業界人が注目する次にブレイクする新世代芸人は? 男性ブランコ、金の国、9番街レトロetc.
◆第7世代の台頭と6.5世代が激突中!
霜降り明星、ハナコ、四千頭身、宮下草薙、ミキ、EXITなどに代表される“お笑い第7世代”と呼ばれる20代中心の若い芸人たちが賞レースなどで結果を残して注目を浴び、数多くのメディアを席捲。
一方で、その狭間にいるかまいたち、チョコレートプラネット、マヂカルラブリー、見取り図、さらば青春の光、ニューヨークといった“6.5世代”と称される中堅芸人たちもネタ番組だけでなく、バラエティ番組で存在感を遺憾なく発揮するように。この2世代によって、お笑い界の勢力図が大きく変わろうとしている。
そんな中で、彼らに続きそうな若手芸人や今後ブレイクしそうな芸人は誰なのか? 専門家たちの声を集めた。
◆キングオブコントで爪跡を残した「男性ブランコ」
まずは、放送作家としてバラエティ番組やラジオの構成に関わる山崎ウク氏に話を聞いた。彼は先日行われた『キングオブコント2021』(TBS)に出場した2組の名前を挙げた。
「見事に『キングオブコント2021』で優勝したコンビ・空気階段は言わずもがなですが、ファイナルに進出したWメガネのコンビ・男性ブランコに期待しています。
予想の付かないドラマチックな展開とシュールな世界観、ボケ担当・平井の作り込まれたキャラが見事にハマって爆笑をかっさらいましたが、惜しくも優勝はならず。
しかし、ネタ数も豊富でどのネタもクオリティが高いだけに、来年の優勝候補筆頭。将来的には東京03やシソンヌといった舞台シーンを中心に輝くコント師として活躍していくはず」
同期の霜降り明星やコロコロチキチキペッパーズのブレイクに遅れること数年。賞レースで大きな爪跡を残したシュールなコンビの活躍から目が離せない。
◆漫才もコントもできる“ポスト霜降り”の「ニッポンの社長」
さらに、山崎ウク氏は同大会でインパクトを残した大阪在住のコンビ・ニッポンの社長の名前も挙げた。
「メディアでブレイクしそうなのはニッポンの社長でしょう。関西ではすでに人気を博している漫才もコントもできる実力派コンビで、インパクトの強いキャラを演じるボケのケツと大喜利も強いシュールなツッコミ・辻のバランスがよく、見た目の華もある。ポスト“霜降り明星”の筆頭と言える存在だと思います」
漫才やコントもでき、見た目のインパクトも十分のコンビだけに「今年の『M-1グランプリ』で決勝進出を果たすなど、きっかけさえあれば一気に全国区の人気を得る」と山崎氏も太鼓判を押す。
◆賞レースを総なめする若手きってのコント師「金の国」
また、年間200以上のライブに足を運ぶライターの前川真悟氏にも話を伺った。
「『ツギクル芸人グランプリ』(フジ)で優勝、『マイナビLaughter Night』(TBSラジオ)グランドチャンピオンに輝くなど、若手向けの賞レースで結果を残し続けている金の国ですね。
ストーリー性がありつつ分かりやすさもあるコントがウリで、お笑いマニアだけでなく老若男女から笑いを取ることができる。ぽっちゃり体型のボケ・渡部おにぎりのキャラばかりに注目が集まりがちですが、ツッコミの桃沢健輔の演技力にも注目してほしい」
近年、四千頭身やハナコといった実力派芸人を輩出するワタナベエンターテインメント。その養成所出身のエリートがいよいよ本格的にブレイクしそうだ。
◆男女8人組の異色コント集団の「ダウ90000」
また、前川氏は小劇場シーンで注目を浴びるお笑い集団の名前を挙げた。
「ダウ90000というコント集団は覚えておいて損はないと思います。日本大学芸術学部出身のメンバーを中心にした男女8人組ですが、コントの内容やネタによって人数編成が変わるのが特徴。
いとうせいこうさんや佐久間宣行さんも絶賛しており、今年の『M-1グランプリ』でも5人編成で好成績を残している。男女の“あるある”的な設定を絶妙な笑いに仕上げており、小劇場シーンを超えた存在になるのでは」
今年の『M-1グランプリ』で“台風の目”になっているだけに、予選を勝ち上がっていけばさらに話題を博しそうだ。
◆“ミルクボーイ”ばりの爆笑フォーマットを持つ「もも」
最後に、お笑い雑誌の編集を行なう関口健介氏にもおススメ芸人を聞いた。『M-1グランプリ2019』でミルクボーイの優勝を早くから予想していた彼が注目する芸人は?
「今年の『M-1グランプリ』で決勝進出の可能性が高い関西芸人・ももです。ヤンキー風のルックスをした、まもる。とメガネを掛けたオタク風の見た目をした、せめる。によるコンビで、お互いの見た目を逆手に取ったテンポの良い“たとえ”合戦が秀逸。
フォーマット自体も面白いのですがワードセンスに光るモノがあり、2年前に優勝したミルクボーイのような勢いを感じるコンビです。一気に優勝をかっさらうなんてことも十分にある」
絶妙な掛け合いと巧みなワードセンスで“第2のミルクボーイ”になれるのか? 一見の価値がありそうだ。
◆女性人気トップクラスの東京吉本の新星「9番街レトロ」
また、関口氏は数多くいる若手コンビから9番街レトロの名前を挙げた。
「東京・吉本の若手劇場・神保町花月でトップクラスの人気を誇る9番街レトロはメディア受けしそうなコンビ。渋い声を持つイケメンのボケ・京極風斗と独特の動きやツッコミワードが印象的ななかむらしゅんによる2人の漫才はまだまだ粗削りですが、インパクト十分。
ネタのクオリティさえ上がっていけば、東京進出に成功した見取り図のような存在になっていくのではないでしょうか」
女性ファンも多く、華のあるルックスを持つ若手コンビだけにブレイクも近そうだ。
◆劇場やYoutubeで芸人を探そう
今回紹介した芸人以外にも、第7世代に続きそうなネクストブレイク芸人はまだまだいるだけに、劇場やYouTubeなどで逸材を探してみてはいかがだろうか。
ライター/木田トウセイ
【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。