「スーパーでは70円なのに」高級車所有の男が持つ意外な“価値観”とは
お金持ちは、モテる。ゆえに、クセが強いのもまた事実である。
そして、極上のお金持ちは世襲が多く、一般家庭では考えられないことが“常識”となっている。
“御曹司”と呼ばれる彼らは、結果として、普通では考えられない価値観を持っているのだ。
これは、お金持ちの子息たちの、知られざる恋愛の本音に迫ったストーリー。
晴子(27)「最高の“おぼっちゃま”を見つけたはずだった」
― このまま1日が始まらなければいいのに…。
起きる気がせず、ベッドでぼんやりとしていた。
テレビを見ていると、恋愛についての街頭インタビューが行われている。映っているのは「コロナ禍で出会いがありません」と嘆く女の子たちだ。
― 私もついに、こっち側か…。
つい昨日、最高の彼氏に振られてしまったのだ。交際期間は約1ヶ月。私にとって、あまりにも短い春である。
「ごめん。俺、多分晴ちゃんとは合わないと思うわ。別れよう」
出会ってすぐ付き合い、私たちはうまくいっていたはずだったのに…。
結論、サラリーマン家庭育ちでOLの私が“おぼっちゃま”を理解するのは、とても難しかったのだ。
晴子とおぼっちゃまの彼氏が、出会ったきっかけは…?
彼氏との出会いは、1ヶ月前にさかのぼる。
近所にある行きつけの定食屋で、私が日替わりランチをオーダーしたときのことだ。
「可愛いですね」
いきなり隣の席の男性が声をかけてきて、私はとても驚いてしまった。
普段なら無難にスルーするが、その男性の顔が元アイドルの有名YouTuberそっくりの顔立ちだったことに、目が釘付けになってしまったのだ。
― どうして、こんなかっこいい人が私に?
晴子の顔は一般的に整っている方である。しかし、その男性は疑心暗鬼になるほどに、レベルの違う“イケメン”だったのだ。
「俺、冬馬って名前です。よろしくね」
関西弁のイントネーションが板についていて、彼が関東の人でないことはすぐにわかった。その日は、軽い挨拶と連絡先の交換程度で、私が先に店を出ることに。
「晴子~。冬馬は難しいから気をつけなよ」
店を出るとき、店長が耳元でそっと忠告する。しかし、すでに一目惚れしていた私は、店長の言葉をすぐに忘れてしまったのだ。
突然のことで、連絡先を交換してもお誘いはないだろうと思っていたのだが、それは杞憂に過ぎなかった。冬馬はすぐにLINEで、ランチに誘ってきた。
私は有頂天となり、彼にすぐOKの返事をしたのだった。
◆
冬馬から定食屋で声をかけられた翌週。銀座のフレンチで初デートをした。
「ごめんな、晴ちゃん。待たせて…」
そう言って、待ち合わせ時刻より5分ほど遅く来た冬馬。
私は、改めて彼の全身を見たが想像よりも背が低く、少しだけがっかりしてしまった。しかし、白いTシャツと黒いスキニー、そして真っ白なスニーカーがよく似合う。何より、イケメンであることは間違いなかった。
いざ話してみると、冬馬の話のテンポがとても心地よく、ノンアルコールだったが会話が大いに盛り上がった。
「晴ちゃんとおると、楽しいな!」
冬馬は方言の通り、関西の兵庫出身。男子高で伸び伸び育ち、大学はそのまま内部進学をしたらしい。
「趣味は音楽で、サックスが得意」
一般家庭出身の私は、音楽をたしなむには相応のお金が必要だと思っている。
そう話す冬馬を、“おぼっちゃま”だと推測した私の嗅覚は、間違っていなかったのだ。
冬馬は、家業を継ぐことを考えて、大学院に進学するタイミングで上京してきたと話した。見聞を広げるために東京で学び、そして働くことが彼の将来に必要だとご両親が判断したからだ。
私は、この話を聞いたとき“おぼっちゃま”の彼を、必ずモノにしたいと心の中で誓う。
しかし、意を決して狙いを定めた私とは対照的に、彼はデートの帰りにさらっと告白してくれた。
「晴ちゃん、早いと思うかもしれないけど、付き合おう」
こうして、私たちは付き合い始めたのだ。
そこからは、彼の親が所有している最低でも2億円はする分譲マンションの部屋で、週の半分を2人で過ごすことに。
冬馬はコンサル勤務で多忙だったが、機嫌が悪くなることも一切なく、育ちがいい人は穏やかだと感じる日々。
しかし、破局の予兆は私が思ったよりも早く来てしまったのだった。
破局の原因となる出来事とは…?
