【勝負の分かれ目 京都大賞典】藤岡康太騎手の完璧な騎乗でダービー馬マカヒキが復活

 今年の京都大賞典の舞台は阪神芝外回りの2400m。秋晴れのもと、ゲートが開いて14頭がスタートした。

 2番のベレヌスが好スタートからハナに立った。7番ダンビュライト、11番キセキ、3番ステイフーリッシュらがつづいて正面スタンド前を通過し、1コーナーへと入って行く。

 ミルコ・デムーロが騎乗する1番人気のアリストテレスは、引っ張り切れないほどの手応えで、それら先行勢の直後につけた。藤岡康太が乗る9番人気のマカヒキは、そのアリストテレスをマークするように2馬身ほど後ろを進む。

「返し馬から具合がいいのが伝わってきていましたし、開幕週で馬場がいいので、ある程度ポジションを取りたいと思って、スタートから促して行きました」と藤岡。

 向正面に入っても、ベレヌスが先頭を進んでいる。差なくダンビュライトがつづき、その後ろにキセキ、ステイフーリッシュがいて、直後にアリストテレスがいる。

 マカヒキは、相変わらずアリストテレスの2馬身ほど後ろを進んでいる。

 1000m通過は1分1秒6。

 出走馬が外回りの3コーナーに入った。先頭から4馬身ほどの好位につけていたアリストテレスが、4コーナーを回りながら先頭との差を2馬身ほどに詰めて、直線へ。

 内からベレヌス、ダンビュライト、キセキの順で並んだ3頭が壁となり、アリストテレスの前を塞いでいた。

 直線入口で、デムーロはアリストテレスを前の3頭の外に持ち出し、追い出した。

 マカヒキの藤岡は、左鞭を入れてアリストテレスの内を狙ったが、ラスト200m付近でスペースがなくなると見るや、今度は右ステッキを入れて外に持ち出した。

 ラスト100m付近でアリストテレスが先頭に躍り出た。内でキセキが食い下がる。

 マカヒキは外に持ち出したぶん、アリストテレスの1馬身ほど後ろにいたのだが、1完歩ごとに差を縮め、内のアリストテレスと鼻面を揃えたところがゴールだった。

 マカヒキが、わずかに鼻差だけ前に出ていた。藤岡が左手でマカヒキの首を叩いて、その走りを讃えた。

 3歳だった2016年の秋、フランスで制したニエル賞以来となる、実に5年1カ月ぶりの勝利だった。場内から拍手が沸き起こった。

「マカヒキが力強い走りをしてくれたことが何より嬉しいです。いつも一生懸命走ってくれるのですが、これからも頑張ってくれると思います」

 そう話した藤岡が、完璧な騎乗で8歳のダービー馬を復活させた。

(文:島田明宏)

2021/10/10 18:10

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