美波、ジョニー・デップは「包容力もあって、何をしても自由でいさせてくれる方」映画「MINAMATA―ミナマター」撮影を振り返る

アーティストの坂本美雨がお届けするTOKYO FM「坂本美雨のディアフレンズ」。今回の放送は、日本・フランス・アメリカを拠点に活動する女優の美波さんがゲストに登場。現在公開中の映画「MINAMATA―ミナマター」に出演する美波さんが、製作・主演をつとめたジョニー・デップとの撮影裏話を披露しました。

美波さん

<映画「MINAMATA―ミナマター」解説>

水俣病の存在を世界に伝えた写真家・故ユージン・スミスと、アイリーン・美緒子・スミスが1975年に発表した写真集「MINAMATA」を題材に描いた伝記的映画。

アメリカの写真家・ユージンは、当時の妻・アイリーンとともに、1971年~1974年まで熊本県水俣市に滞在。水俣病に苦しむ人々の姿をカメラに収め、患者や家族の苦悩、公害の理不尽さを写真集「MINAMATA」で世界に伝えたことでも知られています。

本作ではジョニー・デップが製作・主演をつとめ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮らが共演。音楽は坂本龍一が担当しています。

◆共演者ジョニー・デップとの撮影秘話

坂本:映画「MINAMATA―ミナマター」は、製作・主演がジョニー・デップさんです。彼が水俣病に対して、とても思い入れがあったというところからスタートした今回のプロジェクト。どんなやりとりをしながら撮影したのですか?

美波:セルビアで2週間の準備期間があって、そのときに一度、ジョニーと私、監督のアンドリュー(・レヴィタス)、カメラマンのブノワ・ドゥロームでテストシューティングをしたんです。

セリフがなく、ただ写真を現像するシーンでした。(写真の現像室用の)赤い部屋を作って、真っ暗ななかで2人で現像しながら。ユージンはジャズが大好きだったので、ジャズを流しました。アンドリューが時々、曲を変えたりしながら、いろいろセッションをしていたんですけど、そこで初めて私はジョニーというか(彼が演じる)ユージンに出会って。ものすごいケミストリーが起こったんです。そのときに「これは大丈夫だ」って、みんなが思いました。

坂本:へぇ~!

美波:ジョニーと私、カメラマン、監督も含めて、何かが生まれた瞬間でした。そこから一気に不安や、いろいろと抱えていたものが抜けて、「ジョニーの胸に素直に飛び込める」って思ったんですよ。彼はそれぐらい素晴らしい役者さんですし、包容力もあって、何をしても自由でいさせてくれる方。初めてそういう方と一緒にお芝居をさせていただきました。

そんなジョニーに、「なぜこの映画を作ろうと思ったのか?」と聞いてみたら、「ユージン・スミスという人物は、僕ととても境遇が近い」って言うんです。「ユージンの抱えているものや乗り越えられないもの、いろいろなことが自分とリンクする」と。それがすごく印象に残っている会話でした。

坂本:水俣とその背景だけでなく、ユージン・スミスという人物そのものにも興味があったんですね。

美波:そうですね。もともとユージン・スミスという人は、第二次世界大戦のときもカメラを抱えて戦場に行き、そこで精神的にも肉体的にもボロボロになるんです。それで彼は、アルコールの力を借りて痛みを忘れようとしていたようです。アイリーンさんとお話をさせていただいたときに聞いたところでは、水俣にいたときも、実は相当、体が痛かったそうです。

坂本:そうなんですか……。

美波:それでも写真を撮り続けて。ユージン・スミス、アイリーン・美緒子・スミスによる写真集「MINAMATA」は、彼の最後の作品になることを自覚して挑んだ作品だったそうです。だから、とても思い入れがあったというか、最後とわかっていながら何かを作るということは、私には想像がつかないんですけど……。それぐらい強い思いが込められた写真集だったんですよね。そんなユージンをジョニー・デップという素晴らしい役者さんが演じるのは本当にピッタリだと思うし、素晴らしい映画になっているので、すごくうれしいですね。

* 

美波さんが出演する映画「MINAMATA―ミナマター」は現在公開中です。お近くの上映劇場は、映画「MINAMATA―ミナマター」の公式Webサイトでご確認ください。

https://longride.jp/minamata/(「MINAMATA―ミナマタ―」公式HP)

<番組概要>

番組名:坂本美雨のディアフレンズ

放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット

放送日時:毎週月~木曜11:00~11:30

パーソナリティ:坂本美雨

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/dear/

2021/10/24 6:00

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