『明日は、ドライブデートにしよか。晴ちゃんの家の前まで迎えに行く!』
ドライブデートを打診するLINEが冬馬から届く。ウキウキしていた私は何を着て行こうか迷うあまり、それ以外の準備は一切しなかった。
そうして、迎えた当日。
私は、約束の時間に現れた冬馬を見て、彼を絶対逃すまいと心の中で再び誓う。
愛車が、真っ赤なフェラーリだったからだ。
― この人は想像以上に、リッチかもしれない…。
初めて乗るフェラーリに感動し動画を撮ってばかりの私に、冬馬は喜んでくれて嬉しいと、微笑んでくれた。
いい雰囲気だったが、ある一言でなんとも言えない空気に変わってしまったのは、中央道に乗る少し前のこと。
「ノド、乾いたなあ…。冬馬、コンビニ寄ってくれない?飲み物買おうよ」
「え?なんでコンビニ寄るん?飲み物なら持ってきたで」
「え、用意周到だね。ありがとう♡」
「あと、今日の宿の予約もしておいたで」
― やっぱり冬馬は最高すぎる!
冬馬の最高の気遣いに、私は「ありがとう」と心を込めて伝える。
目的地の河口湖に到着すると、サプライズで用意してもらった高級宿に泊まったが、冬馬はどこか盛り上がりに欠けていた。
◆
翌日。ほうとうを食べ、冬馬は仕事があると言ってすぐに帰京した。そして、次のデートが決まることはなく、翌週に私は振られてしまった。
お泊まりデートでの2人のテンションがあまり合わなかったし、仕方ないと言えば仕方ない。だが、逃した魚は大きいと思わざるを得なかったのだ。
冬馬(32)「使うとなくなるのがお金やからな」
行きつけの定食屋で偶然、晴ちゃんを見かけてから、僕は一方的に彼女を知っていた。
キリッとした顔立ちがいかにも賢そうで、いいなと思っていたのだ。
晴ちゃんのことが気になった僕は、いつも彼女と親しげに話している店長に、どんな子なのか聞いてみた。
「晴ちゃん?気に入ったの?大手企業のOLだよ~。ちなみに父親はどこかの会社のサラリーマン役員だったはず」
― 悪くないな。
次に偶然会うことがあれば、声をかけようと決める。すると、すぐにその機会はやってきた。
行きつけの定食屋で、たまたま僕の隣の席に晴ちゃんが座ったのだ。このチャンスを逃すまいと緊張しながら彼女に話しかけ、連絡先をゲット。
そして、デートをしてみるとあまりにもいい子で、僕は彼女をすぐに好きになってしまった。
だから、僕は晴ちゃんにすぐ告白したのだ。
そして1泊デートを企画したが、途中のドライブで彼女への気持ちが冷めてしまう出来事が起こってしまう。
「コンビニ寄ってくれない?飲み物買おうよ」
この一言で、晴ちゃんが気の使えない女かつ細かいお金にゆるいとわかり、一瞬で冷めてしまったのだ。
前日に買い出しくらい行けるだろう。彼氏とのデートで飲み物の1本も持ってこない女がいるなんて、僕は知らなかった。
それに、コンビニで飲み物を買うことほど、非経済的なことはあるだろうか。僕はスーパーで一番安いときに、飲み物をまとめて買っている。
「細かいお金に気を配れない人が、お金持ちになんてなれない」
親からそう叩き込まれていた僕は、彼女の気遣いのない発言が許せなかったのだ。
スーパーで買えば、飲み物は70円ほどで買える。対して、コンビニは130円くらいするだろうか。
この60円の差を気にしない子とは、やっていけない。そう思ってしまったのだ。
昔から、決めたことは変えられない。
だから、目的地に着く途中で彼女と別れると決めてしまった。当然、宿に着いても気持ちが一切盛り上がらず、夜はお酒を飲み、一緒のベッドで爆睡しただけだ。
東京に帰り「別れよう」と晴ちゃんに告げ、僕たちは終わった。
やはり僕は、細かいお金にも気が使えてきちんとしている子と一緒にいたいから、これで良かったと思っている。
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