補聴器メーカーも「デジタルの日」に賛同、AIがもたらす新しい聴覚ケアの世界を訴求

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 新しく創設されたデジタル庁が10月10日・11日を「デジタルの日」に制定したことを受け、多くのIT企業や小売企業が記念日にちなんだキャンペーンやイベントを開催している。そんななかで注目したいのが、ヘルスケア企業の取り組みだ。世界的な聴覚ヘルスケア企業であるデマントの日本法人デマント・ジャパンは、10月11日にオンラインで「フィリップス・最新デジタル補聴器体験会」を開催。「デジタルの日」に賛同する思いを発表するとともに、最新デジタル補聴器のメリットを体験を交えて紹介した。

●“デジタルでつながる”が共通点 補聴器の新しいアプローチ


 「デジタルの日」のコンセプトに「誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル化」というものがある。真っ先に思い浮かぶのは、仕事や日常生活、教育におけるデジタル格差だ。現代においては、例えば仕事でデジタルを使いこなせれば便利だが、使えないと仕事そのものができないという状況が生まれている。デジタルの日の根底にはこうした問題を解決しなければという意識がある。
 実はこれはヘルスケアの分野にも共通する。聞こえにくさによって人や社会と距離ができてしまった難聴者は何もしなければさらに孤立してしまうが、デジタル技術で進化した補聴器を使用すれば、つながりを維持あるいは取り戻すことができるからだ。
 デマント・ジャパンの武田和浩セールスマネージャーは「行政のデジタル化の重要なポイントは“つながる”ということ。フィリップス補聴器の製品コンセプトは“Connnections”。デジタルによって人や世界とつなげたいという思いがある。われわれは補聴器によって難聴で困っている人の人生をトランスフォームしたいと考えているが、これはまさに『デジタルの日』の理念だ」とコメントした。
 今回の発表会では「デジタルの日」に賛同するだけでなく、最新の補聴器の魅力を知るための体験会も開催された。ゲストとして登場したのは関根勤さん。家電に詳しいことでも有名な関根さんだが補聴器については「“デジタル”というイメージがなかった」そうだ。健聴者が実際に難聴者の聞こえ方を理解するのは難しい。関根さんも「聞こえにくいということは分かるが、実際にどのように聞こえているのか分からない」と語る。
 難聴の方は実際にどのように音が聞こえているのか。体験会でフィリップス補聴器が用意した「難聴者が聞いている音」を流したところ、関根さんは「暴風雨?」と回答。しかし、実はこれは「波の音」。難聴者は特に高い周波数帯の音が聞こえにくいので、本来の音とはだいぶ異なる音に聞こえるそうだ。
 続いて、関根さんは難聴者の聞こえ方を再現するヘッドホンを装着。テレビを視聴し、音量の聞こえにくさを体感した。関根さんはリモコンで聞こえやすい音量までボリュームを上げていくが、ヘッドホンを外してびっくり。本人が想像していた以上の大音量になっていた。

●AIやデジタル機器との連携がもたらす新たな補聴器体験


 フィリップス補聴器がこうした難聴者が抱えている問題を解決する原動力となっているのが、まさにデジタルの力だ。例えば、AIによる音声処理技術は数十万の音環境の学習・検証を重ね、知識を蓄積した学習済みの人工知能を搭載し、騒がしい環境でもクリアな音を届ける。リアルな状況に基づいてノイズを処理するので、はっきりと音を聞きとることができる。
 他のデジタル機器と連携する機能も難聴者にとってはありがたいものだ。フィリップス補聴器の製品はスマートフォンだけでなく、テレビやPC、タブレットといった幅広いデバイスに対応しており、ユーザーのデジタル生活をサポートしてくれる。
 孫とビデオ通話をよくするという関根さん。実際にスマホと連携した補聴器を装着して電話したところ、「いつもより音がシャープに聞こえる!」と興奮した様子。装着感についても「耳栓なんかよりぜんぜん圧迫感がない。付けていることを忘れそうになる」と評価した。
 武田セールスマネージャーは「日進月歩」と表現したが、補聴器の進化は近年目覚ましいものがある。一方、日本の補聴器装用率はまだ低く、聞こえ方に悩む難聴者が多くいるのが現状で、「デジタルの日」が掲げる「誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル化」は補聴器業界が目指すべき方向性とも一致している。まずは「補聴器=デジタル機器」という新しいイメージが浸透していくことが、補聴器装用率向上の一歩になりそうだ。(BCN・大蔵大輔)

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  • 10/11 18:00
  • BCN+R

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