トヨタは大谷翔平にならなきゃダメだ!自動車業界EV化で出た結論

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―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

◆テスラ・モデル3を買った猪瀬さんと、自動車業界のEV化について激論しました!

 以前、猪瀬さんにお会いした際は、BMW7シリーズやメルセデス・ベンツSLKとかに乗られていたんですが、いつの間にかテスラオーナーに! EV(電気自動車)化の波は我々カーマニアを素通りして猪瀬さんにまで到達していました! そんなテスラオーナー・猪瀬さんと、自動車業界のEV化について真っ向対決。トヨタの戦略については意見が真っ二つに割れました。

永福ランプ(清水草一)=文 Text by Shimizu Souichi

◆猪瀬直樹vs清水草一

清水:猪瀬さん、テスラ・モデル3をお買いになったんですね。いかがですか?

猪瀬:2月に大幅値下げが発表されただろう。それで試乗を申し込んで、車庫に入ることを確認し、すぐネットで注文した。スタンダードレンジプラスしか在庫がなかったが、車両価格429万円にオプション装備が56万円、普通充電の設置に約20万円。補助金が合計105万円。差し引き約400万円だから、支払いは国産車並みだな。

清水:テスラ・モデル3は、アメリカ製から上海製への切り替えで、いきなり最大156万円も値下げしたのには度肝を抜かれました。既存の自動車メーカーには絶対できない荒業です。でもそのテスラが、日本ではサッパリ売れてない。

猪瀬:いや売れていないのではなく、注文に供給が追い付いていないだけ。納車半年待ちだったりしたから。

◆日本はメーカーもユーザーも意識が低すぎる(猪瀬)

清水:去年テスラ車はグローバルで50万台売れましたけど、日本ではたったの2000台弱ですよ。モデル3を大幅値下げした今年は、去年の2倍以上のペースで売れていますが、それでも5000台はいきそうにない。日本は先進国で唯一、テスラが売れてない国なんです。なぜだと思いますか?

猪瀬:日産リーフが低迷していることも含め、日本は、メーカーもユーザーも意識が低すぎる。気候変動への危機感がない。世界中で若者が立ち上がっているのに、日本ではそういうムーブメントが起きていない。

◆トヨタの戦略は素晴らしいですよ(清水)

清水:確かにそうですね。逆にEUが主導する急激なEV化に反感すら抱いてます。実際あれは、トヨタのハイブリッドつぶしの部分が少なからずあるでしょう。

猪瀬:そういう俗説をメディアが流している。メーカー側ももっと戦略的に動かなきゃダメだ。もう世界の趨勢はEV化なのに、世界のトヨタがこの潮流に取り残されたら、日本はおしまいだ。

清水:いやいや猪瀬さん、それは違うと思います。トヨタの戦略はすばらしいですよ。

◆全固体電池でゲームチェンジャーになることを狙ってます(清水)

猪瀬:なに?

清水:日本みたいに火力発電が8割の国でEV化を進めても、逆に環境負荷は高まってしまう。そういう国では発電の脱炭素化が先決で、今のところハイブリッドのほうがベターです。

一方で、すでに発電の脱炭素化が進んでいるEUでは、順次EV化を進める。トヨタは2030年にEVを200万台、ハイブリッドを600万台売るという目標を発表しましたが、私が計算したところ、2035年にEV化が必要になるトヨタ車は、合計165万台くらいなんです。つまりドンピシャ+αだし、これが最もCO2排出量を抑えられる配分でもあるんですよ!

猪瀬:そんな悠長なことを言ってるうちに、シェアを取られてしまう。

清水:いや、今からテスラと同じリチウムイオンバッテリーのEVで全力追走しても、無駄な投資になると思います。トヨタは、現在開発中の全固体電池で、ゲームチェンジャーになることを狙ってますよ!

◆クルマもネットで注文するのが当たり前に(清水)

猪瀬:全固体電池はトヨタの独占技術にはならないし、大したリードタイムは取れない。

清水:であっても、テスラみたいにクルマもネットで注文するのが当たり前になれば、過去のシェアはほとんど無意味になる。つまり、いまシェアを奪われても、いい製品を出せば必ず巻き返せる。いまは開発の時期なので、急いで追いかける必要はないですよ!

◆ハイブリッドは所詮iモード付きのガラケー(猪瀬)

猪瀬:キミのような自動車評論家が、そんな後ろ向きなことを言ってるからダメなんだ! もっと前を見てみろ! ハイブリッドは所詮iモード付きのガラケーで、スマホではない。テスラという新しいスマホの脅威がわかっていない。日本にいまテスラみたいなクルマがあるか?

◆消えるガソリン車のスポーツカーに気持ちが(清水)

清水:うーん、逆に間もなく消えるガソリン車のスポーツカーに気持ちがいってますね。NSXやGT-Rは消えるけど、次期フェアレディZに期待とか(笑)。

猪瀬:キミの黒いフェラーリは何年前のモデルなんだ。

清水:32年前です。

猪瀬:走行距離は何㎞?

清水:いま2万7000㎞です。

猪瀬:そんなに少ないのか(笑)。

清水:ガソリン車でも、乗らなければエコなんですよ!

◆トヨタは大谷翔平にならなきゃダメだ!(猪瀬)

猪瀬:そんな屁理屈を言ってる場合じゃないだろう。まあ、フェラーリはニッチだからいい。しかしいまの日本を見てみろ。’70年代のオイルショック時、ホンダは世界に先んじてCVCCエンジン(低公害エンジン)を出した。そういう先進性がないじゃないか!

清水:それはまあ……。いまの日本が世界に誇れるのは、大谷翔平くんくらいですかね。

猪瀬:トヨタは大谷翔平にならなきゃダメだ。

清水:でも、今すぐじゃなくてもよくないですか?

猪瀬:もっと前向きなビジョンを示さないと、世界の投資家が逃げてしまう。このままだとトヨタが日産になってしまうぞ!

◆【結論!】

 トヨタの戦略は出遅れなのか逆張りなのか? 未来のことは誰にもわからない。ただ、日本のカーマニアとして、「トヨタが間違ってたら、それはもう仕方ない」という気持ちはある。そのときは一緒に沈没します!

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

【清水草一】
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

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