退職金が20年前より1000万円以上もダウンしていた。正社員の絶望的な未来
◆退職金の前払いが定着。正社員を襲う絶望的な近未来とは?
厚生労働省によると退職金平均額は’97年の2871万円をピークに年々減少。’18年は1788万円にと1000万円以上もダウン。人事ジャーナリスト溝上憲文氏は「今後さらに加速度的に減少する」という。
「勤続年数に応じて支払われる“年功型”から“成果主義型”の退職金制度に移行する企業が増加。役職や社内評価によって退職金額が大きく変わるので、企業側としては退職金を削りやすい制度とも言える。
それだけでなく、低金利下で積立金の運用難に陥り、想定した利益が出せずに減額に踏み切った企業も多い。今後は退職金をもらえても雀の涙、というケースがザラにある」
◆退職金制度自体がなくなっていく可能性も
しかし、雀の涙でももらえるうちはまだマシなのかもしれない。
「退職金制度自体がなくなっていく可能性も高い。現行の制度だと退職金の積み立て不足は企業が不足分を補塡せねばならず、財務上のリスクになる。そこで『積立金を給与に上乗せして前払いする』という名目で、運用を社員に一任する企業が増えています。
これだと会社は不足分を補塡する義務がない。しかし、社員からするとよほどうまく運用しないと本来もらえたはずの退職金より減るケースが多数です」
退職金の前払いと言われても、給料がジリ貧だと生活費に消えていくのがオチ。老後資金として退職金を当てにしていては、痛い目を見る時代になる。
【人事ジャーナリスト 溝上憲文氏】
月刊誌、週刊誌記者を経て独立。経営、ビジネス、人事、雇用、年金問題などを中心に執筆活動を展開。著書に『人事評価の裏ルール』(プレジデント社)など
<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/杉原洋平 モデル/加藤昌夫 伊藤義浩>
―[正社員[9割は負け組]説]―