選挙で自分の一票を有効に使わねば、何をされるかわからない/倉山満

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―[言論ストロングスタイル]―

◆選挙で自分の一票を有効に使わねば、何をされるかわからない

 衆議院が解散され、総選挙が始まった。岸田文雄首相の目論見は、「またまたコロナが流行る前に選挙を終えてしまいたい」だ。事実、御祝儀支持率は記録的低調。調査をするたびに内閣支持率は下がっている。

 ただし、今回の総選挙で岸田内閣を退陣に追い込めると思っているプロは、枝野幸男氏を含めて一人もいない。枝野信者と呼ばれるカルト的狂信者を含めて日本人の誰一人、この選挙で枝野内閣が誕生するなどと信じている人間は一人もいない。あの鳩山由紀夫氏でさえ、政権を獲る意思を示し実現したのに……。

 いったい、何のために選挙に行くのか。選挙に行って、何か世の中よくなるのか。疑問に思うのも当然だろう。だが、選挙で自分の一票を有効に使わねば、何をされるかわからないのは、このコロナ禍で身に染みただろう。では、どうするか?

◆今回の衆院選は来年夏の参院選の前哨戦

 まずは、状況を確認する。ちょうど、各マスコミの情勢調査が出て、概ね一致しているので、これを分析の基礎にすればいい。

 最初に、与党の自民党と公明党。

 自民党は233の単独過半数を超えるか否かが焦点だ。ただし、公明党は約30議席が固く、与党で政権維持は間違いないと目されている。

 言うなれば岸田首相が40議席減らすかどうかが焦点で、あまりに多くの落選者を出すと、来年夏の参議院選挙の前には「岸田では戦えない」と再現VTRのように総裁選をやりかねない。また、自民党は参議院選挙に合わせて衆議院を解散、衆参同日選挙に持ち込み、今回の総選挙で減らした議席を取り返しに行く可能性もある。

 つまり、日本政治の本番は来年夏の参議院選挙であり、今回の衆議院選挙は前哨戦だと理解した方がいい。

◆日本は実質的に公明共産の二大政党制

 次にいつもの野党。

 立憲民主党は、共産党その他との選挙協力が功を奏し、数十議席は伸ばす目算となっている。枝野信者どもに言わせれば、「枝野様は百戦百勝、無敵の党首」だそうだ。何のことかと思ったら、常に野党第一党を維持しているからだ。しかし、枝野氏本人はまだいい。あれでも本気で政権を獲得しようと動いている。問題は「枝野幸男が真人間」になってしまう、立憲民主党の体質だ。自分一人が選挙に受かる為なら、党の議席がどうなっても構わない。「頼むから党利党略で動いてくれ」と願わずにはいられない地獄絵図の政党だ。

 ところでお気づきだろうか。自由民主党と立憲民主党が同じ穴のムジナであることに。自民党の最大支持母体は、公明党(創価学会)だ。立憲民主党は共産党が組んでくれたので善戦できている。生殺与奪の権を握られる寸前だ。公明と共産は同じ左翼政党として仲が悪い。一方で自民と立民は、今の政治構造が続けば二大政党でいられる。日本は実質的に公明共産の二大政党制であり、自民は創価学会の孫請け、立憲は共産党の傀儡にすぎないのだ。

◆たかがコロナ禍すら処理できない、政権担当能力の欠如

 民主制とは、殺し合いではなく、選挙によって物事を決める政治だ。三つめが必要かどうかは議論があるが、最低限二つの選択肢がないと、選挙の意味がない。なぜなら、選択肢が一つだと独裁と同じだからだ。そして表向き選挙をやりながら与党支持か棄権以外の選択肢がないと、選択肢はゼロと同じになる。なぜなら、何度選挙をやっても政権を失わないなら、与党は無限大に腐敗する。事実、この50年間、自民党はあらゆる無能をさらしてきた。しかし、少しばかり政権を失っても、すぐに有権者は許してくれる。その成れの果てが、たかがコロナ禍すら処理できない、政権担当能力の欠如だ。

