ドランクドラゴン・塚地武雅インタビュー「ネタも芝居も、現場で撮ったものを皆さんに見てもらうという点で、僕の中では一緒」

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 僕は、20代で「ドランクドラゴン」というお笑いコンビを結成して以来、これまで皆さんに笑っていただくお仕事をやらせてもらっています。その一方、30歳を過ぎた頃からは、映画やドラマで役者のお仕事もいただくようになりました。

 芸人と役者――現場に向かうときの気持ちは、どちらも同じ。「さぁ、今日は役者だからスイッチを切り替えて……」なんてことは全然ないんですよ。準備の違いこそありますが、バラエティ番組でトークする日も、コンビでネタをやる日も、お芝居をする日も、現場で撮っていただいたものを皆さんに見てもらうという点では、僕の中で一緒です。

 でも、“演じる”ことへのアプローチは、ちょっと違うかもしれません。コントでは、いろいろなキャラクターを“こんなヤツおったらオモロイ”と思って演じるから、自分自身からできるだけ遠く離したい。一方、ドラマや映画の場合は、演じる役柄をどれだけ自分自身に近づけられるか。やっぱり“リアルさ”が必要になりますから、脚本を読んで、その役柄を理解して、共感できる部分を見つけて……という感じですね。

 お笑いはお客さんがいたり、スタッフが笑ってくれたりするから“ウケた”“スベッた”が分かりやすいんですけど、不思議なことに僕は、映画やドラマの現場でも、「あ、今のはウケたな」って分かるんです。

 笑わせるような面白いシーンじゃなくて、感動的だったり、アンニュイな雰囲気のシーンでも、「ウケた」というのがなんとなく分かる。お笑いでの“笑い声”に何か似ている反応を感じることがあって、それを頼りにいつも演じているんです。

■オファーをいただいたときは、はたして自分にできるんだろうかという不安も

 これまで役者として、本当に素晴らしい方々と共演させていただく機会に恵まれました。

 15年ほど前には、渡哲也さんとドラマでご一緒しました。演技のすごさはもちろんですが、ユーモアもあって、本当にかっこいい俳優さんでした。顔合わせのときには「渡と申します。よろしくお願いします」って、あちらからごあいさつしていただいたんですよ。その後ろには、付き人として来られていた館ひろしさんがいて、「渡がお世話になります」って……。内心“知ってますって!”とツッコミながらも、恐縮のあまりアタフタしてしまいました(笑)。

 今回出演した映画『梅切らぬバカ』で僕の母親役だった加賀まりこさんも、本当にすごい方でした。クランクインのときには完璧に役の準備が整っていて、監督とディスカッションしながら、より良いシーンを目指して演技をなさっている。頼りがいがあって、いろいろなことを教わりましたし、僕が言うのも何ですが、母性のようなものも感じられて、演技しやすい環境も作っていただいた。加賀さんがお母さんをやってくださったからこそ、僕が息子を演じることができたと思っています。

 これまで役者の仕事の多くは、たとえばNHK朝ドラの『おちょやん』での芸人役のように、これまで僕が培ってきたことを生かせる“笑わせる”ポジションでした。でも、今回の『梅切らぬバカ』は、50歳の自閉症の男性という難しい役。オファーをいただいたときは、はたして自分にできるんだろうかという不安もありました。でも、作品のテーマを知って「少しでも僕が力になれるのなら」と、真摯に、誠実に、できる限りのことをやりたいと思って臨みました。

 実は僕は役者として夢があって、アクション映画をやってみたいんです。中学生の頃にジャッキー・チェンに憧れて、いつかやってみたいと思っている間にこんなに太ってしまった(笑)。今は逆に「動けるオッサンのデブが活躍するアクション映画って面白いかな」と、ここ数年ジムに通ったりキックボクシングをやったりしています。でもそんな企画、待ってても来ないだろうから、自分でやるしかないかな(笑)。

塚地武雅(つかじ・むが)
1971年大阪府出身。1996年、鈴木拓とお笑いコンビ『ドランクドラゴン』を結成。『エンタの神様』(日本テレビ系)や『はねるのトびら』(フジテレビ系)など、バラエティ番組で人気を博し、ブレイク。そのかたわら、俳優としても活動し、2006年公開の映 画『間宮兄弟』では日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。主な出演作として、映画『ハンサム★スーツ』『アイアムアヒーロー』『樹海村』、ドラマ『裸の大将』シリーズ(フジテレビ系)、NHK連続テレビ小説『まれ』『おちょやん』など。

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  • 11/9 17:00
  • 日刊大衆

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