ユニクロの伝説的コラボ「+J」完売前に必ず買っておきたいアイテム5選

―[メンズファッションバイヤーMB]―

 メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第352回目をよろしくお願いします。

◆「+J」ラストコレクションが発売目前に

 いよいよ11月12日から発売スタート。ジル・サンダーとユニクロのラストコレクション「+J」。「デザイナーズコラボ」の草分け的存在で、発売するたびにユニクロに行列ができたり、転売市場が異常な盛り上がりを見せたりと、社会現象になり続けてきた伝説のシリーズ。

 今回がラストコレクション(と言いながらまたやるような気もしますが……)ということで、「発売日には即日完売品も多く出るのではないか?」と予想されます。そこで、今回は「MBが個人的に気になるアイテム」をお届け。まだ、実物もみていないので予想の範疇を出ませんが、持ってる情報を最大限駆使して「これはおさえておいてもいいんじゃない?」という5点をピックアップしてみました。

 なお、今回の+Jでひと儲けを狙っている転売屋さんに忠告ですが、メルカリとユニクロの協定(2021年3月に締結)が今回も生きており、発売後の過度な高額での転売は取り締まられる可能性があります。

 おとなしく手を出さないほうがいいかと思われますよ。

◆★MA-1もジル・サンダーの手にかかればモダンに

・ハイブリッドダウンオーバーサイズMA-1ブルゾン 1万2900円

 まずはメンズ今年のトレンドMA-1。

 ジルサンダー風にMA-1をモダンにアップデートしたものがこちら。ミリタリーの定番であるMA-1、細部のディテールはそのままに素材感やシルエット、中綿などを現代風に仕上げています。

 表地はポリエステルではなく、ナイロン繊維の高級品(ナイロンってポリなどほかの化繊より高いことが多いんですよ)。おそらくナイロン糸だけに硬めの素材(一般的にポリエステルなどよりもナイロンは硬くなりやすいです)、微光沢の風合いなどでPRADAあたりを想像させる仕上がりになっているかと思います。

◆中綿を使用し、真冬でも使える仕様に

「オーバーサイズ」と書いてありますが、見る限りそこまでオーバーじゃないですね。リラックスくらいのシルエットなので、大人でも使えるような落ち着いた印象です。

 また、袖には中綿を使っており、MA-1ながら真冬も使える仕様になっているのがポイント。フィルパワー640以上の高品質ダウン仕様なのでタウンユースとしては文句のない機能性のようです。

 メタルZIPを使うのがMA-1では普通ですが、こちらは黒には黒のZIP、カーキにはカーキのZIPとカラーマッチさせており、なるべくミニマルにシンプルに見せようとする意図が感じられます。

◆大人にこそ似合う品のよさ

 公式のコーディネートでもスラックスと合わせたものとなっており、品のよいMA-1として打ち出している模様。

 他ブランドではあまりみられない大人顔のMA-1で防寒性も十分、1万2900円とユニクロにしてはやや高価ですが……既存品のハイブリッドダウンが9990円ですから、そこから3000円UP。ジル・サンダーの仕事と考えると、まあ許容範囲ではないでしょうか。

 これはトレンドアイテムということもあり、人気になりそうな予感です。

◆★実は一番使える、隠れた名作

・ウールブレンド オーバーサイズシャツジャケット 1万4900円

 実は個人的に一番気になっている商品。昨年の+Jもレポートのため全型購入しましたが、最終的に一番着用したのはこのタイプでした(去年も同様のモデルが出ています)。

 薄い素材を2枚重ね合わせて美しいドレープ感を出すウールリバー素材を採用。縫い合わせの糸などが見えない仕様で、ワーク風のカバーオールデザインながら素材もディテールもドレスライクでまさに「大人カジュアル」。

◆スラックスとも好相性

 コートの素材で大人顔なのでデニムと合わせても崩しすぎにならず、カバーオールデザインなのでスラックスと合わせてもビジネス風にキメすぎにならない。このハイブリッドなバランスは使いやすさMAXです。

 そんなに人気あるアイテムじゃないはずなので、おそらく余裕で買えると思います。

 MA-1などと比べるとキャッチーなデザインではないし、公式もさほど打ち出していないので隠れた名作アイテムですよ。

◆★ジル・サンダーが以前から使っていた究極の素材

・ウールブレンド オーバーサイズピーコート 2万5900円

 トレンド的に徐々に復活の兆しを見せているピーコート。近年、少しずつ展開し出すブランドが増えてきた印象です。ジル・サンダーは元々ピーコート好きなイメージがありましたが、今回の+Jでも展開。定番的なピーコートデザインをビッグサイズのシルエットで崩したイメージになっています。

