「いじめ」に悩む子どもたちにメッセージ 若新雄純「生きる場所はほかにもある。逃げることは生き抜くこと」
市川美絵がパーソナリティをつとめるラジオ生放送番組「Seasoning~season your life with music~」。9月16日(木)の放送は、木曜レギュラーパートナーの若新雄純(慶應大学特任准教授などをつとめるプロデューサー)が登場。最近起きたニュースを独自の視点で解説する「若新雄純の『色メガネ』」のコーナーでは、「小学生児童のタブレット端末でのいじめと自殺」について取り上げました。
木曜レギュラーパートナーの若新雄純
◆若新、いじめからは「逃げていい」
東京都町田市で昨年11月、同級生からのいじめを訴える遺書を残して小学6年の女子児童(当時12歳)が自ら命を絶ちました。両親は「学校で配布されたタブレット端末での悪口の書き込みがいじめにつながった」と訴え、文部科学省は事実確認に乗り出しました。
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文部科学省は現在、全国の児童・生徒に“1人1台”の学習者用タブレット端末と、高速ネットワーク環境を整備する取り組み「GIGAスクール構想」を進めています。
今回の件を受けて、「親や先生の目の届かないタブレット端末が配備されたからではないか?」という声もあるものの、若新は「(タブレット端末に限らず)目の届かない空間は、いままでにもたくさんあった。根本的にはテクノロジーの問題ではなく人間関係。いじめそのものが、どこで発生して、どこで可視化されているかというだけの話」と指摘します。
そして、考えるべきことは「人間がテクノロジーに追いついていないこと」と主張。インターネット上では、人々が自由に書き込み、発信できる環境が広がっているなか、「僕たちにとっての社会が拡大している。社会の仮想空間が拡張していくと、人の目は行き届きにくくなると思うけど、それは十分にわかっていたこと。テクノロジーを問題視するのではなく、テクノロジーにどうすれば人間が少しでも追いついていけるかということを考えるべき」と自身の見解を示します。
タブレット端末があったから“いじめ”が発生したのではなく、「人間がいじめてしまうという実態があるにも関わらず、(インターネットのような)無限に公共空間が広がっていく社会をどう捉えていくかが大事。おそらく、そこをきちんと考えていなかったのではないか」とコメント。
若新は、そう述べつつも「テクノロジーに人間が追いつくことは不可能だと思っている」と前置きしたうえで、「大事なことは(児童・生徒が)自殺してしまう前に、“逃げていい”と伝えること。そこで大事なのは、(生きる場所は)ここだけじゃなく、ほかにもあるということを知ること」と声を大にします。
いじめられた側は逃げることはよくないこと、だから“逃げ場がない”と思ってしまいがちですが、若新は「逃げることは生き抜くこと。人生は、いま自分がいるステージが“絶対”じゃない。でも僕も、地元を出るまではそんな簡単なことに気づけていかなかった。でも、社会にはいろいろな場所がある。人生の大きな予定変更はあり」とのメッセージも。
さらに「根本的に、人間が集団をつくるとその社会空間のなかで誰かが誰かを攻撃したりいじめるようになるという図式はなくならないというのはわかってきていることだから、(子どもたちは)いざというとき逃げる術をもっとしっかり身につけないといけない。だって、家にいてもネットでその空間に接続できてしまう時代なのだから」と語りました。
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<番組概要>
番組名:Seasoning~season your life with music~
放送日時:毎週月曜~木曜 13:30~15:55
放送エリア:TOKYO FMをのぞくJFN全国20局ネット
パーソナリティ:市川美絵、角田陽一郎(月曜)、乙武洋匡(火曜)、副島淳(水曜)、若新雄純(木曜)
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/38286