元ナントFWサラ氏の死亡事故、フライトを手配した人物の有罪が決定

 2019年1月に発生したアルゼンチン人FWエミリアーノ・サラ氏の死亡事故について、関係者の有罪が決定した。28日、イギリスメディア『BBC』などが報じた。

 サラ氏は2019年1月19日、ナント(フランス1部)からカーディフ・シティ(当時イングランド1部)への移籍が決定。同21日に契約締結のためにフランスからイギリスに向かっていたが、途中で乗っていた飛行機が英仏海峡へ墜落する事故に遭った。サラは28歳の若さで亡くなり、飛行機のパイロットを務めたデイヴィッド・イボットソン氏(当時59歳)も亡くなった。

 事件から2年半以上が経過した現地時間10月28日午前、ウェールズの裁判所はサラ氏のフライトを手配したデイヴィッド・ヘンダーソン氏に対し、航空機の安全性を脅かしたとして有罪を決定。判決は11月12日に下される。

 法廷では、パイロットのイボットソン氏が夜間飛行の資格である商業用操縦士免許を持っておらず、小型飛行機の操縦資格も失効していたことが明らかになっていた。ヘンダーソン氏はこの事実を知っていたにも関わらず、自身が妻とパリで休暇を過ごすため、イボットソン氏にサラ氏のフライトを依頼したという。

 また、飛行機が墜落したことを知った直後、ヘンダーソン氏は関係者にメールを送り、「パンドラの箱を開けることになる」と事実隠ぺいを指示したともされている。さらに、ヘンダーソン氏は必要とされる航空事業者証明書も未所持だったようだ。検察側は、同氏が乗客の安全よりも自分のビジネスを優先して飛行機を運行したことは「無謀または怠慢」だとし、「無資格で文書化されていない不誠実な組織を運営していた」と主張した。

イギリスメディア『アスレティック』によると、サラ氏の遺族の弁護士は決定を受けて次のように述べている。

「ヘンダーソン氏の有罪判決は歓迎すべきことであり、英国民間航空局がこの種の違法なフライトを確実に阻止することを期待しています。ヘンダーソン氏の行為は、イボットソン氏が違法に操縦していた飛行機が2019年1月21日に海に墜落するに至った経緯を示すパズルの1ピースに過ぎません」

「航空事故調査局が2019年8月に明らかにした機体の整備履歴や一酸化炭素中毒のすべての要因など、重要な情報はまだわかっていません。これらの疑問に対する答えは、来年2月に開始される予定のエミリアーノの審問でのみ、適切に立証されます」

「サラ家は、審問に関わるすべての関係者が、これ以上遅れることなく資料を完全に開示することを切に望んでいます。これにより、審問は、すべての事実が明らかになるように、完全かつ大胆に証拠を検証するという機能を果たすことができるはずです。このようにして初めて、エミリアーノの家族はこの悲劇の真実を知ることができ、予防可能な同様の死を経験する家族がいなくなるように、すべての教訓を学ぶことができるのです」

2021/10/28 21:54

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