 注目すべきは素材です。ジル・サンダーが自身のブランド「ジルサンダー」でも使っていた究極のウール素材「NIKKE社」のものを採用しています。ジルが「ジル・サンダー」を手がけていた時代にNIKKEにコートやジャケットの素材を任せていました。現存するデザイナーの中で「ウール素材」へのこだわりは指折りのジル・サンダー、そんな彼女が行き着いたのは日本の毛織物素材だったのです。

◆ラグジュアリーブランドから高い評価

 NIKKEは元々制服や軍服などユニフォームの素材作りを得意とするメーカー。ユニフォームや制服は「常に同じ素材」を毎年作り続けなければいけません。

 たとえば、高校の制服で1年生と3年生で学ランの「黒」やブレザーの「ネイビー」が微妙に違う色だったら困りますよね? 「まったく同じ黒」「まったく同じネイビー」を作り続けなければいけないのが制服やユニフォームの宿命ですが、これって実は大変難しいことなのです。というのも、そもそも「ウール」とは羊さんの毛ですよね? 天然素材のもので毎年まったく同じ色を出すというのがいかに難しいか、なんとなく想像できると思います。

 羊の毛は毎年当然育ち方が違うから出来も違うし、染め方も去年とまったく同じ染まり具合に調整するのも大変難易度が高い。NIKKEはこれらを長年こなしてきた極めて高い技術力を持っているのです。

 そのため、ジル・サンダー以外も例えばマルジェラやディオールなどもタキシードやジャケットにNIKKEの素材を採用することも多い。ヨーロッパのスーパーハイエンドなラグジュアリーブランドから高く評価されている日本屈指のウール素材メーカーがNIKKEなのです。

 そのため、生地単価も非常に高く、とてもユニクロのような価格帯で採用されるような素材じゃありません。今回は面積の広い、要尺を使うオーバーサイズのピーコートでも贅沢にNIKKE素材を採用しています。ただ、残念なのが高級な表地に対して裏地がおざなりなように写真では見えるので、ここだけ不安ポイントですが……。

 高級ウールを使った本格ピーコート。裏地など見る限り、細かい完成度までは追いかけられていないようですが、それでも一見の価値はありそうです。

◆★かなり高価だけど、モノはよさそう

・メリノブレンドニットポロシャツ(長袖) 5990円

 既存ラインで展開されているメリノウールは光沢があるけれどちょっと薄手すぎて冬に使えない。そこで、こちらはメリノ「ブレンド」。メリノの光沢感は生かしつつ生地に肉感をつけたのがこちら。

 通常のユニクロで展開されているものよりも防寒性が高く、光沢感は維持したままというのがウリでしょう。

◆ネックは既存ラインとの価格差

 ニットのポロシャツはここ数年で人気があり、通常のクルーやVよりも品があり1枚でサマになる。デザインやシルエットも凝っており、裾や袖先などはあえて絞らずカットソーライクな美しいシルエットで楽しめます。

 ただ、値段が既存ラインと比べてかなり高いので、この価格を許せるかどうかがポイントですが……。

◆★「あれ、もうセールにかかってる?」と思いきや……

・スーピマコットンレギュラーフィットシャツ(長袖) 2990円

 最後はシャツ。「あれ? これセール価格になっている……?」と思った方は大正解。今年の春モデルで、セールになっています。

 というのも実は+Jのシャツは毎年毎シーズン大して変化がありません。わずかなデザインの変化はあるものの「ベーシックデザイン、スーピマ素材の高級感」がウリなのは恒例なので、変わらないんだったらセールにかかってる春夏品でいいじゃないかという。

◆問題点はシワになりやすさ

 春夏と秋冬でシャツに関しては素材も分けていないので、だったらベーシックで着回しがきき、かつセールになっているこれがおすすめです。なんとまだ在庫もあるのでお見逃しなく。

 ただし、+Jのシャツって素材感もいいし、シルエットもいいんだけど、イージーケアじゃないのが玉にキズ。シワがつきやすいので、アイロンをかける必要があるんですよね。これがかなり面倒くさい……。

 以上、+Jのおすすめ予想でした! ぜひお見逃しなく!

―[メンズファッションバイヤーMB]―

【MB】

ファッションバイヤー。最新刊『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』ほか関連書籍が累計100万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

2021/11/10 8:54

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