『SUPER RICH』赤楚衛二の涙で感じた、ボロボロの自尊心を癒す魔法の言葉

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人を大人にさせるのは、誰かの力になりたいという気持ちなのかもしれない。一気に1年後へと飛んだ『SUPER RICH』第5話。そこで描かれたのは、優(赤楚衛二)の無力感と、それでも努力し続ける一途さだった。



※以下第5話、一部ネタバレあり

決死の告白を衛(江口のりこ)にスルーされた優。今の自分のままでは、衛にふさわしくない。もっと衛に認められる男になりたくて、優は海外留学に立候補する。

ということで、舞台は1年後へ。すっかり語学堪能。服装も垢抜けた優だけど、リリカ(志田未来)に「なにカッコつけてんだ、バカタレ」とツッコまれたり、衛と空(町田啓太)が付き合っているという噂を聞きつけて「えーっ!」と慌てたり、愛すべき子犬感は変わらずでひと安心。

一方、その家庭環境もより明らかになった。家業が傾き、父親(上島竜兵)は出稼ぎに。優はバイトをしながら生計を支え、家事も積極的にこなし、家庭の支柱的役割を果たしてきた。


けれど、今も実家の印刷工場の経営は火の車。母(美保純)から200万円の借金を頼み込まれるも、優にそんな大金が用意できるわけもなく、空からお金を借りることになる。「リーサルウェポン」とまで期待された『三日月モバイル』との提携計画も見通しは明るくない。優は二重の無力感を味わわされることになる。


優は、誰もが認める頑張り屋だ。だけど、なかなかその努力が実を結ばない。家は相変わらず貧乏で、仕事でも役に立てない。1年経ってもガキはガキのまま。そんな無力感に打ちひしがれる優の姿が今回はより濃く描かれていた。


空がお金を貸してくれたことはありがたい。でも、その優しさに単純に甘えたり、喜んだりすることは優にはできない。自分にはできないことが、この人にはできる。しかもそれが恋敵でもある空だから余計に苦しい。あのとき、頭を下げた優の心にあったのは、自分への不甲斐なさだろう。


だからこそ、「優くんはじゅうぶんえらいし、すごい」という衛からの全肯定の言葉が胸に刺さった。あれは、あのとき、優がいちばん誰かに言ってほしかった言葉だ。空っぽになった自尊心を、衛が満たしてくれた。

あの瞬間の赤楚衛二の表情がとても良かった。困ったように眉を寄せ、じんわり目を赤らませる。そこから「だから、泣かんといて」と言われて、「はい」と答えたあと、もう一度、噛みしめるようにうなずく。赤楚衛二は、こういう心の柔らかい場所にふれられたときのリアクションがすごく生っぽくてグッと来る。


きっと優に限らず、みんな「じゅうぶんえらいし、すごい」と言われたくて仕方ないんだと思う。毎日は困難で、その中で私たちは何とか自分の足で立って、日々を乗り越えている。でも、そのことを褒めてくれる人なんてそういなくて、どんなに頑張っても報われないことばかり。優みたいに、自分は何の役にも立てていないし、成長できていないと落ち込む日だってあるだろう。


そんなときに誰かから「じゅうぶんえらいし、すごい」と言ってもらえたら、それだけで救われる。そして、もし誰も言ってくれなかったとしても、自分で自分をそう称えられたら。「じゅうぶんえらいし、すごい」は、ボロボロの自尊心を癒す魔法の言葉だ。


「その言葉が謙遜ならいいけど、本気で言ってるなら、あの子に失礼よ。あなたについていった社員にも失礼だと思う」と聡美(松嶋菜々子)は言っていたけど、この対比となるのが「じゅうぶんえらいし、すごい」なんだと思う。卑下しなくていい。ちゃんと互いを、自分を認めよう。それが、今回描かれた「幸せのカタチ=“スーパーリッチ”」だ。


また、衛の魅力も改めて感じさせられた回だった。衛が「優くんはじゅうぶんえらいし、すごい」と言えたのは、ずっと優を見ていたからだろう。今回、衛が優を見つめるカットが何度も挟み込まれていた。衛はうれしかったのだ、頑張っている優の姿が。聡美から「目に温度がある」と言われていたけど、衛に刺激を与えたのは、理想の自分に向けて努力を重ねる優の姿だった。なぜなら、衛もまた目標のために頑張る人だから。

今のところ衛から優への矢印は、恋というより、同志と呼ぶ方がしっくり来る。ここから恋愛感情へと変わっていくのか。優からのキスは大失敗で終わった。でも、キスされるのを待つより、自分からキスしにいく方が衛らしい。愛されることに怯え、愛することに不器用な衛が、いつか愛し愛されることを受け入れられる日が来るのか。とりあえず、衛の頬を包むように両手を添えた優の指がとても綺麗だったので、誰か赤楚衛二の手形をとってきてください。


一方、今後の伏線として気になったのが、彩(菅野莉央)。妊娠を思わせる描写が何度か出てきたけど、はたしてこれは何のフラグなのか。そしてもっと気になるのが聡美だ。この人、本当にただの理解ある元上司というだけなのだろうか。もうちょっと裏がありそうに思える。いずれ『スリースターブックス』にとんでもないピンチをもたらしそうで、今いちあの笑顔を信用できない。

そして、衛に告白した優に冷たい態度をとるなど、やっぱり今吉(中村ゆり)は衛に特別な感情を抱いているように見える。このジェットコースターの次の山はいったい誰が仕掛けるだろうか。



文:横川良明


第6話あらすじ

氷河衛(江口のりこ)は宮村空(町田啓太)に抱きしめられた。ちょうどそこに、酔い潰れた碇健二(古田新太)を連れた春野優(赤楚衛二)が帰ってくる。問いただそうとする優と空は言い争いになり、衛は2人を仲裁する。優は衛に、実家のために空から金を借りた事を伝え、借金返済のため、夜間のアルバイトを始める。


そんな中、『スリースターブックス』は『三日月モバイル』への提携企画を再提出することになる。優は東海林達也(矢本悠馬)、田中リリカ(志田未来)たちと新たな企画書を森ノ宮大吾(矢野聖人)に見せるため会社に乗り込む。だが、『三日月モバイル』は専務の大河一郎(田山涼成)に牛耳られ、彼の息のかかった社員ばかり。優たちと同行した城戸密(結木滉星)は、彼らに社員たちがいる前で余計なことを話さないようにと釘を刺し…。



■木曜劇場『SUPER RICH』
毎週木曜よる10時放送
出演者:
江口のりこ、赤楚衛二、町田啓太、菅野莉央、板垣瑞生、嘉島 陸、野々村はなの、茅島みずき、矢本悠馬、志田未来、中村ゆり、戸次重幸、美保 純、古田新太、松嶋菜々子
主題歌:『ベテルギウス』優里(ソニー・ミュージックレーベルズ)

(C)フジテレビ




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