伊集院光、パワハラ騒動でもドラマ出演の“無傷”はなぜ? 「テレビマンの間でほとんど話題になってない」「影が薄い」の業界評

 突然のパワハラ騒動から約1ヵ月。伊集院光が何事もなかったかのように通常営業している。9月17日、冠ラジオ番組『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ)月曜アシスタントで元TBSの新井麻希アナへのパワハラ言動がニュースサイト「NEWSポストセブン」で報じられたのだ。なんでも、伊集院は彼女に対して「いま新井は降板スレスレのラインだからな!」などと叱責していたという。

 この報道から3日後の20日、同番組を伊集院が夏休みで留守にする中、新井アナは卒業。前代未聞の幕引きとなった。そして、伊集院本人は翌週の27日放送から番組に復帰。その時にはパートナーがTBS・近藤夏子アナに代わっていた。

「この一件はネット上では騒がれていたようですが、テレビの人間の間ではほとんど話題になりませんでした。そもそも、伊集院自身のテレビ出演本数も多くないですし。大方の関係者たちは、今抱えている案件に何ら影響はなかったのでは」(業界関係者)

 そんな伊集院は、深夜ラジオ『伊集院光 深夜の馬鹿力』(同)などほかのレギュラー仕事も通常通りこなしている。さらには、日曜劇場『日本沈没ー希望のひとー』(TBS系)にも脇役で登場。もともと原作の大ファンで自ら出演を志願したという。 いずれにせよ、パワハラ報道の影響を微塵も感じさせない活躍ぶりだ。

 そんな伊集院の肩書といえば“ラジオの帝王”だ 。いくつもの番組が人気を誇っている一方、これら番組を聞かない視聴者からすれば、いったい何がそんなにすごいのか? どんな部分がタレントとして評価されているかピンとこないこともあるだろう。

 そこで、彼の業界評を聞いてみた。

「以前にレギュラー番組で仕事をした際は、あらかじめ下調べしてきたり、番組をどうすべきか積極的に提案してくれるなど、人一倍愛情を注いでくれました。ですから、仕事をした業界人は『また彼に』とオファーするのでしょう。しかし、いかんせん、彼が司会を務める番組は長く続かない(苦笑)。逆に言えば、それだけ局の期待を背負った時間帯を任された時期もあったといえますが。また、男性には支持される一方、女性ウケがあまり良くないのも、短命に終わる背景にあるでしょう」(放送作家)

 伊集院といえば、130キロを超える巨体も特徴。人気が出始めた当初は、その体を揺らしながらマンシガントークをするのが売りだったといえるが、“巨漢”という武器も、次第に専売特許ではなくなっていった。

「10〜15年前の雑学ブームのときは、特にテレビ朝日に重宝されて博識ぶりを披露していました。今も『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日系)などクイズ系の番組に出ていますが、博学系なら新たな逸材も出てきて、影が薄くなってきた感もある。また一方で、自身のゲーム番組やラジオではアンタッチャブルを可愛がっていましたが、彼らもどんどん売れていった。なんというか、ツイてないと言えばツイてない。伊集院にはそういう不運なところがあるように思えますね」(テレビ業界関係者) 

 テレビ業界ではこのような評価だが、“ラジオの帝王”としての経歴は華々しい。1988年にラジオパーソナリティとしてデビュー。実在しないのに握手会を開いてCDデビューまで果たした「芳賀ゆい」を生み出した『伊集院光のオールナイトニッポン』(ニッポン放送、88〜90年)から始まり、『伊集院光のOh!デカナイト』(同、91〜95年)、さらにニッポン放送とケンカ別れしたあとは『深夜の馬鹿力』(95年〜)『伊集院光 日曜日の秘密基地』(2000〜08年)そして冒頭の『伊集院光とらじおと』(16年〜)とTBSラジオ一筋。

「確かに、“ラジオの帝王”と呼ばれていますが、本人的はそんなことは思っていない。というより、むしろ否定している。しかし、周りがその肩書にひれ伏してしまって、萎縮したり忖度したりして、伊集院を“帝王”というか、“裸の王様”にしてしまっているかもしれません。イエスマンに囲まれたら、知らぬうちに暴走しているなんてこともあるのでは」(同)

 では、報じられている言動は伊集院のパワハラだったのか? これについては「彼はもともとは温厚な人柄」だと擁護の意見もある。

「少し話は変わりますが、『伊集院とらじお』の火曜アシスタントは元TBSの竹内香苗アナが務めています。彼女は以前、『伊集院光の日曜日の秘密基地』でもアシスタントを務めていたことがあったのですが、『秘密キッチの穴』というコーナーで伊集院や若手芸人がトーク中に、数十秒の間、居眠りしてしまったことがあるのです。放送事故につながりかねないハプニングでしたが、伊集院は大笑いしながら『次の目標はイビキだね。イビキか寝言だね』とおいしくイジっていました。パワハラ発言が本当だとしても、もともとはこうした懐の深い人柄で知られていることだけは言っておきます」(前出・放送作家)

 パワハラ報道の影響を無傷で乗り越えたように見える伊集院。ほかのタレントであれば番組降板に見舞われるほどの事件だが、よくも悪くも、テレビにおける影の薄さと女性視聴者の無関心さが、伊集院を救ったのかもしれない。いずれにせよ、“ラジオの帝王”が手のつけられないワンマンにならぬようスタッフは臆することなく対等に関係を築いてもらいたいものだが……。

(村上春虎)

2021/10/19 11:30

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