うつ病、パニック障害、統合失調症…コロナ禍で懸念される「こころの病気」 早期発見するためのポイントは?
青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。10月10日(日)の放送では、厚生労働省 精神・障害保健課の齋藤綾子(さいとう・あやこ)さんに、「こころの健康を育もう! みんなのメンタルヘルス」をテーマに話を伺いました。
(左から)齋藤綾子さん、足立梨花、青木源太
◆誰でも経験する可能性がある“こころの病気”
メンタルヘルスとは“こころの健康”を意味する言葉です。厚生労働省が2020年9月に実施した調査によると、1回目の緊急事態宣言が発出された昨年の4~5月にかけて、何らかの不安を感じた方は全体の6割にも及びます。
また、“自分や家族が(新型コロナウイルスに)感染するかもしれない”という不安を抱えていた方が、特に多かったことが分かっています。そのほか、ストレスを感じる原因として“生活の変化”“生活用品の不足”“仕事や収入”という回答が多くありました。
一時的に落ち込んだり、不安になったり、ストレスを抱えることは、ごく自然なことと言えます。しかし、不安やストレスを抱え続けてしまうと“こころの病気”になってしまう原因になります。
また、“こころの病気”と聞いて多くの方が“うつ病”をイメージするかもしれませんが、それ以外にも、さまざまな種類や症状があり、統合失調症やパニック障害、拒食症、過食症なども、これに属します。そして、こころの不調を経験する人は年々増えており、生涯を通じて5人に1人が経験するとも言われています。
齋藤さんは、「こころの病気は特別な人がかかるものではありません。ストレスが積み重なるなど、さまざまなことをきっかけに、子どもも大人も(関係なく)誰でも経験する可能性があります。特に、コロナ禍による不安やストレスで、こころの調子を崩す人が多くなるのではないかと心配されている」と話します。
しかし、日常生活でストレスを抱えるのは特別なことではないため、「こころの病気は“自分では気づきにくい”という特徴があります。また、自分で気づいても人には相談できず、周囲の人も気づきにくい傾向にある」と話します。
“こころの病気”に対する誤解や偏見などから、専門機関に行くことをためらう人も少なくありませんが、「こころの病気もからだの病気と同じように、適切な治療や社会的なサポートを早めに受けるほど、回復しやすいことがわかっています。こころの病気も早期発見、早期対処がとても大切」と声を大にします。
◆こころの病気、初期に現れる主なサインとは?
自分でも気づきにくい特徴がある“こころの病気”を見過ごさないためにも、次に挙げる“初期に現れるサイン”として代表的なものを頭に入れておきましょう。
【こころの病気、初期に現れる主なサイン】
・気分が沈む、ゆううつ、何をするにも元気が出ない
・イライラする、怒りっぽい
・理由もないのに気持ちが落ち着かない、不安な気持ちになる
・胸がドキドキする、息苦しい
・何度も確かめないと気が済まない
・まわりに誰もいないのに、人の声が聞こえてくる
・誰かが自分の悪口を言っている
・何も食べたくない、食欲がない
・なかなか寝つけない、熟睡できない、夜中に何度も目が覚める
「こうした症状があって生活しづらい状況が続くようであれば、身近な人に相談したり、専門の機関に相談してほしい」と齋藤さん。一方で、身近な人がそうした異変に気づくことも大切で、「家族や職場の仲間や学校の友達など、身近な人の様子が“いつもと違うな”と思ったら、ぜひ声をかけてあげてください」と呼びかけます。
【周囲の人が気づきやすい主な変化】
・服装が乱れてきた
・急にやせた、太った
・感情の変化が激しくなった
・表情が暗くなった
・1人になりたがる
・不満、トラブルが増えた
・独り言が増えた
・他人の視線を気にするようになった
・遅刻や休みが増えた
・ぼんやりしていることが多い
・ミスや物忘れが多い
・体に不自然な傷がある
こうした変化に気づいたとき、どのように声をかけたらいいのでしょうか。齋藤さんは「まず、『困っていることはある? 話を聞くよ』『心配だから話してみて』など、こちらが心配していることを伝えて、話を聞く姿勢で声をかけてあげてください。友達同士なら『調子はどう?』と気軽に聞いてみるのもいいと思います。無理に聞き出そうとせず、相手が話してくれたら、自分を信頼して話してくれたことに対して、感謝の気持ちを伝えてください」とアドバイス。
また、話を聞いて「期待しているからがんばれ」などとむやみに励ますことや、「そんなことではダメだ」「誰だってそうだ」などと否定するようなことを言わないこと。そして、早期対処するためにも、専門の機関に相談するように促すことも大切です。
専門の相談機関には「精神保健福祉センター」があります。ここでは、こころの健康・医療・福祉について専門的な相談ができます。各都道府県・政令指定都市ごとに1ヵ所、東京には3ヵ所あり、電話や面談で相談することができます。
あらためて、齋藤さんは「こころの病気は、すべての人がかかる可能性があり、大変身近な存在です。まずはメンタルヘルスについて知り、こころの病気の早期発見、早期対処に役立ててください。また、10月10日(日)は『世界メンタルヘルスデー』です。『世界メンタルヘルスデーJAPAN 2021』の特設サイトでは、メンタルヘルスをテーマにした著名人の対談やビデオメッセージを観ることができます。ぜひ、今日の放送をきっかけに、メンタルヘルスについて考えてみてください」と呼びかけました。
足立は、「こころの病気は“難しい問題だな”と思うとともに、早めに気づける自分でもありたいと思った」と感想を述べ、「10月10日が『世界メンタルヘルスデー』だということを知ってもらい、みんなが意識する日になればいいなと思う」と願いを込めます。青木は、こころの病気は誰でもかかる可能性があることに触れ、「自分ではなかなか気づきにくいので、身近な人が気づくことも大切ですね」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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聴取期限 2021年10月18日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/collection/