離婚までの100日を描いたコミックエッセイが壮絶。夫の不倫、DVに妻はどうすべきか
「こんなはずじゃなかったのに」
結婚後、多くの妻(や夫)が一度はつぶやく言葉かもしれません。でも我慢が限度を超えた時、妻はどう行動すればいいんでしょうか。
『離婚まで100日のプリン』は、離婚までの100日間を綴ったコミックエッセイです。無駄なく効率よく離婚するため、段取りごとに弁護士コラムも掲載された、まさに離婚バイブル。夫のモラハラ、DV、そして不倫。「これって離婚案件では」と妻が悩んだ場合、どこを判断基準にしたらいいのでしょう。
◆結婚したらモラハラ夫に豹変
意外に気づけないのがモラハラ。結婚する前はやさしかったから、と耐えてしまう妻。でも現実には、結婚してから本性がわかる男性もいるのです。妻が夫に恐怖や嫌悪感を抱きながらも、事を荒立てまいとして夫を気遣う、というように、その場をやり過ごすのは得策ではないと本書は言います。夫に恐怖や嫌悪感を抱いたら、もう危険サインです。
◆別居中の「婚姻費用」とは
夫の収入がないと生活できない、と躊躇している妻もいますが、本書によると、勇気を出して別居に踏み切るべき。別居しても、「婚姻関係が続く限り、お互いの生活が成り立つように、婚姻費用を負担しなければならない」と民法で定められています。つまり、もし夫のほうが収入が多ければ、別居しても妻・未成年の子の生活費=婚姻費用を、夫が支払う義務があるわけです。
まずは自分の身を守り、自立できる準備をしましょう。
◆すぐ離婚するより、別居で長期戦にもちこむ
夫の不倫。それは突然わきあがる疑惑です。夫がスマホを離さない、夫のスマホをチラ見したらあやしいLINE。妻の頭に離婚の文字が浮かび、激情にかられて離婚届を叩きつけそうですが、ちょっと待って。本書いわく、「サレ妻は『別居して長期戦』が有利」なんです。
愛がなくなった夫からいち早く逃れたいのはわかりますが、離婚より大切なのは離婚後の人生、「別居して長期戦に持ち込み、収益の最大化を図りましょう」と本書。なぜなら、前述したように、別居している間は相手から婚姻費用=生活費を取れるから。離婚するよりも、金銭的には得だったりするわけです。
◆不倫されたら、何をすべきか
本書には、不貞の証拠の集め方から離婚訴訟のやりかたまで、ポイントごとに詳しく解説。さらに妻側と夫側の離婚後の生活、不倫相手のその後まで描かれていて、読者が楽しめるように工夫されています。
不倫夫に情は無用。人生は誰のものでもなく、自分だけのもの。女性の生き方を改めて考えさせられる、そんな1冊です。
―小説家・森美樹のブックレビュー―
<文/森美樹>
【森美樹】
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)を上梓。Twitter:@morimikixxx