水谷隼「“奇跡”の上の言葉が欲しいぐらい(笑)」東京五輪・混合ダブルスの大逆転劇を振り返る

藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMの番組「TOYOTA Athlete Beat」。10月23日(土)の放送では、東京2020オリンピック 卓球・混合ダブルスで金メダル、男子団体で銅メダルを獲得した水谷隼(みずたに・じゅん)さんをゲストに迎え、お届けしました。

(左から)水谷隼さん、藤木直人、高見侑里

水谷さんは、1989年生まれ、静岡県出身の32歳。5歳から卓球を始め、青森山田高校2年生のときに、当時史上最年少で全日本選手権を制覇し、2008年北京オリンピックから東京2020大会まで4大会連続で出場。2016年リオデジャネイロオリンピックでは、日本卓球界初のシングルス銅メダル、男子では初となる団体銀メダルを獲得。

そして、今年開催された東京2020オリンピックでは、混合ダブルスで伊藤美誠選手とペアを組み、日本勢初となる金メダル、男子団体では銅メダルを獲得しました。

◆“奇跡”という言葉でも語れない

藤木:日本卓球界の新たな歴史を開いた、すごく価値のある金メダルでしたよね。

水谷:前回のリオ大会で銀メダルと銅メダルを獲得していたので、オリンピックのメダルのすごさは感じていたんですけど、今回は金メダルということで、よりオリンピックのメダルの価値というか、重さを感じています。

藤木:東京五輪で大逆転劇となった、世界ランク3位のドイツ代表との準々決勝。あの試合は僕もリアルタイムで観ていましたが、正直“ひょっとしたらこれはダメかな”って、ちょっと心が折れかけていました。水谷さん自身は、折れてはいなかったですか?

水谷:折れてはいなかったんですけど、そもそも勝てるとも思っていなかったですね。卓球を長年やっていますけど、現実的に考えて2対9から自分が逆転した試合なんてないですし、見たこともない。しかも、それがオリンピックの最終ゲームだったので、“これはもう時間の問題だな”っていう気持ちでした。

藤木:そこから、着実に点差をつめていきましたよね。そのときの心境の変化はどうだったんですか?

水谷:10対10に追いついてからは“もしかしたら(勝てるかも)”という感じでした。2対9から少しずつ差が縮まっていくんですけど、それまでは常に“厳しいな”という気持ちのなかで、“目の前の1本を頑張ろう”という感じでやっていました。

藤木:10対10に追いつくまでは“これはいけるかも”という手応えはなかったですか?

水谷:なかったですね。もう1点取られたら試合が終わっちゃうので。卓球の1点って、簡単に取られちゃいますから。

藤木:だからこそ、この逆転劇は信じられなかったんですか?

水谷:卓球を知っている人なら“奇跡”という言葉でも語れないぐらい……奇跡の上の言葉が欲しいぐらいなんですよ(笑)。

藤木:あの試合中に、伊藤美誠選手と何か話し合っていたことはありましたか?

水谷:僕らはかなりテンパっていましたからね。試合前は“僕たちのほうが強い”っていう自信があって、実際に1ゲーム目はすごく簡単に取れたんですよ。“僕たちが研究してきた成果も出たし、実力も上だな”って思っていたんですけど、2ゲーム目から向こうのペースになってきて、その後は終始押されてしまいました。押されてしまうと、やっぱり自分たちのいいコンビネーションがなかなか発揮できなくて、ずっとビクビクしながらやっていました。

藤木:そんななかで勝利したことで、九死に一生ではないですけど、ちょっと勢いづいた部分もあったのでしょうか?

水谷:こういう大逆転を起こした大会って、優勝できる可能性が飛躍的に上がるんですよ。なので、もしかしたらこれは“奇跡への一歩”なのかなって思いました。

◆伊藤選手が大きな声で…

藤木:そして、決勝の中国戦。勝負のポイントになったのは、第5ゲーム・スコアが9対8の場面でのタイムアウトでしょうか。伊藤選手は中国相手でも弱気になってはいなかったんですか?

水谷:伊藤選手は、3ゲーム目ぐらいからだんだん伊藤選手らしいプレーも増えてきたなかで、5ゲーム目に追いついてタイムアウトを取ったんですけど、そのときに伊藤選手が「中国選手がビビってる!」って、すごく大きな声で僕に語りかけてきたんです。僕もちょっとビビっていたから、「そうだよね……」みたいな感じで(笑)。だから、伊藤選手だけがすごく強気でしたね。

藤木:でも中国の許昕・劉詩雯(キョ・キン、リュウ・シブン)ペアは、ともに世界ランク1位を経験しているものすごい選手じゃないですか。あのペアに勝ったのは、ちょっと感動じゃないですか?

水谷:世界中の誰が見ても、世界一強いことを認めざるを得ないほどのペアなんですけど、僕たちは実力で倒せたと思っています。それまでは0勝4敗だったんですけど、オリンピックの決勝という大舞台で倒すことができたのは、本当に感慨深いですね。

次回10月30日(土)の放送も、引き続き水谷さんをゲストに迎え、お届けします。どうぞお楽しみに!

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聴取期限 2021年10月31日(日) AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:TOYOTA Athlete Beat

放送日時:毎週土曜 10:00~10:50

パーソナリティ:藤木直人、高見侑里

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/

2021/10/29 19:30

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