エアコンから「ゴキブリが出てきたことも」清掃業者が教える簡単ケア

 ちょうど季節の変わり目である今。夏に使い倒したエアコンを放置していたら、知らぬ間に……。 

「ルーバー(吹き出し口)に黒い斑点が見えたら中はカビだらけです」

 そう語るのは、ハウスクリーニング全般を請け負う清掃業者、株式会社志事人の代表取締役・鶴原利彦氏だ。エアコンのカビやホコリが健康を害することは言うまでもないが、恐怖はそれだけではなかった!

 今回は掃除のプロに、この時期にエアコン清掃を意識するべき理由や、簡単にできるケア方法を聞いた。

◆清掃業者が経験「エアコンの中からゴキブリが…」

 鶴原氏は、自身も数年前まで年間約1000件の清掃現場をこなしていた。そのなかでも“ゴキブリ”が苦手だったという。

「お客様の家に出向くと、『中にゴキブリがいるんです!』とエアコンがガムテープでぐるぐる巻きにされていて。あるときは、清掃前の運転確認でスイッチを入れると、ゴキブリが飛び出してきたこともありました」

 特に9月~10月の時期に死骸で見つかったり、飛び出してきたりする事件が多発。

「ゴキブリは薄暗くて湿度のある環境が大好きです。冷房を使用する機会の多い夏は、エアコンの内部が結露して、湿気がたまりやすくなります。また、この時期はフィルターにホコリなどの汚れが蓄積されていて、こうした環境はカビや雑菌が繁殖しやすくなり、ゴキブリは何でも食べるのでエサにもなります。エアコンはゴキブリにとって、過ごしやすい場所と言えるでしょう」

◆対策は「侵入させない」「居心地が良い環境を作らない」

 エアコンをつけた瞬間にゴキブリが飛び出してくる光景は想像したくもないが、そもそもゴキブリはどのようにしてエアコンの内部に侵入するのだろうか?

「室内にいたゴキブリがルーバーの1〜2cmの隙間や上部から入っていくこともありますが、一番多いのはドレンホース(※エアコン運転時に発生する水を屋外に排出するホース)の先から侵入するパターンです。これは、100円ショップなどで売られている防虫キャップを装着することで防ぐことができます。

 ほかにも室外機につなげるためのホースを埋めているパテの隙間から入ってくることもありますので、経年劣化していないかこまめにチェックが必要ですね」

 対策としては、侵入経路をふさぐ、エアコン内部をゴキブリにとって居心地の良い環境にしないことだ。

 昨今はコロナ禍でリモートワークが中心となり、在宅の時間が増えた。それに伴い、以前に比べて各家庭のエアコン使用頻度が多くなり、汚れるスピードも加速しているという。室内で喫煙している場合はエアコン内にヤニが染み込み、ゴキブリが住みやすい環境になってしまうというから注意が必要だ。

◆室内にゴキブリが侵入する意外な経路「キッチンの換気扇」

「じつは、キッチンのレンジフード(換気扇)からゴキブリが侵入することが意外と多いんです。多くの住居ではトイレと浴室とキッチンのダクトが一体となって繋がっています。どこかのダクトから入ってきたゴキブリが湿気の多いキッチンの換気扇に引き寄せられ、隙間から室内に……。

 換気扇の掃除をされない方の場合は、油汚れで身動きが取れなくなったゴキブリがそのまま死骸となって清掃時に落ちてくることもありますね」

 鶴原氏によれば、ダクトから侵入するゴキブリを防ぐことはできないそうだが、換気扇の上から布製のフィルターをつければ汚れにくくなり、ゴキブリが留まらず、室内への侵入を防ぐことができるという。

「ゴキブリはだいたい油や湿気があるところに留まります。まずは清潔を心がけることですね」

◆エアコン内の結露とカビは簡単に防げる

 前述のように、エアコンにゴキブリが潜む理由として、鶴原氏は内部の“結露による湿気”を指摘するが、簡単にできる対処方法はないのだろうか。 

「冷房を使用するとエアコン内部が結露します。そのまま放置すると湿気がたまり、カビが繁殖してしまいます。そこで、冷房を使用した後は暖房や送風などを30分程度行い、内部を乾かしてから電源を切るようにしてください。

 これだけで、湿気や汚れが大きく軽減します。実際、暖房しか使わないという家のエアコン内部はほとんど汚れていないんです」

◆「お掃除不要」を鵜呑みにしてはいけない

 また、フィルターの掃除は最低でも半年に1回はしたほうがいいとか。とはいえ、「お掃除不要」と謳われて販売されているエアコンも多いはずだが……。

「その言葉を鵜呑みにして本当に一切お手入れをしないと、やはり汚れます。『お掃除機能付きエアコン』でもダストボックスにはホコリが溜まっていますので、取り除かなければなりません。ダストボックスとフィルターは、半年に1回はお掃除することをおすすめします。

 ただ、ご自身でのお手入れはその程度にとどめておきましょう。市販されている『臭い取りスプレー』を噴射される方がいるのですが、配線基板などにかかってしまい火災の原因になることもあります。そもそもそうしたスプレーで汚れや臭いが取れることはほぼありません。香水を上からかけて誤魔化しているようなものです」

 過剰な清掃は不要だが、どんなタイプのものでも適度なエアコンのお手入れは必須。大掃除には少し早いが、特に注意が必要なこの時期にエアコン内部を点検する習慣をつけたい。

<取材・文/松本果歩>

【松本果歩】

恋愛・就職・食レポ記事を数多く執筆し、社長インタビューから芸能取材までジャンル問わず興味の赴くままに執筆するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり、店長を務めた経験あり。Twitter:@KA_HO_MA

2021/10/16 8:54

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