気軽さの中に備わっている、丁寧さや楽しさが感動を生む

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 【心がまあるくなる話・9】 先日、久しぶりにプライベートで街中に出た。人の流れも以前のように戻りつつある様子を見ながらリニューアルした百貨店に足を運んだ。素敵な茶こしセットに目が留まる。後片づけも簡単で気軽にお茶が飲めるものだが、お茶を楽しむ過程の丁寧さや楽しさに思わずひかれた。

 百貨店地下の食品売り場では人気の店が入ったのか行列ができていた。恥ずかしながら私はそういった店にうとく、わからないこともあって関心が向かなかった。その後、好きなリビングフロアに向かった。
 フロアを上がりじっくりと見ていくと、ネットでしか見られなかったものもあったが、大抵のものは目にしてきたものが多かったことから、少しテンションが下がってしまった。
 以前の私ならワクワクして何かを見つけ出そうとしていたけれど、年を重ねるにつれ、良いなぁと感じても欲しいと思う気持ちにはならないことが増えていった。
 そんな暮らしと心の変化の中で、これから手放すもの、新しく買い替えるものも含めて、モノ選び、お店選びも楽しんでいきたい気持ちは変わらない。新鮮で新しい風を自分に送り込むことは年齢を重ねても大事なこと。目的はなくても時折足を運び、風通しの良い心と感性を持っていたい。

●「気軽さの中に備わっているもの」


 最近、今の私にピタっとくるものに出会った。年々、小ぶりなものが使いやすく暮らしに沿っていることから、気軽にお茶時間を楽しめそうな茶こしセットを見つけた。お茶の道具としては容量によって違うものを幾つかは持っているが、来客がない限り、たくさんは要らなくなっている。
 それらの用途とは違って迎え入れた茶こしセットは、わざわざポットを出さなくても深さのある茶こしに茶葉を入れ、カップに茶こしをすぽっとセットしてお湯を注ぎ木の蓋をして蒸らすというようなもの。
 出すのはカップと茶こしセットのみ。後片づけも簡単で気軽にお茶が飲める。見た目も手仕事の金網が美しく、木の蓋も温かみが合って私好み。
 だが、私が心惹かれたのはその部分だけではない。お湯を注いで蓋をして蒸らす。数分蒸らしたら木の蓋を裏返し、そこに茶こしを置く。
 この過程が、気軽さの中にも丁寧さや美味しく飲むという楽しさも備わっていて、そこに感動したのだ。これからの暮らしにおいて、数あるポットを手放しても残していく道具になるだろうと感じた出会いだった。(蓮花)
蓮花(はすはな)
暮らしまわりを物語る「暮らしクリエーター」。日々の中で心がまあるくなるような暮らしに寄り添うモノを探し、毎日を手づくりしていくようなライフスタイルを提案している。

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  • 10/30 19:00
  • BCN+R

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