フルーツサンドブームの火付け役『ダイワスーパー』(愛知県)の絶品フルーツサンドがウマい理由とは?

 各地でフルーツサンドが静かなブームとなっており、専門店も続々と登場しています。フルーツサンドそのものは昔からあったものの、ここに来て確固たる支持を得たのは、愛知県岡崎市にある『ダイワスーパー』という小さなスーパーマーケットが発端と言って良いでしょう。しかし、どうして小さなスーパーのフルーツサンドがこれほどまでに人気を得て、ブームを巻き起こすことになった経緯はあまり知られていません。

 そこで今回はこの『ダイワスーパー』とフルーツサンドのヒストリーと、入手困難とも言われる同店のフルーツサンドを通販で取り寄せ、その味とともにご紹介します!

もともとは店舗を持たず町中を売り歩く干物屋さんだった!

『ダイワスーパー』の前身は干物屋さんで、創業者は大山和之さんという方。当初は干物屋さんでは、店舗を持たず荷車に干物を乗せ町中を巡って販売するという業態だったそうですが、そのうちにお客さんから「お米はないか」「みかんはないか」「酒を持ってきてくれ」と様々な要望があり、創業者はこういったニーズにも細やかに対応していたそうです。やがてその取り扱いは多岐に渡るようになり、1970年にダイワスーパー開店に至ったそうです。

 それから半世紀近く経ち、創業者の孫にあたる現社長の大山皓生さんが『ダイワスーパー』を引き継ぐことになったそうですが、その時点では毎年300万円もの赤字が10年間も蓄積していたことを知ったそうです。「このままでは潰れてしまう!」という危機感から大山皓生さんは「1年で売り上げを倍にする」「店の前に100人の行列を作る」ことを目標に立て直しを図ったそうです。

八百屋さんが作る「野菜のかき氷」は失敗……

 そこでまず大山皓生さんが取り組んだのは、「お客さんの名前を覚えコミュニケーションを大切にする」というもの。大手スーパーマーケットにはできない、昔ながらの八百屋さんの雰囲気を再現したそうです。

 さらに取り組んだのが店頭で販売するかき氷。当初は仕入れたホウレン草、ニンジン、キュウリ、トマトなどを乗せドレッシングをかけた野菜のかき氷を販売したそうですが、全然売れなかったそうです。そこで今度はメロンをふんだんに使ったかき氷を考案したところ大ヒット。「店の前に100人の行列」計画はすぐに達成できたそうですが、ただし、かき氷は夏場を過ぎれば売り上げが落ち込みます。そこで大山皓生さんが考えたのがフルーツサンドでした。

コンビニで食べたものをヒントに、八百屋さんならではのフルーツサンド考案へ

 大山皓生さんがフルーツサンド販売を思いついたきっかけは、コンビニだったそうです。フルーツサンドの味の主体はやはりフルーツ。鮮度の良いフルーツを使った、八百屋ならではのフルーツサンドを作れば売れるであろうと見込んでの試みだったそうです。

 大山皓生さんは面倒くさがりな性格(←ご自身談)だったそうで、フルーツを細かく切らずにザックリとした断面にしパンに挟んで販売することに。このフルーツサンドが爆発的なヒットとなりました。創業者の祖父は「この美味しいフルーツサンドを日本中のたくさんの人に食べてもらいなさい」という言葉を残し亡くなったそうですが、大山皓生さんはその言葉を胸に置き、「ダカフェ」を地元にオープン。以降、東京の中目黒、恵比寿、博多にも展開するに至ったそうです。

オンラインでも売り切れ必至のフルーツサンドをなんとかゲット!

 言うに及ばず、近年のフルーツサンドブームの礎にもなり、『ダイワスーパー』の名は全国に知られることになったわけですが、あまりの人気ぶりに購入困難となることでも知られています。そこで近年、『ダイワースーパー』ではオンラインでのフルーツサンドの販売をスタート。火曜日、木曜日、日曜日の昼12時から販売がスタートしますが、こちらも人気です。

 今回はこのオンラインで『ダイワスーパー』のフルーツサンドを注文し、いただいてみることにしました。売り切れが続いていたこともあり、注文に至るまでも10日ほどかかりましたが、果たして届いた「八百屋の作る本気のまるダBOX」(シャインマスカットサンド、夏瑞いちごサンド、ラ・フランスサンド、無花果サンド)。薄いパンに積められたフルーツが見るからに旨そうで、そして持ってみるとかなり重量感がありました。あまりに重いのでそれぞれを測ってみました。

 もちろん、フルーツの大きさなどによって重さには変動があるはずですが、これだけの重量感が楽しめるフルーツサンドは他にないでしょう。この重量感、セロファンをどう開ければ良いか躊躇するほどでしたが、この心配は杞憂でした。セロファンの両脇に切り出し口があり、この両脇から開ければフルーツサンドを崩さずに取り出すことができました。

各フルーツの産地とクオリティにこだわった珠玉の味!

 というわけでさっそくいただきました。

 シャインマスカットサンドは、シャインマスカットのメッカとも言うべき山梨県産のものをはじめ、そのときどきで最も美味しいものを採用しているそうです。取材時は、長野県産のものを使用しており、瑞々しさが残りつつ甘味と酸味が絶妙な逸品でした。

 また、夏瑞いちごサンドはオフシーズンでも食べられる「奇跡の一粒」とも称される北海道産のなつみずきを採用。ド定番のいちごサンドのクオリティをさらにアップさせるような味。

 そして、ラ・フランスサンドは、これまたラ・フランスの名産地・山形県産のものを使用し、芳醇な甘みと香りが印象的で、まさに頬が落ちるかのようなうまさでした。

 最後は、地元・愛知県産の無花果を挟んだサンド。天候次第で味が大きく変わってしまうため、本当に美味しいときしか使わないそうですが、筆者がいただいたそれは、鮮度の良さを感じる優しい酸味! もはやフルーツサンドというより、高級スイーツをいただいているように感じました。

ホイップクリームやパンも、繊細さが感じられるフルーツサンド

 いずれのフルーツサンドもキメ細かい甘さ控えめのホイップクリームがしつこくなく、フルーツの味を押し上げているようにも感じました。パンは風味を控えめにして、かじっても柔軟に切れるよう繊細な配慮がなされています。

 さすが、ブームを牽引するだけある『ダイワスーパー』のフルーツサンド、非の打ちどころが全くなく、完璧というしかないほどの味です。

 オンラインでも売り切れ必至で入手しにくい『ダイワスーパー』のフルーツサンドですが、一食の価値は十分すぎるほどです。ぜひアクセスして注文されてみてはいかがでしょうか。前半で紹介したそのヒストリーを頭に浮かべていただきつつ、改めてその奥深い味を楽しんでみてください。

(撮影・文◎松田義人)

●DATA

ダイワスーパー

https://358daiwa.com/

インスタグラム

https://www.instagram.com/358daiwa/

2021/10/28 10:51

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