海で遭難し1か月漂流した男性「コロナのこと聞かずいい息抜きになった」(ソロモン諸島)

拡大画像を見る

南太平洋に浮かぶ大小1000を超える島々から成る国、ソロモン諸島在住のリヴァイ・ナンジカナさん(Livae Nanjikana)とジュニア・コロニさん(Junior Qoloni)は先月3日、60馬力のエンジンを1つ搭載した小型モーターボートで同国モノ島を出発した。

2人はモノ島から南東へ約200キロの距離にあるニュー・ジョージア島のノロという港町を目指した。2人が航海しようとしていたソロモン海は、荒れていて予測不可能な海域として知られており、経験豊富な船乗りにとっても航海するのは難しいという。

リヴァイさんとジュニアさんは長年船に乗ってきた熟練者であり、「以前にも同じ航路を辿ったことがある」と話していた。2人は目的地までの途中にあるベラ・ラベラ島とギゾ島という2つの島を目印に船を進める計画を立て、自信を持って出発した。

ところが航海を始めてから数時間後、空が厚く暗い雲に覆われ、大雨や強風が吹き荒れる悪天候に見舞われてしまったという。一時的なものであればよかったがこの悪天候は1時間も続いたといい、ボートに搭載していたGPSトラッカーのバッテリーが切れてしまった。さらに激しい雨のせいで目印にしていた海岸線を見失い、2人は現在地が分からなくなった。

リヴァイさんは「天気が悪くなってしまったときも酷い状況だったのですが、GPSが壊れたときはもっとひどく、怖くなってきました。どこに向かっているのかも分からなくなり、到着予定時刻が過ぎていたので燃料節約のためにエンジンを止めて待つことにしました」と当時を振り返る。

それから9日間、2人はボートに積んでいたオレンジを食べて飢えをしのいだ。そしてオレンジが無くなると船の帆を広げて雨水を溜め、海の上に浮かんでいるココナッツを見つけて拾い、持っていた小さな斧や船の錨を使って中身を取り出して食べていた。そしてリヴァイさんたちは、昼も夜も神に祈りを捧げて漂流中の時間を過ごした。

来る日も来る日も周囲に海岸線や島の影は見えず、2人は徐々に衰弱していったという。それでも気力を保って漂流し続けていると「神様が“帆を張るための器具を作る”というアイディアをくださいました」とリヴァイさんは話す。

そしてパドルを使って帆を張り、風に任せて船を進めると航海を始めてから27日目に島の影を発見した。この島はパプアニューギニア領のニューブリテン島だった。やっと見つけたこのチャンスを逃すまいと一心不乱にその島に向かったが、自然が味方をしてくれずなかなか辿り着くことができなかった。

そして2日間かけてようやく島に近づいたが、あと少しというところで燃料が底をついてしまった。しかし遠くにカヌーに乗った地元の漁師を見つけたリヴァイさんたちは、必死にカヌーに手を振り大声で呼び続け、なんとか漁師に気付いてもらうことができた。

ボートをけん引してもらったリヴァイさんたちは、こうして航海を始めてから約1か月ぶりに地上を踏みしめた。

地元漁師からここがパプアニューギニアであることを教えてもらったリヴァイさんは「まさか他の国にいるとは思わなかった」と当時の心境を明かしている。それもそのはず、リヴァイさんらは目的地と真逆の方向に流されて隣国にまで辿り着いてしまったのだ。

救助された当時、リヴァイさんたちは衰弱しており歩くこともままならなかったそうだ。地元漁師の家で食事を用意してもらった後、病院で治療を受けている。現在はパプアニューギニアのポミオ地区で過ごしており、パプアニューギニアとソロモン諸島の間で2人を本国へ送還するための手続きが進められているという。

しかし過酷な漂流生活を1か月経験したにもかかわらず、リヴァイさんは「海に出ている間、外で何が起こっているのか全く分かりませんでした。コロナのことも耳にすることはありませんでした。家に帰るのは楽しみですが、全てから解放されていい息抜きになりましたね」と前向きなコメントを残している。

画像は『The Guardian 2021年10月8日付「‘It was a nice break from everything’: two men rescued after 29 days lost at sea」(Photograph: Alamy Stock Photo)』『SIBC 2021年10月6日付「Nanjikana and Qoloni epic survival story」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

関連リンク

  • 10/13 6:00
  • Techinsight japan

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます