ドラマ「恋です!」で杉咲花が示す、若者にもしっくりくる《多様性》の描き方

 盲学校の高等科に通うユキコ(杉咲花)をヒロインに据えたドラマ「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール」(日本テレビ系)が若者世代に好評だという。

 11月3日放送の第5話は世帯視聴率9.2%をマーク。平均視聴率は8.9%と安定した数字で推移している。また第5話の世帯視聴率は5.0%で、人気番組の目安とされる6.0%にあと少しといったところ。一方で民放公式テレビポータルの「TVer」では放送翌日の4日時点でランキングの1位となっており、若者を中心としたタイムシフト視聴も順調なようだ。

「視覚障碍者をヒロインに据えるという意欲的な作品ながら、主役の杉咲花が見せる太陽のように明るい笑顔が、湿っぽさをすっかり中和しています。作中では視覚障碍者のお笑い芸人・濱田祐太郎を解説役に据え、ユキコが使っている白杖やルーペ、もしくは弱視者の見え方などを分かりやすく説明する場面はEテレの教育番組さながら。それでいて妙なお説教臭さはなく、自然と視覚障害に関する知識を得ながらドラマそのものを楽しめる仕掛けとなっています」(テレビ誌ライター)

 そんな「恋です!」の第5話では序盤に、ユキコを恋敵とみなすハチコ(生見愛瑠)がユキコの白杖を奪おうとしながら「障碍者はズルい!」と叫ぶ場面が。「だってこの白杖があれば許されるんだから」との本音を漏らす衝撃的なシーンがあった。

 同様の場面はユキコがアルバイトを始めたハンバーガーショップでも展開。ユキコのせいで業務が滞っているとイラだつ先輩店員の紺野(大友花恋)は、「それって私には、障害があることを利用しているように見えるんだけど」との不満をブツけていたのである。

「世間には、障碍者に対して様々な形で不満を持つ人がいることも事実。今回の第5話ではあえてその不満を赤裸々に見せることで、多様性の意味を問う内容となっていました。ここでユキコは、いじめられっ子で家庭環境も複雑なハチコに理解を示しつつ、自分も周りには優しい人ばかりではないと説明。決して相手をなじったり説教口調になったりすることなく、同じように弱さを持つ者同士として、ハチコと心の絆を紡いでいったのです」(週刊誌記者)

 同様に紺野に対しては、自分が仕事で足を引っ張っていると謝罪。その上で業務ミスの原因がプリンターの小さすぎる文字にあると説明し、設定変更で文字を大きくできると提案してみせた。店長の判断により一日限りで文字を大きくしたところ、それまで毎日発生していた注文ミスがゼロに。障碍者にとって優しい環境は、誰にとっても好ましい環境となる「ユニバーサルデザイン」の有用性を分かりやすい形で示していた。

「その一方でユキコは、恋人になったヤンキーの森生(杉野遥亮)に家族のことをしつこく尋ね、森生がよそよそしい態度を取るようになったことから《他人の心に土足で踏み込んだ》と自省することに。その悩みは障碍者か否かとは関係なく、どんな男女間にも普遍的に存在する衝突です。このエピソードは恋愛ドラマとしての本作に縦筋を通すもので、ユキコが恋する女性として抱いた悩みを描写したもの。視聴者もユキコの恋愛を障碍者視点ではなく、あくまで一人の女性の恋愛模様として応援したくなったことでしょう」(前出・週刊誌記者)


 そんな「恋です!」を観ている視聴者はユキコのことを、自分の近くにも普通に存在する女性だと身近に感じているはず。彼女が白杖を使って歩いているのは、メガネなしでは本を読めない近視を持つ友人が決して特殊な存在ではないように、あくまで個性の一つとして捉えているのではないだろうか。

 このように「恋です!」を支持する若者たちが、ユキコの姿を通して<多様性>の意味を理解していくことが期待される本作。これぞ令和の若者にもしっくりくる<多様性の描き方>なのかもしれない。

※トップ画像はドラマ「恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール」公式インスタグラム(@koidesu_ntv)より。

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