◆「選挙制度を変えたから最近の政治は劣化した」という頓珍漢な指摘

 昔の自民党政治家、たとえば河野太郎氏の祖父の河野一郎氏が現代に生きていたらどうか。分科会など1日で皆殺しだろう。実際、行く先々の官庁で「農林省大虐殺」「建設省大惨殺」と恐れられ、大蔵省など「あの人だけはウチの大臣にしないでくれ」と歴代総理に常に泣きつくほどの実力者だった。一郎氏は総理になれなかったが、大衆人気はあった。

 最近の政治は劣化したと言われ、「選挙制度を変えたからだ」などと頓珍漢な指摘がなされる。ならば十八世紀から小選挙区制のイギリスは、大英帝国絶頂期に政治が劣化したのか。関係ない。

◆問題の本質は、国民の政治への諦念

 問題の本質は、国民の政治への諦念だ。何をやっても政治は変わらないと国民が諦めているから、政治家、特に自民党政治家が小粒になり、官僚どころか政府のアドバイザー如きの言いなりになる小物があふれ返ってしまったのだ。田中角栄をはるかに超える金権政治家と言われた河野一郎を懐かしがらざるを得ないほど、昨今の政治家は情けない。

 政治の腐敗とは、政治家が賄賂をとることではない。政治家が国民の声を聴かず、国益を守れないことだ。何より、そうした状態に国民が批判しなくなることだ。

◆小選挙区と比例で別々の政党に投票する

 では、どこに希望があるのか。まさに、今の選挙制度にこそ、ある。衆議院は小選挙区比例代表並立制である。基本は1つの選挙区から1人が当選する小選挙区制である。これは二大政党に有利となる。一方、比例代表制では第三党以下の政党にも当選の余地がある。

 通常、何も考えない有権者は、小選挙区で投票した候補と同じ政党に、比例でも投票する。二大政党は、このように「何も考えない有権者」に支えられている。

 だが、有権者が自分で政治を考え、小選挙区と比例で別々の政党に投票したらどうだろうか。どの政党も、有権者の説得に必死になる。

◆維新や国民民主党は政策的には二大政党よりマトモ

 ある選挙区では、自民(あるいは立民)の候補者が立派なので、その人物に投票したとする。自民にもマトモな人もいるし、立民にも何かの間違いで在籍している真人間が一定数いる。自分の選挙区の立民(あるいは自民)の人が比例復活でしか当選できないなら比例もその党に入れた方が良い。小選挙区で負けても比例で復活できる制度があるので、票は有効に使った方がいい。だが、そうでないなら第三勢力に投票してみてはどうか。

 二大政党の壁に阻まれて伸び悩んでいるが、日本維新の会や国民民主党は政策的には二大政党よりはるかにマトモだ。

 維新は30議席を超える勢いだと言うし、国民も現職は全員当選もうかがえる。何より両党は参議院で一定の勢力を持つ。

 いずれにせよ、政治に諦めを持つより、何をすれば政治を流動化させられるかで投票を決めては如何か。

―[言論ストロングスタイル]―

【倉山 満】
’73年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務め、’15年まで日本国憲法を教える。ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰し、「倉山塾」では塾長として、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交についてなど幅広く学びの場を提供している。著書にベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』のほか、9月29日に『嘘だらけの池田勇人』を発売

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  • 10/30 8:50
  • 日刊SPA!

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この記事のみんなのコメント

8
  • トリトン

    10/31 11:32

    うちは田舎に近いから朝行ったら結構選挙に来てましたね。でもよかったですてっきり立憲と共産党しかないか思ったら自民党がありました不本意だけゴミと糞の政党に入れなくてよかったです。

  • ウチの選挙区『新人候補者』はともかく後ろに憑いてる輩がアレだからな…(-ω-;)

  • トリトン

    10/30 17:52

    せめて選挙時に落としたい議員投票できるようにすれば行く気もおきるけどね。

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