借金500万円男。テキトーな競馬予想に乗って大勝ちするが、パチンコで見事に負ける

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―[負け犬の遠吠え]―

ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。
それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。

「マニラのカジノで破滅」したnoteが人気を博したTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載は65回目を迎えました。

 今回はボートレースで負けた分を珍しく競馬で取り返したお話です。


◆久しぶりのボートレースで糸が切れる

 人は学習する生き物でありながら、よく忘れる生き物でもあるので、少しの無職期間とたった一度のボートレースで、半年間練りに練った愚直な労働意欲を完全に削がれて

「あーあ、楽して金が手に入らないかなあ」

 という不毛なマインドに戻ってしまっていた。以前であれば気軽に消費者金融のサイトを巡回してポチポチ借入枠が無いか探していたのだが、客観的に見て僕が借りれる先はもう無いのだろう。

 自分の身の上を考えるとかなり反社会的であるのに対し、海外のカジノを神格化しているために、日本の裏カジノやインカジには行きたくないという変なプライドがある。それに引きずられるように街金や闇金からも金は借りないと決めてしまっていた。綺麗からは一番遠いが、思い切って泥沼に突っ込む勇気も無い。

 中途半端な倫理観は表の世界での底辺、裏の世界でのカタギであり、隙間にいる人間はどちらから見ても「負け組」なのだ。

◆公営競技の負けは公営競技で取り戻す

 勇気のない朝を迎えていた。ボートレース場に6時間近くいて一度も当たらなかった記憶を思い出しては財布を確かめる。当たっていたもう一つの時間がすぐそばを流れているような気がする。失ったのは5000円だったが、一度も当たらずに帰ってきた事実に苛立ちを覚える。モヤモヤして、ムカついていた。こんな時は1パチにでも行って「当てたい欲求」を発散するのが吉だが、公営ギャンブルでの負けは公営ギャンブルで取り返したい。

 いつも通り布団に横たわりながらインターネットを開くと、今日がスプリンターズステークスというG1レースがある日だと知った。競馬のG1、ボートレースやオートレースの優勝戦。これらはついつい買ってしまう。パチンコ屋が新装開店ののぼりを掲げていたら中を覗いてしまうように

「なんだなんだ、今日はデカいイベントの日なのか?」

 と、ろくに調べもしないで間抜けな顔で賭けてしまう。とっくに秋だというのに、火の熱さも忘れて飛び込んでしまうのだ。夏の虫より頭が悪い。

 実のところ、この記事を書き始めるまでスプリンターズステークスが芝1200mという短い距離を走るレースだと知らなかった。それどころかレースの名前も見ていない。

 中山11レースがG1だという情報だけで買った。もちろん馬の名前も見ていない。ルメールと福永が何番に乗るのかすら見ていなかった。どうせ競馬は自信がなくて他人の意見を当てにするのだ、インターネットに蔓延る馬券予想師の買い目を丸々真似っこしよう。

 そう、これは「どの馬が勝つか」ではなく、「どの馬券師に張るか」というギャンブルで、馬の状態や馬場は全く関係が無い。ギャンブルとして雑味を限りなく減らしたシンプルなゲームだ。どちらかというとルーレットに似ている。

◆当たる予想師を当てるゲーム

 久しぶりのG1ということなので、ここは一つ、ある程度有名な人の買い目を真似しようと思い、ネットの中を探した。

 この時代、選択を他人に委ねる受動的な人間が増えてきたのか、予想師はインターネットに大量にいた。その多くが買い目をネットブログで売っていて、100円のものから1000円のものまである。当然数字を適当に記しただけの詐欺のようなものもたくさんあるが、それについては選んだ僕が「外した」ことになる。そういうゲームだ。

「予想を書けばいいし、外してもあくまで予想に過ぎない」という性質上、卑しい感情で金を稼ごうという連中だってたくさんいるし、どうせ全てを排除することなんてできない。手を汚せる側の人間がいるのは確かな事実で、予想屋のブログを買う事自体は全くオススメしない。

「そう思うんならそもそもそいつらの利益にならないように買うなよ」

 という人もいるだろうが、僕は社会に責任を持っていないので、社会正義は一旦置いておいて、ゴミの中に宝石を探す趣味のつもりで買ってしまっている。

 株やFXの自動売買ツールについても似たような考え方だ。この世に罪深き人間がいたのなら、いつか知らない誰かが正義の槌を振ると信じている。

◆500円で買った予想に2万円を突っ込む

 今回僕が買った記事は500円くらいの値段だった。これは自信がありそうだ。過去の書き込みを見ても馬が好きそうだし、騙されたとしても本望だと思えた。

 予想屋当てゲームをする時、100円の予想を買ってしまった時は最低でも3000円くらい賭けるようにしている僕は、この強気な値段に合わせて20000円賭けることにした。

 きっかけは先日競艇で5000円負けたからで、本当は5000円くらいでよかったのだろうが、その人はレースについてすごく分析しているようで、記事が光って見えたので値上げした。

 自分で選んだ時よりも気持ちが燃えていた。

 俺、アンタの背中に乗るよ・・・

◆Twitterのスクロールする音は射幸性が高い

 レースは見なかった。Twitterを何度もスクロールで更新して、わずか1分弱の間に盛り上がる実況を文字で追っていた。ちなみに、僕はTwitterの公式アプリを利用しているのだが、このアプリでスクロールしてシュポッと音が鳴り、タイムラインが更新される仕組みは射幸性を高めるらしい。骨の髄まで科学の意のままに操られている。

 実況を見たものの、僕は予想屋の買い目を丸々真似しただけなので、どの馬が前に来ても自分が当たっているのかわからなかった。一番人気が飛んだらしいということだけがわかった。

 ネットで自分の競馬用の口座を開く。レース展開はおろか、自分の買い目も正しく理解していない以上、この瞬間が一番緊張する。一番人気の馬が飛んでしまっているらしいので、念のために喉にため息を用意しておく。殴られた時に首を同じ方向に曲げて痛みを緩和するように、負けのショックを和らげるためにガッカリしながら結果を見る。

◆まさかの大勝ち。だが……

 競馬用口座には7万円入っていた。

 競馬でこんなにしっかり勝つのは初めてだったので、ため息がヨダレに換わり、枕に垂れた。

 どこの馬かもわからない、どんな馬券師かもわからない、でも金が増えた。なんだか悪いことをして金を稼いだみたいだ。僕は5万円勝った。予想屋ルーレット大当たりである。

 すぐに金を下ろそうとしたが、三菱UFJの競馬用口座は月曜日にならないと出金できないらしく、ムズムズを抑えられずに駅前のパチンコ屋に行って2万円負けた。

文/犬

―[負け犬の遠吠え]―

【犬】
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩

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  • 日刊SPA!

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