YouTube開設の「のん」に聞く、やりたいことを貫き通すコツ
女優業にとどまらず、自ら音楽レーベルKAIWA(RE)CORDを立ち上げたり、絵を描いたり、さらには初の劇場用長編でメガホンを取った映画『Ribbon』の公開も控えるなど、精力的に活動を続けるのん。
彼女が参加する新プロジェクト『越境放送』が始動した。これは、YouTube、テレビ番組、屋外ビジョンの3つのプラットフォームが、それぞれの垣根を越えて連携する超実験放送プロジェクト。10月1日からは、新ドキュメントバラエティ番組『越境放送バリ』(読売テレビ)もスタートしている。
プロジェクトに関連して、新たにYouTubeチャンネル『のんやろが!ちゃんねる』を立ち上げたのん。「素ののんを発信したい!」と意気込むのんに、その意図や、チャレンジを続ける行動力の秘密を聞いた。
◆YouTubeで素の自分を見てほしい
——これまでもYouTube『のん OFFICIAL』などでの発信はありましたが、「素ののんを発信したい!」とコメントされている『のんやろが!ちゃんねる』が新たにスタートしました。YouTubeならではの可能性をどう感じていますか?
のん:YouTubeは個人でもできるところが素敵だなと思います。全部おひとりでやられている方もいるし、すごくカッコいいなと思っています。今回の企画の場合は、読売テレビの『越境放送バリ』を基に、YouTubeに挑戦していくという枠組みで、越境して3方向から発信していく新たな挑戦なので、すごくワクワクしています。
配信系の企画では「のんおうちで観るライブ」という生配信の音楽ライブを、ギタリストのひぐちけいさんと一緒に、チケットを買ってくださるファンの方のためにやっています。そこでは、私が自然に喋っているところも見せてきました。今回のYouTubeでは、よりオープンな場で、多くの人に「素ののん」を見ていただけると思っています。
◆「のんってこういう脳みそしてるんだ」とさらけ出したい
——今はやる気満々ですか?
のん:そうですね。やる気満々です(笑)。役者のお仕事だけをやっていたときは、自分自身の気持ちを伝えるのではなく、「作品に共感して欲しい」「私自身ではなく演じている役を見て欲しい」という思いでした。今は自分が作り手にもなっています。絵を描いたり、音楽をやったり、映画を作ることにも挑戦させていただいています。
自分の作ったもので何かを感じてもらう機会が増えたからには、自分の考えも発信していかないといけないなって。役者からスタートしているので、どうしても「なぜその人が作り手になったの?」とハテナに感じている人もいるはずですよね。「なんで絵を描くの? 音楽やるの? 映画を作ったの?」と。作り手から始まっている人よりも、そういう疑問が沸くと思うんです。
なので、(のんが)どういう人となりをしているのか、この人はこういう感じの人で、モノづくりをしていきたい人なんだなというのを伝えたい。そうすれば、もっと自分の、のんになってからの活動に共感してもらえるのかなと思いました。
——「素ののん」さんをというのも、ただ単にラフという意味に加えて、作り手でもある自分として「こういう人です」と伝えていきたいと。
のん:「のんってこういう脳みそしてるんだ」みたいにさらけ出せればいいなと思っています。
◆私も、色んなことを諦めないできているわけじゃない
——本当に多くの挑戦をしていますが、やりたいことがあっても行動できず、諦めてしまっている人も多いです。自分の背中を押すために、何かしていることはありますか?
のん:たとえば、落ち込んじゃったときには、慰めてくれそうな人に「慰めて」って言うようにしてます。
——あはは!
のん:「私は慰めてもらいに来たんだよ」と最初に言っちゃう。「元気になれるようなことを言って欲しいんです。私のいいところを言ってください」と。ちょっと面倒くさがられやすい方法なので、信頼できる人にお願いするのが大切です。
——確かに。でも「頑張れよ、お前」「お前ならできるよ」と、お願いしてでも言ってもらうのはいいかもしれませんね。
のん:そうすると「自分って、割といい感じなのかも」と、だんだんその気になれます。周囲の声を借りてでも、自分をその気にさせると、行動的になれる。私はそうしてます。
でも私も、色んなことを諦めないできているわけじゃないですよ。これは諦めるけど、こっちは絶対やりたいとか。自分の一番やりたいことを貫き通すために、行動している気がします。
◆めっちゃ自分のことを誉めてあげる
——モチベーションを維持するために、自分自身でやっていることはありますか?
のん:ストレッチするようになりました。10代や20代前半のときよりも、「体が硬いな、体がきしむな」ってことが分かるようになってきて(苦笑)。
——体と脳は連動していると……。
のん:言いますよね! 私、もともと体は硬かったんですけど、ちゃんとストレッチをするようになったら、10代のときよりも全然体が柔らかくなりましたよ。毎日やれているわけではありませんが「やるぞ!」と思ってやれたときに、めっちゃ自分のことを誉めてます。
変に毎日と決めてしまうと、できなかったときに「あぁ、できなかったな」という後悔になっちゃうので、できたときに「あんなにやってこなかったのに、自分エライ! すごい!」という思考になってます。
——実際に成果を感じられると、また続けられますね。
のん:はい。細かい、ちっちゃ~なことでも、成果が出たら自分を誉めたり、自慢したりしています。
◆今まで見せてこなかった「のん」
——最後に、いよいよスタートした『越境放送』ですが、抱負をどうぞ。
のん:『のんやろが!ちゃんねる』でいろんな企画に挑戦しながら、今まで見せてこなかったのんを出していきたいと思っています。のんになってから、いろんな活動をしていて、「この子はなんなんだろう」と思っている方もいるかもしれませんが、YouTubeを見て、面白がってもらえたり、共感してもらえるように頑張ります。
<取材・文・写真/望月ふみ>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異
Twitter:@mochi_fumi