デート相手の家の洗面所に行ったら、女が即帰りたくなった理由
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—果たして、あの時どうすればよかったのだろうか?
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「結婚するにはいい条件なのに、女が靡かなかった理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:三度目のデート。女のほうから“家に行きたい♡”と言ってきのに…部屋だけ見て帰った理由は?
竜也と出会ったのは、友人からの紹介だった。
今年で29歳になる私は、結婚願望が高まっている。そんなときに友人が「俺の同期ですっごくいい奴がいるよ」と教えてくれたのだ。
「はじめまして、竜也です」
竜也を一目見た時から、いいなと思った。
友人と同期ということは、年収2,000万円は手堅い。しかもイケメンで爽やかで、優しい。婚活中の私からすると、かなり良い相手なはずだった。
しかし何度かデートをしていくうちに、「やっぱり彼との結婚はないかなぁ」と思い始めたのだ。
完璧な男性。
その裏に潜んでいた結婚できない理由は、意外なものだった。
条件は良いのだけれど…女が、どうしても男に一歩踏み込めなかった理由
A1:他に男もいないし、純粋に最初はいいなと思っていた。
初めて竜也と会ったときの会は、友人と3人で非常に楽しく進んだ。竜也の穏やかな性格のおかげで、和気あいあいと盛り上がる。
「凛花ちゃんは、今なんの仕事をしているんだっけ?」
「私は今、IT系で働いています」
そんな話をしていると、友人が改めて竜也の紹介をしてきた。
「ちなみに竜也はバツなし、独身ね」
目の前に座る竜也は、想像以上に爽やかなイケメンで、落ち着きもある。どちらかというと、家庭があっても不思議ではない感じがした。
だから、思わず聞いてしまったのだ。
「え?なんでですか?」
死ぬほど同じような質問をされているだろうなぁ、と思いながらも、こんな好条件のイケメンが独身でいることが不思議で仕方ない。
「なんでだろうねぇ」
「そうなんだよなぁ。竜也が独身でいる理由が、よく分からなくて」
男性たちの会話を聞きながら、私は大きくうなずく。
私の周りには、素敵な人はほとんど結婚しているか、独身でもひと癖ある男性が多い。それだけに、こんな貴重な独身がいることに驚きもあった。
「世の中の女性は見る目がないですね!私だったら、竜也さんすごくいいなと思うのに」
「え?本当に?」
本心だった。ただ、気がかりな点もある。
こんな素敵な人が、どうして今まで独身なのだろうか?初対面ではわからない、何かすごい癖などがあるのだろうか…。
「ちなみに、竜也さんって何か運動されていますか?」
「うん、ジムには行っているよ」
かっこいいだけでなく、シャツの上からでもわかるほどの良い体つき。最強だ。
「ほら!モテる要素しかないのに」
「いやいや、そんな」
しかも、この会が終わるとすぐに、竜也のほうから誘ってくれた。
ちゃんと積極性もあるし、人も良い。
今のところ、彼の悪いところが見当たらなかった。けれどデートを重ねていくうちに、彼が結婚相手として女性たちから選ばれない理由がなんとなく見えてきたのだ。
モテるけど、なぜか独身な男の謎。女から見た彼とは…
A2:すべてが完璧すぎて、一緒にいたら疲れそう
食事会から2週間後。私たちはデートをすることになった。
「わぁ、ここ雰囲気素敵ですね。日本橋って意外に馴染みがなかったんですが、こんな素敵なお店があったなんて」
「だよね?一度来てみたくて」
竜也が予約してれた『Da GOTO(ダ ゴトウ)』は、“後藤さんの家”という意味で、家でくつろぐような居心地のアットホームなイタリアン。
「鶏ときのこのラグー」を頼んだが、ニンニクを使わない和食のような優しい味わいがとても気に入った。
店選びのセンスまでいい。ますます、彼が独身でいることに対する謎は深まるばかりだ。
「改めて、なんでこんな素敵な竜也さんが独身なんですか?カッコいいし、優しいし…スマートなのに」
「そう?男らしさがないのかなぁ。色気が足りない、とか?(笑)」
そんなことはない。たしかにかなり紳士的な感じなので物足りなさを感じる女性もいるかもしれないが、私はガツガツ系の男性より穏やかな彼の雰囲気がいい。
「いやいや、ちゃんと色気ありますから♡」
「本当に?凛花ちゃんみたいな可愛い子に言われると、本気にしちゃうよ」
しかも、会話の運びかたも上手だ。だが、なんとなくこの辺りから、竜也が結婚できない理由が少しずつわかり始めた。
「私、竜也さんのこといいなと思っていますから」
グイッと距離を縮めても、うまくかわされてしまう。
「はは。凛花ちゃん、うまいね」
会話が上手で、嫌味がない。スマートで、爽やか。一見、完璧。
だからこそ、何も“引っ掛かり”がないのだ。
「凛花ちゃんって、料理とかするの?」
「私は…“します!”と言いたいところですが、最低限って感じですね。ほぼ毎日デリバリーのお世話になっていますし。竜也さんは?」
「僕は結構するかなぁ。外食が大好きなんだけど、コロナになって家にいる機会が増えたから、平日とかはほぼ自炊かも」
「すごい!家とか綺麗そうですもんね」
「まぁたしかに綺麗なほうではあるかなぁ」
まさかの、家事も完璧。
社会人経験も長く、外食も好きだという竜也ならば、死ぬほど美味しいお店をたくさん知っているに違いない。
彼の前で料理を失敗したり、家でダラダラできなそうだ。
彼が女性から一歩引かれてしまう理由は、結婚生活が想像しにくい、ということもあるのかもしれない。
「ちなみに、竜也さんって結婚願望とかあるんですか?」
「あるよ!凛花ちゃんは?」
「私もあります♡」
そうは言ってみたものの、竜也から必死感はまったく感じられない。
むしろ1人での暮らしが快適に完結しているようで、女性が…自分が、彼の生活の中に入る隙がどうやっても見えてこないのだ。
だから最後の砦として、私は3度目のデートで彼の家へ行く作戦を決行してみた。
「今夜は、もう少し飲みたい気分で…。竜也さんのお家、行っちゃダメですか?」
こうして彼の家へ行き、私はすべてを悟った。
家に入るなり、埃や髪の毛も一切落ちてない、ピカピカに磨き上げられた床。
洗面所などに女の影はなかったものの、一点の曇りもないガラスと鏡。
明らかに高そうな家具類は、傷などつけたら大変そうだ。
あまりにもすべてがそろっていて、そして完璧。だから逆に、どうすればいいのかわからなくなった。
「あの…。今日は帰ろうかな。お邪魔しました」
「え?もう帰る!?」
休日はダラダラし、部屋もどちらかというと散らかりがちな私。料理はあまり好きではないから、もっぱらデリバリー派だ。
すごくいい人だし、もったいないことをしているのはわかる。
だがどうしても、彼の1ミリも隙のない暮らしぶりのなかに自分が入ることが想像できず、「一緒にいたら気が休まらなそうだな」ということが容易に想像できてしまったのだ。
― 贅沢な悩みだということは分かっているのだけれど…。私はちょっと気が引けるな。
そう思いながら、彼の部屋を後にした。
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アラフォー女の誤算