新名称は「Meta」! 社名変更でも拭えないフェイスブックが直面する危機

拡大画像を見る

米国の巨大IT企業GAFAの一角を占めるフェイスブックは、2021年10月28日付で社名を「Meta(メタ)」に変更した。

SNSとしてのフェイスブックの名称やサービスは存続する。社名変更に前後して、SNSの運営を巡る疑惑が相次いで報じられており、事業の成長力にも陰りが見えてきた。世界最大のSNS企業に何が起きているのか――。

仮想空間「メタバース」に注力する姿勢示した

「テクノロジーは我々の生活を向上させると信じている」

マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、社名変更を発表した開発者会議でこう述べ、新たな事業の展開でイメージ悪化を払拭しようとする思いをにじませた。

新たな事業の舞台となるのは、インターネット上の仮想現実空間「メタバース」だ。現実の世界では離れた場所に存在する人同士でも、スマートフォンなどの端末を使ってメタバース内に分身(アバター)を登場させ、コミュニケーションをとれるほか、仮想通貨を使って買い物をしたり、逆に商品を製作して販売したり、ゲームをしたりできる、というものだ。

文字や画像、動画によるコミュニケーションが主流のSNSの進化形。社名変更はメタバースに注力する姿勢を鮮明にするためだ。

2004年、米ハーバード大学の学生だったザッカーバーグ氏が同級生と創業したフェイスブックは、学生のコミュニケーションツールとしてSNSの「フェイスブック」を開発。当初は学生のみに限定していたが、06年には制限を取り払い、08年には日本語版も公開。現在、利用者数は世界で10億人を超えている。

サービスの利用は無料だが、利用者の閲覧データを踏まえた広告掲示が収入源になっている。メタは、写真投稿アプリ「インスタグラム」も展開している。

影響力が高まり、膨大な個人情報を抱えるようになったSNSは、さまざまな問題が生じている。2020年の米国大統領選では、過激な投稿を放置したことが批判された。21年5月にフェイスブックを退職したフランシス・ホーゲン氏が、最近、メディア出演に加えて米国と英国の議会証言で、利用者の安全よりも利益を優先していると元勤務先を非難。退職時に持ち出した内部資料はメディアに提供され、内実が相次いで暴かれている。

メタ、ガバナンスにメスが入る可能性も......

巨大SNSが抱える個人情報に規制を加える動きは、すでに起きている。その引き金を引いたのは、意外にもメタと同様に米巨大IT企業の一角を占めるアップルだ。

2021年4月に提供を始めたiPhoneの基本ソフト「iOS14.5」では、端末ごとに割り振っている識別情報の利用を事前承認制に変更した。これによって複数の企業がそれぞれ提供するアプリを横断して利用者の行動を捕捉しにくくなり、利用者の嗜好に応じた広告の配信が難しくなった。

この10月25日にフェイスブック(当時)が発表した7~9月期の売上高は市場予想を下回り、記者会見で幹部は「iOS14.5」を名指しして「最大の逆風になった」と嘆いたほどだ。

創業以来最大の逆風にさらされているメタ。ホーゲン氏は、米証券取引委員会(SEC)にも資料を提供して調査を要請しており、SECの判断次第では経営体制も含めたガバナンスにメスが入る可能性も指摘されている。

成長の踊り場を越えて、メタバースでさらに発展するのか、それとも盛者必衰なのか。カリスマ経営者として知られるザッカーバーグ氏は、まさに正念場を迎えている。(ジャーナリスト 白井俊郎)

※ メタバース
SF作家のニール・スティーブンソンの著作「スノウ・クラッシュ」(1992年)に登場するインターネットの上の仮想現実空間のこと。異なる次元、観点からという意味の「meta」と、宇宙を表すユニバース(universe)の合成語。

関連リンク

  • 11/7 16:45
  • J-CAST

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます