映画『リスペクト』は全ての苦しみを歌で昇華していく姿に魂が震える…主演ジェニファー・ハドソンの演技が心に刺さります

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【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、ジェニファー・ハドソン主演映画『リスペクト』(2021年11月5日公開)。ソウルの女王アレサ・フランクリンの伝記映画です。

彼女の名前を聞いてピンとこなくても、楽曲を聞くとわかります。サントリー「ジムビーム」(ローラ出演)のCMで使用されて楽曲「Think」は、インパクト大でしたからね。

そのアレサを演じるのは『ドリームガールズ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したジェニファー・ハドソン。なんと生前のアリサが彼女を抜擢したのです! では、アリサ・フランクリンの波乱万丈な物語からいってみましょう。

【物語】

父親(フォレスト・ウィテカー)は牧師、母親(オードラ・マクドナルド)はゴスペルシンガーという家庭で育ったアレサ・フランクリン(ジェニファー・ハドソン)は、少女時代から抜きんでた歌唱力の持ち主でした。しかし、両親は離婚。アレサは父を尊敬していましたが、同時に恐れていました。それは父が彼女を過剰に束縛していたからです。

やがて、アレサは若くして結婚。歌手デビューも果たしますが、当初はなかなか売れませんでした。また夫のテッド(マーロン・ウェイアンズ)も父と同じように彼女を支配し、暴力を振るうことも! そんな苦しみから逃れるため、アレサはアルコールに頼り、依存症になってしまうのです。

【アレサ・フランクリンが求めた自由!】

家族の中に支配者がいると、本当に逃げられない。

アレサの少女時代が壮絶すぎて、驚きでした。まだ十代で望まぬ妊娠をしたり、結婚相手も父と同じように彼女を支配する男だったり。

なぜ暴力的で支配してくる男を選んでしまうのかと思いつつも、彼女は父を尊敬もしていたので、当時の彼女は、自分が見上げるような強い男性を求めていたのかもしれません。

抑圧された中で熱唱するアレサの歌声がものすごく刺さるのは、彼女が歌で思い切り自己表現をしていたから。それはもう心の叫びというか……。「Think」の歌詞「フリーダーム」なんてまさに! 彼女の育った環境を知れば、そう思いたくもなります。

【アレサの苦しみを駆け足で】

本作は、少女時代から成功するまで、アレサの苦労とともに成功への階段を上がっていく姿を描き、スポットライトをあびているアレサとその裏で苦しむアレサの対比は、まさに光と影のよう。単なるサクセスストーリーで終わらないところは良かったです。

が、しかし、アレサの苦しみが少々駆け足で描かれている感もあり、もう少しじっくりと彼女がドン底から這いあがってくる姿を観たかった。まあ、真実の物語は下手に脚色できないので難しいのかもしれませんが。

とはいえ、すべての苦しみを歌で昇華していく姿は凛々しく、彼女にこの声があって本当に良かった! もちろんジェニファーは歌唱シーンすべて歌っており、アレサの人生のターニングポイントなどが歌でつづられていく。

その声は、澄み渡っているけれども、決して揺るがない強さがあって素晴らしかったです!

【見ごたえある50~70年代ファッション】

この映画はファッションも素敵なんで、アレサのファッションの変遷もよくわかります。キラキラしたステージ衣装、私服ともにお洒落。鮮やかカラーからスモーキーカラーまで、とてもカラフルでファッションも一見の価値ありです。

アレサ・フランクリンは2018年に天国へと旅立ってしまいましたが、本作ではエンドロールでアレサ・フランクリン晩年の歌声を聴くことができます。これもまた良くて! 最後まで心に響く歌声を満喫していただきたいです。

執筆:斎藤 香 (c)Pouch

『リスペクト』
(2021年11月5日より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)
監督:リーズル・トミー
出演:ジェニファー・ハドソン、フォレスト・ウィテカー、マーロン・ウェイアンズ、メアリー・J. ブライジ
© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

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  • 11/10 18:45
  • Pouch

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