妻がコロナ失業…新婚夫妻が4畳半シェアハウス生活になった本当の原因とは?
新型コロナは多くの失業者を出すなど、“貧困パンデミック”とでも言うべき状況が生まれている。ニッポンの貧困のリアルを総力取材、今回は幸せの絶頂であるはずの新婚生活がどん底に落ちてしまった夫婦の実態から貧困問題を考える。
◆新婚夫妻の愛の巣は4畳半のシェアハウス。宅配で起死回生を狙う
「今年の初めに8万4000円のアパートを引き払い、今は夫婦で家賃5万3000円、4畳半のシェアハウスに住んでいます」
取材当日、大きなデリバリーバッグを背に現れたのは、近藤さん夫妻。結婚1年目の新婚カップルに一体なにが起こったのか。夫の翔平さん(仮名・33歳)は語る。
「昼間は工場の軽作業のバイト、空き時間にフードデリバリーをしています。僕が30万円、妻が20万円、世帯月収は50万円ほどですね」
◆すべての元凶は…
額だけ見ると、特に貧困とは思えないが……。
「すべての元凶は僕の借金です。実家は母子家庭、2年前に母親にがんが見つかり、長男の僕が治療費や入院費をすべて肩代わりしていました。月5万~6万円、多いときは30万円を仕送りしました。
恥ずかしながら高額療養費制度も利用せず、自分の生活費はクレジットカードで支払っていたのですが、初期設定がリボ払いになっていたんです……」
◆今度は妻がコロナ失業…
利子は膨れ上がり、一時利用残高は200万円にも膨れ上がった。
「慌てて借り換えをして、なんとか月7万円ずつ返済をしていくメドが立ちました。
しかし今度は妻がコロナ失業をして、家賃が払えず、シェアハウスに流れ着いたんです」
◆バイトしていた飲食店が閉店
妻の芳美さん(仮名・33歳)は語る。
「コロナでバイトしていた飲食店が立て続けに3軒、つぶれました。休業手当も受け取れていません。『明日から来なくていいよ』と一方的に言われて、職を失う立場の弱さを痛感しましたね。
その後、採用されたラーメン店では人件費削減のため、出勤日はワンオペで休憩もなし。過酷な労働で体調を崩してしまいました」
◆負の要素が雪だるま式に膨れ上がり…
親の病、マネーリテラシーの欠如、不安定な就業状況とコロナ失業……負の要素が雪だるま式に膨れ上がり、夫妻を追い詰めた。
「フードデリバリーは、解雇されないだけマシですが、一日も早く生活を立て直したいです」
今日も寒空の下、夫妻は注文を届けに走り回っている。
<取材・文/週刊SPA!編集部>
※厚生労働省の生活支援特設ホームページでは、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少し生活に困窮する方の相談を受付ている
「新型コロナウイルス感染症 生活困窮者自立支援金相談コールセンター」
0120-46-8030(受付時間9:00~17:00 平日のみ)
―[貧困パンデミック]―