「クズ芸人」実はクレバー? ウエストランド井口、鬼越坂井が大演説「俺はもう『クズセレブ』って呼んでます」

 当然ながら、芸能界には時代時代で流行がある。Jリーグ黎明期は「サッカー好き」を掲げるタレントが多かったし、今で言えば「キャンプ好き」を宣言する芸人をやたらと目にする。

 不思議なのは、それぞれが必ずしもライバルにならないところ。限られた座席を奪い合うこともあれば、はたまた守り合うことだってある。類似タレント内に互助会的な見えない組合が自然とでき上がるのは不思議だ。

そして今、密かに世を席巻しているのが「クズ芸人」である。

クズ芸人による鉄壁のフォーメーション

「バラエティ番組はチームプレー」とは以前より言われる金言だが、フェーズが変わってきたのか、それともこれも一種のキャッチボールだったか? 10月2日放送『さんまのお笑い向上委員会』(フジテレビ系)に出演したのは、岡野陽一、山添寛(相席スタート)、鈴木もぐら(空気階段)、酒井貴士(ザ・マミィ)、井口浩之(ウエストランド)らであった。

 今、よく見る顔ぶれだ。みんな、ノリにノっている。岡野も山添も最近はキレキレだし、もぐらと酒井に関しては『向上委員会』放送直前の『キングオブコント2021』(TBS系)で優勝を争った時の人だ。彼らには共通項がある。みんな、クズ芸人なのだ。

 この面子が揃うだけで安心感がある。もはや、鉄壁のフォーメーション。でも、この日は1人だけイレギュラーな存在が混じっていた。井口だ。

 まず、もぐらが酒井に矛先を向けた。「クズのくせに人から尊敬されようとラップを覚え始めた」と、ダメを出したのだ。この舌鋒には優しさを感じる。「同じ仲間なのに何を迷っているんだ?」という檄にも受け取れるからだ。というか、当のもぐら自身も『フリースタイルティーチャー』(テレビ朝日系)に出演していたはず。つまり、チームプレーである。

 続いて、酒井を口撃したのは井口。実はこの日、彼一人だけ体温が違った。

「酒井はクズエピソードが激弱なんですよ。こいつは小金が欲しいだけでクズに寄ってって、ちょっとクズの仕事があると『これで稼げそうだ。何ならモテるかも』でやってるだけなんですよ」
「この前、Twitter見たら『今日は朝起きたらクズ仕事です』、クズは朝起きないからおかしいだろ! 結局、岡野さんとかもぐらみたいなのを見て上辺だけさらってやっちゃうから。それがよくないんですよ。そこで浅くやってるんですよ、目先の笑いだけ取って。それが1番良くないところだから。コントにも出るぞ、絶対に!」(井口)

 キングオブコント準優勝者に「お笑いができていない」とダメ出しをする井口。どうにも不思議な構図だが、立場ある者が叩いたら途端に生々しくなるのでポジショニングは逆に正解である。

 井口にとってはここからが本番。かねてより、彼には腹に一物があった。

「もぐら、岡野、山添はうまくやってんだから、ちゃんとよく見ないと。こいつらクレバーにやってるだけなんだよ、ただ単に! 全部嘘なんですよ。そもそも借金もしてないと思う、僕は。今、クズ芸人の仕事があるから借金を返さないことに必死になってるんすよ」(井口)

 テロリスト・井口。鋭い分析だ。なにせ、咄嗟に出た言葉ではない。YouTube「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」8月25日配信回に出演した井口は、すでにクズ芸人にまとめて物申していた。以下は鬼越の2人(坂井良多、金ちゃん)と井口のやり取りである。

井口   「ひどいよ、こいつらは。だって、大活躍じゃん」
坂井   「正直、俺はもう『クズセレブ』って呼んでます」
井口   「そう、もうセレブなのよ。お金あるじゃん! 借金キャラ? 無理無理。最近、こいつらがどうしてるかというと金返さないために必死になってる。返したら終わるから」
金ちゃん 「キャラなくなっちゃうからね(笑)」

 事実、「クズ芸人」はおいしい。特に最近は「借金芸人」の座席に人が群がり始めた。ヒコロヒー、薄幸(納言)、ゆめっち(3時のヒロイン)、粗品(霜降り明星)など。みんな売れているから悲壮感が伝わらないのも共通している。岡野だって交際中の彼女が住むタワマンで生活中だし、もぐらは奥さんの実家が金持ちだ。そもそも、空気階段はKOCの賞金だけでなくCMの仕事も入ったばかり。今の仕事量なら550万円の借金は難なく返せてしまうだろう。そして、酒井に関しては自身の実家が金持ちである。こうなったら、借金はもはやトークの持ち駒の1つでしかない。

 本物なのかエセなのか、見ていればすぐわかる。例えば、三又又三からは本物の匂いがする。でも、彼でギリギリだと思う。元「りあるキッズ」長田融季辺りまで行くと、もうテレビには出せない。「クズ芸人」を名乗ってポップに露出しているが、本来は取り扱い注意なのだ。

 ヤバい人種のキャッチーな部分を抽出し、世間へ届けるコンテンツに昇華したという意味で岡野たちには腕がある。何しろ、今年のKOCは“借金芸人対決”だった。そして、井口の言う通りにクレバーだ。唯一、儚いのは「売れたらこのキャラはおしまい」と使用期限が区切られている点。「腕がある」「クレバー」と「使用期限」が両立しない点が儚い。芽のある人材ほど、太く短い芸風になってしまう。

 ということは、さらに下の世代の新星がじきに「クズ芸人」に名乗りを上げるのか? 経済成長が望めず、希望の見えない現代にこそ際立つ、芸人の出世コースだ。

  • 10/10 18:00
  • サイゾー

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