放送作家の高須光聖が、世の中をもっと面白くするためにゲストと空想し、勝手に企画を提案していくTOKYO FMの番組「空想メディア」。10月3日（日）の放送では、「少年ジャンプ＋」編集長の細野修平さんが登場しました。

（左から）細野修平さん、高須光聖

◆「少女漫画も読んでいます」

高須：今夜のゲストは集英社「少年ジャンプ＋」編集長の細野修平さんです。今をときめく「少年ジャンプ＋」の編集長ですよ！ 憧れの仕事じゃないでしょうか。

細野：でもよく「編集長って、どんな仕事をしているんですか？」って聞かれるんですけど、これだって言える仕事があまりないんですよ。

高須：本当に？

細野：載せる漫画も“編集長が全部決めているんじゃないか？”ってよく言われるんですけど、連載するものは編集部員みんなで決めています。

高須：全員で決めるの!?

細野：そうですね。ただ「週刊少年ジャンプ」（集英社）だと、班長以上の人たちが会議で決めていますね。

高須：じゃあ「週刊少年ジャンプ」のほうが編集長としての力を持ってると？

細野：若干……そう思います（笑）。

高須：そうなんだ（笑）。昔から漫画は好きでしたか？

細野：はい。

高須：最初から集英社に入って編集長になろうと思っていたんですか？

細野：いえ。もっと薄い動機で……就職活動をするときに、漫画が好きだから“漫画を仕事にできるところにしようかな”って思ったんですよ。

高須：そんな感じで入れるような会社なの!? 倍率も高いでしょ？

細野：そうですね（笑）。

高須：集英社の面接って、どんなことを聞かれるんですか？

細野：当然「漫画は読んでいる？」って聞かれたんですけど、そのときに「週刊少年ジャンプ」に加えて「少女漫画も読んでいます」みたいなことも言ったんです。もしかすると、そこが（面接官の方に）刺さったのかなって思います（笑）。

高須：同僚の人たちと「どんな漫画を読んできた？」みたいな話はするんですか？

細野：話はしますけど、“漫画がめちゃくちゃ好き！”みたいな人って、実は多くはない気がします。

高須：そうなんですか!? 集英社って、めちゃくちゃ漫画が好きで独特な目線を持った優秀な人たちが、いろんな作家さんを見つけてダイヤの原石を磨いていく会社だと思っていました。

細野：そのパターンもあるんですけど、漫画が好きじゃなかったり、あまり読んだことがない人が、逆に新鮮な目を持って新しい才能を見つけることもあります。

高須：社内に“漫画を全然読んでいなかった人”っているんですか？

細野：いますいます。文芸に行きたかった人とか。

高須：そういう人もいるんだ！ 漫画家を志している人もいたりするの？

細野：そういう人も最近は多くなってきましたね。

高須：編集部にいながら“俺も漫画を描いてみようかな”って思う人もいるんだね。

細野：昔、集英社に持ち込みに来て担当が付いたという人もいますね。

高須：それは社員でありながら？

細野：社員になる前です。それから漫画家になる道を諦めて、集英社に入ったそうです。

◆画力は描いていけば伸びるもの

高須：1日にどれぐらいの漫画が送られてくるんですか？

細野：「ジャンプルーキー！」っていう漫画投稿サービスをやっているんですけど、そこには月に平均3,000作ぐらいは送られて来ています。

高須：そのなかで“あっ！”って思えるような（手応えのある）作品はどれぐらいありますか？

細野：若手が「これが面白かった」って僕に送ってくれるんですけど、そのなかで（採用するのは）だいたい5～10本ぐらいですかね。

高須：漫画の才能がある人って、1作目からわかるものなんですか？ それとも作品ごとに変わります？

細野：人にもよるんですけど、編集部内でよく言っていることは“1作目と2作目の差分を見る”。どれぐらい成長したかで、才能というか伸び方がわかるんじゃないかと思います。

高須：才能っていうのは、画力？ 表現方法？ ストーリー性？ それとも全般的に見てようやく分かるの？

細野：表現力やストーリーですね。画力は描いていけば絶対に伸びるものなので。

高須：掲載前って、絵に対して口を挟んだりするんですか？

細野：作家の気質にもよりますけど、わりと言いたいことは言いますね。ただ、画力は伸びるものですが時間がかかるものなので、最初から「ここがだめ」「全部修正しなさい」みたいなことを言うと、作家の心が折れちゃいますよね。なので、まずは表現やストーリーのところから指摘しますね。

高須：なるほど。その人のよさを活かすために、ストーリー性とか展開の仕方のアドバイスをするわけですね。

細野：そうですね。

＜番組概要＞

番組名：空想メディア

放送日時：毎週日曜 25:00～25:29

パーソナリティ：高須光聖

番組公式Facebook：https://www.facebook.com/QUUSOOMEDIA/