170回の化学療法を受けた男性、第1子を自然に授かる「同じ病気の人の希望になれば」と笑顔(英)

英ウェスト・ミッドランズのソリフルに住むジョナサン・ジョーンズさん(Jonathan Jones、32)は2007年、17歳の時に脳腫瘍の一種である「乏突起膠腫」と診断された。

ジョナサンさんは以後、170回の化学療法を受けており、医師に「将来子供を持つことは難しいかもしれない」と言われて10代のうちに精子を冷凍保存した。

そんなジョナサンさんが運命の女性ダニエル・テイラーさん(Danielle Taylor、31)に出会ったのは2019年のことで、バーミンガムのバーで一目惚れしたという。

ジョナサンさんは「僕は20代で一度結婚していて、10年を共にした女性と離婚したばかりだった。ダニエルはそれまで付き合った人とは全く違うタイプで、僕はすぐに夢中になった」と当時を振り返ると、ダニエルさんも「ジョナサンとはすぐに恋に落ちたの」と語り、こう続けた。

「実はジョナサンが脳腫瘍のことを話してくれたことがあってね。彼は別れを覚悟していたようだけど、私はその時『もっと彼のことが知りたい』って思った。彼こそ運命の人だって感じたの。」

こうして2人が出会ってから5か月後、ダニエルさんは思いがけず妊娠したものの流産してしまった。しかしその6か月後、2人が体外受精について話し合いを始めた矢先に自然妊娠し、今年5月8日にJJ君が誕生したのだった。

ジョナサンさんは「僕はいつか父親になりたいと思っていたけど、自然妊娠の確率は低いと思っていた。JJは奇跡の子。このニュースで同じ治療を受ける人たちをインスパイアできれば嬉しいね」と喜びを露わにし、自身の病気との闘いについて次のように明かした。

「僕は幼い頃から学校ではよくトラブルを起こしていて、母に心配ばかりかけていた。問題行動で5つの学校を辞めさせられて、ティーンエイジャーになると警察ともトラブルを起こした。」

「そして高校を卒業したことを祝う旅行に行った直後、頭痛が酷くてベッドから起き上がれなくなってしまった。何度も病院に行ったけど医師には『二日酔いか何かのウイルスに感染したのでしょう』と言われるばかりでね。僕の家族は酷く怒っていたよ。」

「そして2007年7月末のこと、母が体調が優れない僕をみかねて病院に連れて行き、医師に『脳のスキャンをして欲しい』とお願いしたんだ。医師は僕の目を診るなり部屋を走って出て行って、至急MRI検査をするように指示していた。それから1時間も経たないうちに、僕の脳の左側頭葉にオレンジ大の腫瘍があることが判明し、大学病院での手術が決まったんだ。」

「外科医は予定されていた手術をキャンセルし、僕の手術が優先された。母は『手術中に死亡する可能性は30%』と言われたようだけど手術は成功し、98%の腫瘍が摘出されたんだ。医師には『あと2週間遅かったら死んでいた』と言われたよ。」

ジョナサンさんはグリオーマ(神経膠腫)と呼ばれる脳腫瘍の一種「乏突起膠腫」という病気で、側頭葉に腫瘍ができると人格が変わったり記憶や行動に影響が出るという。「今思えば5、6歳の頃から僕の脳には腫瘍があったんだと思う」と語るジョナサンさん。今年は化学療法をはじめてから14年目になり、現在は4週間のサイクルで治療を受けているものの、ゆくゆくは6週間になる予定だそうだ。

ジョナサンさんは現在、脳腫瘍の研究への資金提供や認識の向上、家族や患者のサポートをするチャリティ団体で活動しており、自身の診断が遅れたことに触れ「一般医は脳腫瘍の症状についてしっかりと勉強して欲しいね」と語ると、こう述べた。

「僕はJJの誕生を心から喜んでいるよ。世界中の人々に希望を与えることができるしね。それに来年あたり、もう1人子供が欲しいと思っているんだ!」

画像は『The Sun 2021年11月7日付「‘ABSOLUTE MIRACLE’ Dad’s joy at becoming a father after 170 rounds of chemotherapy」(Credit: Triangle News)』『Metro 2021年11月8日付「Man who has had 170 rounds of chemo and was told he couldn’t be a dad welcomes first baby」(Picture: Triangle News)』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 A.C.)

2021/11/10 6:00

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます