夜の銀座で働くシングルマザー「逆境をチャンスに変える」バイタリティ

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 新型コロナウイルスの感染拡大防止で度重なる時短営業・休業要請を受け、夜の街が疲弊している。特に人と人との接客を主とする水商売への風当たりは強い。が、そこで働く人たちそれぞれにリアルな生活があり、逆風のなかでも明るく前向きに、人、仕事と向き合っている。

 クラブ、キャバクラ、ガールズバー、スナック…業態は数あれど、そこで働く女性たちは、この時世にどう試行錯誤しながら仕事と向き合っているのか。夜の街で働く女性を対象にしたミスコン「ナイトクイーングランプリ」に出場する女性たちの仕事術から、逆境を生き抜くヒントを見つけていきたい。

◆銀座「クラブNanae」関口亜耶さん
シングルマザーに「夢を諦めないで」と伝えたい

 テレビやYouTubeチャンネルなどでもおなじみの唐沢菜々江ママがプロデュースする会員制高級クラブとして、名店揃いの銀座で圧倒的な存在感を放つ「クラブNanae」。

同店に2年半前から勤めている関口亜耶さんは、小学5年生の息子を女手一つで育てるシングルマザーでありながら、ホステスだけではなく店舗経営や美容コンサルなど、幅広い活動を展開している。

 コロナ禍でもイチナナライバーとして成功を収めるなど、何事にもポジティブに、新たな可能性を広げる彼女のキャリアと人生哲学に迫った。

――亜耶さんは「クラブNanae」で働き始めて2年半とのことですが、水商売歴は長いんですよね。

亜耶:18歳の頃から地元の大宮と歌舞伎町のキャバクラで働いていて、21歳で結婚したのを機に水商売から足を洗ったんです。でも結婚生活は長く続かず、22歳で生後3か月の息子を連れて離婚しました。しばらく昼職をしていたんですけど忙し過ぎて、息子と過ごす時間も少なかったので、27歳のときに水商売に復活して、銀座のクラブで働き始めました。それが今から6年前です。

――紆余曲折があったんですね。大宮や歌舞伎町と比べると、銀座のお店は違いますか?

亜耶:全然違いました。キャバクラとクラブという違いもありますが、銀座のクラブは指名制ではないので、幾つかのお店を経験していくうちにお客様がついて、売り上げを出せるようになるんです。私も幾つか銀座のお店を経験していますが、若い頃から銀座で働いていたら、もっとハマっていたと思います。

◆菜々江ママに惹かれて銀座へ

――銀座で働き始めた当初からシングルマザーであることは公表していたんですか?

亜耶:聞かれたら言う程度でしたけど隠してはいなかったです。最初の2年ぐらいは気にしていたところもあったんですけど、昔と違ってシングルマザーのイメージも変化したので、むしろお客様のほうが受け入れてくださります。

――「クラブNanae」で働きだしたのは、どういう経緯があったんですか?

亜耶:私は格闘技観戦が趣味で、大きな大会があるときは息子と一緒に地方まで観に行くんです。オフ会などにも参加しているんですけど、福岡で「RIZIN」を観た後、お食事会に参加して、菜々江ママと知り合いました。その後、顔を合わせたら挨拶をする程度だったんですけど、いつも菜々江ママは私たち親子のことを気にかけてくれていて、息子にも贈り物をしていただいていたんです。そんな関係が1年ぐらい続いた後、「クラブNanae」の周年パーティーでお会いして、「週2回程度ですけど働きたいです」と私のほうからお願いしました。

――実際に「クラブNanae」で働きだして、どういうところがいいなと感じますか?

亜耶:銀座の高級クラブと聞くと敷居が高いイメージがあると思うんですけど、菜々江ママがSNSなどを駆使して、たくさんのメディアに出ているので、それをきっかけにいらっしゃるお客さんも多いんです。年齢層も幅広いですし、中には「菜々江ママに会いたかった」と女性だけで来られるお客様もいます。働いている女の子も若い子が多くて、先輩は優しく教えてくれますし、派閥もないので女の子同士の仲も良いです。私は子供がいるので、今は週に1、2回の勤務なんですけど、ここまでシングルマザーのことを理解してくれるお店も、なかなか銀座にはないと思います。

――接客では、どんなことを意識していますか?

亜耶:こちらが緊張すると、お客様も緊張するので、気遣いながらもラフに、あまり気張らないようにしています。

◆コロナ禍で「イチナナ」デビュー

――「クラブNanae」は、コロナ禍でいち早くリモート飲みを取り入れるなど、苦しい状況を乗り越えるための施策を打ち出し、テレビのドキュメンタリーにも取り上げられました。亜耶さん自身は、どのように過ごしていましたか?

亜耶:コロナ禍が始まった頃に、ぴたっと客足が途絶えて、私も1年以上、休業させていただいたんです。というのも埼玉在住なので、「夜の街クラスター」として取り上げられることの多かった銀座に通うのは周りの目が気になりました。それに息子が小学生で、親は私しかいないので感染する訳にもいきません。

――休業期間はどのように過ごされていたんですか?

亜耶:すごく運が良かったんですが、昨年4月に「17LIVE(イチナナ)」から声をかけていただいて、5月から1年間、ほぼ毎日配信をしていたんです。ちょうどコロナ禍というのもあって人気が出た時期だったので、すごく稼げました(笑)。

――リスナー(視聴者)は「クラブNanae」のお客様が中心ですか?

亜耶:始めた当初は、お客様のリスナーは一人もいなかったです。というのも最初は銀座のクラブで働いていることも話していたんですけど、他に有名なキャバ嬢さんなどもいたので、そこで勝負できないなと思ったんです。そこで私はゴルフが得意なので、ゴルフウェアにキャップやバイザーを被って、ゴルフライバーとして配信をしていました。当時はゴルフを中心に扱うライバーさんがいなかったので、男性女性問わず、多くのリスナーさんが視聴してくれました。

◆月100時間稼働して130万円を売り上げる

――ぶっちゃけイチナナで月の最高額は幾らでしたか?

亜耶:イチナナのゴールデンタイムが21時から2時ぐらいなんですけど、その時間帯を中心に月に約100時間、週に1回休むかどうかの頻度で配信をして、130万円ぐらいです(笑)。

――それはすごい!

亜耶:最近は「クラブNanae」に復帰したので、月に2、3回、生存確認で配信する程度ですけど。

――ちなみにゴルフの腕前はどれぐらいなんですか?

亜耶:ゴルフ好きのお父さんの影響で8歳からゴルフを習っていたんですが、今のアベレージは80台後半、よくやっていた頃は80を切ってました。実はゴルフ好きが高じて4年ぐらい前から最近まで男子プロゴルファーのマネージャーもしていたんです。

――本当に幅広いですね!ではコロナ禍はライバーとして充実した日々を送っていたんですね。

亜耶:そうですね。子供といる時間も増えました。

◆シングルマザーだからって諦めないで

――どういうタイミングで「クラブNanae」に復帰したんですか?

亜耶:「ナイトクイーングランプリ(NIGHT QUEEN GRANDPRIX)」に出ないかと菜々江ママからお話をいただいたからです。「ミスコンにシングルマザーが挑戦するのは価値がある」ということで、せっかくのお話だからとお受けして、出ると決めたからにはと復帰しました。負けず嫌いな性格なので、こういうイベントで張り合うのはワクワクします。

――亜耶さんは若くしてシングルマザーになりましたが、かなり苦労はされましたか?

亜耶:私は高校中退で水商売を始めたので、離婚した当時は知恵もないし、お金もない。実家にも頼りたくなかったので、区役所に相談して生活保護を受けながら、職業訓練講座を受けさせていただいたんです。そのときにパソコンを覚えて、その後にライザップで3年間働かせていただき、いろんなことを学びました。生活保護を受けていた半年間は、屈辱と申し訳ない気持ちでいっぱいで、絶対ここには戻ってこないという気持ちが強くありましたし、それをモチベーションに頑張りました。今の目標は子供に残せる仕事をしたいなと思っていて、自分の会社を作りたいんです。そのために自分に何ができるかを模索している最中です。

――夜のお仕事をしている女性にはシングルマザーも多いと思います。同じ立場の方に、どんなメッセージを送りたいですか。

亜耶:私はホステス以外にも、いろんな活動をさせていただいていますし、傍から見ると自由だなと感じると思います。でもシングルマザーはめっちゃ大変なんですよ! 離婚したくてもシングルマザーの道を選ぶかどうか悩んでいる方も多いですし、シングルマザーになった後も葛藤している方はたくさんいると思います。ただ、そんな状況でも、いろんなことを諦めないでほしいんですよね。夜の世界で働いていると、今回の「ナイトクイーングランプリ」のように、いろんなチャンスも舞い込んできます。そこで「自分なんか……」とか「時間がないから……」と諦めずに、夢に向かってチャレンジすれば可能性も広がると思います。

 関口亜耶さんは、11月8日に本戦を迎える「ナイトクイーングランプリ」のローズ部門にエントリーしている。同イベントは、コロナ禍に“夜の街”として苦戦をしてきた水商売業界の再起を目指して“夜の女王日本一”を決めるコンテスト。シングルマザー代表として、トップを狙う彼女のバイタリティーに期待したい。

取材・文/猪口貴裕 撮影/渡辺秀之 協力/日本水商売協会

―[コロナ禍の夜の街「働く女の仕事論」]―


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