「三代目 J SOUL BROTHERS」が今日で11周年!鮮烈デビュー、ランニングマン…奇跡の物語を振り返る

 本日2021年11月10日、「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」(以下、三代目JSB)がデビューから11周年を迎え、ベストアルバム&ニューアルバム『BEST BROTHERS / THIS IS JSB』がリリースされた。

 LDHのモットーである「Love」「Dream」「Happiness」を文字通り体現するダンス&ヴォーカルグループ、三代目JSBのデビュー記念日に、「LDH」と「イケメン」をこよなく愛する筆者・加賀谷健が、これまでの輝かしいその足跡を前・中・後編で振り返る。

 前編では、大躍進の2012年から、2014年『R.Y.U.S.E.I.』での大ブレイクを経て、初の単独ドームツアー大成功までの物語を辿る。

◆紅白初出場を飾った2012年からの“MIRACLE”!

 三代目JSBは、LDHのレジェンドHIROからメンバー選びを託されたEXILE NAOTOと小林直己を筆頭に、パフォーマーオーディションを経たELLY、山下健二郎、岩田剛典に、『EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 2 ~夢を持った若者達へ~』最終審査を合格した今市隆二と登坂広臣をヴォーカルとして結成された。

 今市と登坂がオーディションに合格した2010年9月15日の翌週にはレコーディングが行なわれ、2010年11月10日には、音楽プロデューサー松尾潔による1stシングル「Best Friend’s Girl」で早くもメジャーデビューという怒濤の勢いだった。

 三代目JSBが年末恒例の「NHK紅白歌合戦」(第63回)に初出場したのは、2012年、デビュー2年目のことだった。

 この大舞台でグループが披露したのが、「第54回日本レコード大賞」優秀作品賞を受賞した7thシングル『0~ZERO~』のリード曲「花火」。印象的なイントロから小竹正人による歌詞の美しさが滲むこの曲は、三代目JSBを一躍トップアーティストに押し上げた記念碑的な一曲だ。

 翌年、元日にリリースされた3rdアルバム『MIRACLE』(2013)では、初詣的な祈願が込められる。メンバーのその想いが届いたのか、デビューから初めてオリコン週間アルバムランキングで1位に輝く「奇跡」を起こした。

◆名ポップス・カヴァーの表現性

『MIRACLE』は、「花火」を含む代表的なシングルトラックから構成されており、14曲目には、ボーナストラックとして、「フォー・シーズンズ」のリードヴォーカルだったフランキー・ヴァリの大ヒットソロ曲「君の瞳に恋してる-Can’t Take My Eyes Off You-」が収録され、ピアノ前奏から転じて三代目JSBらしいストロングなサウンドが鳴り響き、今市と登坂による高音域がこの名ポップスを見事にアレンジ・カヴァー。

 筆者の私見だが、カヴァー曲でこそ、そのアーティストの才能が発揮されると思う。古くは、ブルース・ロックの伝説的ギタリストであるエリック・クラプトンが先人たちによる名ブルース・ナンバーを自家薬籠中のものにするカヴァーの達人であったり、最近のJPOP界隈でも「魔法の絨毯」(2018)でブレイクした川崎鷹也は、おそらくどんなポップスにもマッチする魔法の声の持ち主だろう。

 いずれにしても、『MIRACLE』の最終トラックにこのカヴァー曲を持って来たのは、洋楽志向の三代目JSBにとっては効果的で、表現性の高いカヴァー・ナンバーとなった。さらに紅白出場以来、“MIRACLE”続きの三代目JSBにとってはポジティブで粋なセレクションだったように思う。

◆「R.Y.U.S.E.I.」大ヒットで国民的スターに

 2014年、三代目JSB最初の大ブレイク作「R.Y.U.S.E.I.」の衝撃はいまだに忘れがたい。2014年は1年を通じて四季をコンセプトにシングルリリースしていたが、その“春夏秋冬シリーズ”の第2弾として6月25日にリリースされた13rdシングルである「R.Y.U.S.E.I.」は、パフォーマーのELLY考案の「ランニングマン」のステップがキャッチーで、大ブレイク。

 メンバー7人が間奏で揃って踊るランニングマンのステップを初めて見たとき、あの決めポーズはいったいどこを指差しているのか気になって仕方なく、このグループの情熱に震えた覚えがある。

 その感動は、ヴォーカルとパフォーマー(ダンサー)が同列の関係性で一丸となるダンス&ヴォーカルグループを育て上げ、そのスタイルをスタンダードにまで押し上げたHIROの精神を三代目JSBが脈々と継承しながら、グループの表現性をカタチにしていたからだ。

 こうしたキャッチーでいて表現性の高い「R.Y.U.S.E.I」は、「第56回日本レコード大賞」を受賞。この曲を引っ提げて、3年連続で「第65回紅白歌合戦」に出場を果たし、国民的スターの地位を不動のものにするのだった。

◆ミリオンヒット記録の『PLANET SEVEN』

「R.Y.U.S.E.I.」の大ヒットで、ランニングマンのキャッチーなインパクトとEDM調のサウンドが三代目JSBを強くイメージ付けたが、2015年1月28日にリリースした5thアルバム『PLANET SEVEN』のリード曲「Eeny, meeny, miny, moe!」は、そうしたイメージに捕われないフレキシブルな表現性を示した。

「欲しいのは 平凡な日々じゃない ほかにない 自分だけのスタイル 見つけ 壊れないように 磨きあげろ」

 Bメロの歌詞には、まさに三代目JSBが現状に満足せずに新たな表現性を追求する意志が読み込まれていると解釈すべきだろう。MVを見ると、7人それぞれがひとつのボックス部屋に配置され、順番にスポットが当てられる。全員が揃ってスタンドマイクの前でパフォーマンスする姿からは、さらなる躍進の意気込みが伝わってくる。

『PLANET SEVEN』にはヴォーカル二人の作詞挑戦曲「All LOVE」(今市)、「Link」(登坂)が収録されており、その後の二人のソロデビューをも予感させる。一方で、5人のパフォーマーもそれぞれの得意とするダンスジャンルで最高にクールな表現性を発揮し、ダンス&ヴォーカルグループとしての底力をこれでもかと見せつけ、『PLANET SEVEN』はミリオンヒットを記録した(これまた“MIRACLE”!)。

◆『Born in the EXILE ~三代目 J Soul Brothersの奇跡~』の感動

 そしてこの2015年、三代目JSBは初の単独ドームツアー「三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2015 “BLUE PLANET”」を行い、約120万人もの観客を動員。9月2日リリースの19thシングル『Unfair World』表題曲が「第57回日本レコード大賞」を受賞し、昨年に続き2年連続受賞の快挙を成し遂げる。

 三代目JSBにとって初の長編ドキュメンタリー映画『Born in the EXILE ~三代目 J Soul Brothersの奇跡~』(2016)は、そんな“パーフェクトイヤー”を追った貴重な記録だ。

 今市と登坂の作詞による主題歌「Born in the EXILE」の歌詞にそっと耳を澄ませると、ソウルフルに歌われる「魂(いのち)の歌声が… 愛をありがとう 夢をありがとう」の箇所に「LDH愛」、そして何より「EXILE魂」を感じて、思わずホロリと来てしまう。

「僕らは此処で生まれた 僕らは此処で生きてく」と歌詞は続く。2010年11月10日のデビュー以来、この想いに変わりはないだろう。「EXILE魂」を改めて再確認し、強い精神性で結びついた三代目JSBの「ドリーム・ストーリー」はまだ序章に過ぎない。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。

ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」や「映画board」他寄稿中。日本大学映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

2021/11/10 8:45

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