王杯4着で、今年は日経賞とオールカマーを勝っている奥手のスクリーンヒーロー産駒だ。
「天高く 牝馬の時代 受け継ぐか」
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