「マルジェラの傑作コート」ファッションに興味がない人にもおすすめな理由

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―[MBのヘビーユース108(心底惚れ込んで愛用しているアイテム)]―

◆102/108 コート&トレンチ(Masion Margiela)25万6300円

 カーコートともレザーブルゾンとも言い難いデザインアウター。背面はトレンチコートのパーツを貼り付けており、なんともカテゴライズしにくいアイテムとなっています。

 作り手であるメゾンマルジェラの得意技「デコンストラクション/脱構築」を感じられる一品になっています。「脱構築」は哲学でもビジネスでも用いられる概念ですが、既にある枠組みから解体し新しく構築し直すことを指します。

 以前からマルジェラはレザーベルトを解体してジャケットにしたり、一度パーツをすべて分解し再度つなぎ合わせデザインしたりと解体・再構築を意欲的に行っています。

◆「脱構築」で新しい価値を模索

 人類が服を作り始めて1000年以上たち、長い服飾史の中でこれ以上のデザイン的な進化は起こりにくい状態になっています。

 そこでマルジェラは既にあるデザインを一度崩し、組み間違えたパズルのようにあえて歪に構築し直す「脱構築」で新しい価値を模索しているのです。ビートルズがAメロ・Bメロ・サビの構成を崩し、あえてサビを先に持ってきて新しい形を模索したように。

◆異質なのに「どこかで見たような印象」

 こちらのコートも、トレンチの要素もレザーライダースの要素もカーコートの要素も入れ込み、既存にはない新しいデザインを作り出しています。

 マルジェラのスゴいところはそうした既存概念に囚われない脱構築的なモノ作りの中でも、きちんと普段着としてリアルクローズの体裁を保っているところ。

 異質なデザインなのに「どこかで見たような印象」に収められているのは、トレンチの作り方や素材も、ライダースの作り方や素材もすべて「定番を知っている」から。

◆ファッションや文化に興味がある人こそおすすめ

 “型があるから型破り、型がなければ形なし”とはよく言ったもので、デタラメなデザインではなく、原型をよく理解した上で組み替えるから成立するのが「脱構築」です。

 マルジェラは一通り洋服を見てきた人からすると、新鮮だけど、どこか懐かしく感じるものが多い。

 一見、クラシックなシンプルデザインが多いですが、アートのように哲学を感じるものばかりなので、ファッションや文化に興味がある人にはぜひ手に取ってほしいブランドです。

商品、衣装/すべて私物 撮影/山川修一(商品) 岡戸雅樹(人物)

―[MBのヘビーユース108(心底惚れ込んで愛用しているアイテム)]―

【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』ほか関連書籍が累計100万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

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  • 10/10 8:54
  • 日刊SPA!

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