流行りの"1on1"を導入するときに把握しておきたいこと

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「うちでも1on1を始めるぞ!」

そんな号令が会社から出され、管理職の悩みがまた一つ増えています。

「1on1なんて、部下全員とやっている時間ないよ~」
「毎回の面談で、何を話していいのか困る……」
「部下自身も、何を話していいのか戸惑っているし……」

といった悩みだ。

今回は「1on1ミーティング」をどの様に導入し、自身のマネジメント向上に役立てていけばいいのか、解説して参ります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)

そもそも何故"1ON1"がもてはやされるのか?


ヤフーが導入したともあり、近年注目されている1on1。多くの企業が1on1といった上司と部下の面談の機会を推奨するようになってきていますが、背景には2つの大きな理由があります。

一つ目は、先の見えにくい時代になっている、ということです。先が見えず変化の激しい時代に大切なのは現場の情報です。これまでは、本社機能が沢山の情報を持ち、それをもとに決定された事項を従業員に伝え、仕事を進めることで企業は成長できました。しかし、変化の激しい時代に上層部が持っている情報はすぐに陳腐化します。より新鮮な生の一次情報を現場から吸い上げる必要があるのです。その際に1on1が有効になります。

二つ目は、ダイバーシティの広がりです。働くメンバーの価値観、働き方はますます多様化しています。「一生懸命に働けば偉くなるし、給料も上がって、いい生活が出来る」という価値観を共有していた昭和の高度成長期であれば、上層部はただ指示を出しているだけでも従業員はモチベーション高く保つことができました。

しかし今や、従業員の仕事への想いは様々です。従業員にモチベーション高く働いてもらい、高い生産性を上げていく為には、上司が個々人のモチベーションポイントを掴んでいく必要があります。

特にコロナ禍では飲みにケーションを始めとしたインフォーマルな会話が減っています。今こそコミュニケーションツールとしての1on1が必要と言えるでしょう。

1ON1に存在する2つの誤解

ですが、1on1には二つの誤解があります。一つ目は、1on1では仕事の話をしてはいけないというものです。先行導入した企業が、このやり方を徹底することにより業績向上に結び付けることが出来たことに由来するようです。

仕事の話をしない、といのは従業員のモチベーションポイントを掴むといった点においては有効な方法ですが、このやり方を続けるためには、上司にかなりのコミュニケーション能力が必要になってきます。なので、あまりこの点にはこだわらなくていいと私は思います。

二つ目の誤解は、上司は聞き役に徹しなければならないといったものです。メンバーのモチベーションポイントを掴むために聞き役に徹することは大切ですが、ポイントはメンバーに話をさせることです。このため上司には、話を聞きながらも、メンバーの思考が広がる上質な質問を投げかけることが必要になってきます。頷いて聞いているだけではダメなのです。

1on1を展開する上司、部下双方のメリット

1on1をスムーズに導入し、組織の生産性向上に結び付けるためには、その目的や理由を次の2つの観点で明確にしておく必要があります。1つは上司にとってのメリット、もう一つはメンバーにとってのメリットです。

・上司にとってのメリット

1on1によってメンバーのモチベーションポイントや強みの理解が進み、仕事を任せ育成に繋げることができるようになります。任された仕事を通してメンバーが成長することによって、上司自身の仕事の手離れがよくなり、マネジメントに集中でき、それによって、ますますメンバーが成長し、組織成果が出るようになっていきます。

・メンバーにとってのメリット

日頃の悩みや課題を相談する機会を得られることによって、自身の成長を実感することができます。また、自身のキャリア観を伝えることで、やりたい仕事への道が開かれる可能性が高まっていくでしょう。

こうしたメリットを上司とメンバーそれぞれが、しっかり理解をしてから1on1を導入すればさらに成果が出るのではないでしょうか。この他、具体的なコミュニケーション方法に関して別の機会にお伝えできればと思います。

【著者プロフィール】田岡 英明

働きがい創造研究所 取締役社長/Feel Works エグゼクティブコンサルタント

1968年、東京都出身。1992年に山之内製薬(現在のアステラス製薬)入社。全社最年少のリーダーとして年上から女性まで多様な部下のマネジメントに携わる。傾聴面談を主体としたマネジメント手法により、組織の成果拡大を達成する。2014年に株式会社FeelWorks入社し、企業の管理職向けのマネジメント研修や、若手・中堅向けのマインドアップ研修などに携わる。2017年に株式会社働きがい創造研究所を設立し、取締役社長に就任。

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