放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。10月10日（日）の放送では、この日が“銭湯の日”ということで、小山による「銭湯紀行」をお届けしました。

（左から）小山薫堂、大久保勝仁さん、宇賀なつみ

今回、小山が取材で訪れたのは、東京都墨田区にある創業100年以上の老舗銭湯「電気湯」（京成曳舟駅から徒歩およそ5分）。銭湯を切り盛りするのは、4代目店主、27歳の大久保勝仁さんです。

大久保さんに話を伺いながら、「電気湯」のお風呂とサウナを存分に堪能した小山。取材の模様を聴いた宇賀が、「素敵なおじさまの入浴シーンをお届けしました（笑）」と笑いを誘うと、小山は「おじさんがお湯を浴びている音って……全国に流していいんですかね？」と苦笑い。すかさず宇賀は、「でも、本当にいい気分で入れるお風呂なんだなっていうのは伝わってきましたよ」とフォローします。

そんな和気あいあいとしたトークを挟みつつ、なんとこの日は「電気湯」店主の大久保さんがゲストとしてスタジオに登場。話を聞いてみると、4代目を引き継ぐ前は、2019年の夏まで国連職員として働いていたというから驚きです。

ゆくゆくは自分が銭湯を継ぐという意識は「全然なかったですね」と大久保さん。「（店主を）始めるまでは僕のなかで（銭湯は）日常だったので。家に庭があるレベルで銭湯があったので、そんなに仕事としては見ていなかった」と言います。

しかし、3代目として切り盛りしていた祖母が「やめる」と言い出したのをきっかけに、「じゃあ（自分が）継ぐか、となった」といきさつを語ります。

国連職員時代を振り返り、「国連って、空中戦をずっとやっているようなところがあるんですよ。数字と理論で戦って、根回しや交渉をして……みたいな。僕はもともと現場出身なんです。

NGOを出ているので、現場を見ている身としては、自分の口から出る言葉が現場にどう届いていて、どこに届いていないのかがわからないのがすごく気持ち悪かったんですよ。現場と国連で、意思決定の場の乖離にすごくてモヤモヤしていた」と大久保さん。そんなタイミングで、祖母から「やめる」と聞かされ、気持ちが4代目を引き継ぐほうへと傾いていきました。

電気湯の公式マスコットキャラクターの「ビリーくん」

最終的に「やる」と決めた理由は2つあり、「もともと都市や建築を学んでいたので、公共の生活空間みたいなものは街に必要だよなと思っていたのと、もっとローカルでフィジカルなことをやりたいと思っていた」と思いを語ります。

創業100年以上を誇る「電気湯」という名前の由来は、大久保さんによると「昔は電気で沸かしていたから」。長きにわたり地元の人たちから親しまれており、小山が取材に伺った際にも、「オープン15分前に、銭湯の外観を撮影しようと思って、ガラガラとシャッターを開けたら、地元の人たちが20人ぐらい待っていた」と話すほど。

このときに「電気湯」を訪れた人たちの声を聴いて、「毎日お風呂に入ってくれるし、ご近所づきあいをしていると、“銭湯をなくしてたまるもんか！”っていう思いにもなりますよね」と大久保さん。

小山が「『電気湯』のなにがいいかって、本当に普通なんですよ。最近流行りの特別なものがあって凝っているとか、若者が喜びそうな演出がなされているとか、そういうものがまったくないのがいい」と話すと、大久保さんは「僕はもともと建築を勉強していて、学生の頃は空間を作るプランナーだったんですけど、人の行動をプランナー側が決めてしまうのはあまり良くないなと思っていて。やっぱり空白を生まないと、空白を埋められる空間ができないので（あえて）なにも手を入れないようにしています」とこだわりを語ってくれました。

「電気湯カラー手ぬぐい」は好評発売中

次回10月17日（日）の放送も、どうぞお楽しみに！

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聴取期限　2021年10月18日（月） AM 4:59 まで

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＜番組概要＞

番組名：日本郵便 SUNDAY’S POST

放送日時：毎週日曜 15:00～15:50

パーソナリティ：小山薫堂、宇賀なつみ

番組Webサイト：https://www.tfm.co.jp/post/