1トンのシロサイ、顔の異常な腫れでCTスキャン検査受ける(南ア)

サイのCTスキャン検査は2018年、アメリカのシカゴでクロサイの雌に行われたのが「世界初」と『Newsweek』などで報じられていたが、このほど南アフリカで初めてCTスキャン検査を受けたのは雄のシロサイ“オズ(Oz)”だ。オズは2015年7月にクルーガー国立公園で密猟者に親を殺されて行き場を失っているところを発見され、世界最大のサイの孤児を保護している「Care for Wild」という団体に送られた。この施設でオズは同じ境遇のサイとともにリハビリを受け、段階的に行動範囲を広げて野生に近い状態に戻していき、継続的にモニターできる状態で観察されていた。

しかし今年の初め、オズの顔に異常な腫れが認められた。この報告を受け、「Care for Wild」の創設者のペトロネル・ニゥボウトさん(Petronel Nieuwoudt)は、ムボンベラにあるウェスト・エイカーズ動物病院(West Acres Animal Hospital)のアルバータス・コエチー医師(Albertus Coetzee)をはじめ、野生動物専門の獣医歯科専門医および顎顔面外科医らと話し合い、オズをプレトリア大学の施設である「Onderstepoort Veterinary AcademicHospital」に輸送することを決定した。

「Care for Wild」がSNSに公開した写真では、1トンにもなろうかというオズが麻酔をかけられた状態で手足を縛られて仰向けになり、CTスキャン検査の様子が映っている。巨大なサイをどのようにしてベッドに持ち上げたのかなどは不明だが、この大掛かりなCTスキャンの結果、歯根膿瘍であることが分かった。原因や膿瘍のある部位が分かったため、獣医たちはすぐに治療を行ったという。治療後のオズは再び「Care for Wild」の施設に戻り、今では問題なく食事ができるようになったそうだ。

ニゥボウトさんは「今回の共同プロジェクトで行った南アフリカ初の生きたサイのCTスキャン検査は、今後のサイのヘルスケアやリハビリテーションなどにおける画期的な出来事となりました。今回の経験、情報、知識は、サイを絶滅から救うための闘いにおいて驚異的な進歩です」と述べた。そして集まったスペシャリストチームの情熱に感謝を表している。

画像は『Care for Wild Rhino Sanctuary 2021年10月21日付Facebook「FIRST EVER CT SCAN ON A LIVE ADULT RHINO IN SOUTH AFRICA!」』『Care For Wild Rhino Sanctuary 2021年10月21日付Instagram「FIRST EVER CT SCAN ON A LIVE ADULT RHINO IN SOUTH AFRICA!」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 FLYNN)

2021/10/23 4:00

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