ももクロあーりん主催『AYAKARNIVAL』武道館開催 カミングフレーバーは”令和の田村潔司”になれるのか?

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 ももいろクローバーZの佐々木彩夏が主催するアイドルライブイベント、『AYAKARNIVAL 2021』が、11月17日に日本武道館にて開催されることが今週発表された。

 2019年、佐々木彩夏と関係の深いアイドル媒体関係者を佐々木自身が招集。「結成5年以内」という条件を満たす今後のアイドル界を担うと期待できるとして3グループが各媒体によって推薦され、佐々木本人を加えた4組によってその年の12月30日、パシフィコ横浜国立大ホールにかけつけた3000人のアイドルファンを熱狂させた。

 このイベント、2010年代を締めくくるにふさわしい非常に意義深いものであった。

 当時も今もそうだが、乃木坂46を筆頭に坂道グループがシーンの覇権を握っているものの、10年前に比較すると明らかに世間のアイドル熱は、下降の一途を辿っているのは明らかだった。

 それでも、その10年間においてAKB48よりも先に国立競技場単独ライブに到達し、アイドル界においてひとつの山頂に立ち続けているのが、ももいろクローバーZだ。

 その4人にあって、「アイドルの中のアイドル」と称されるのが佐々木彩夏である。佐々木は何よりも、次世代につなぐ「場」が必要だと考えた。それが『AYAKARNIVAL』だったのだ。

 出演したのは、10年代が産み落とした最大のアイドルモンスター、指原莉乃がプロデュースする=LOVE。BiSHを筆頭に、勢いが止まらないWACKの刺客、EMPiRE。そして、当時結成から1年にも満たないカミングフレーバー。カミングフレーバーは、今や伝説として語られる10年前のイベント、『アイドルユニットサマーフェスティバル』にてももいろクローバーZと歴史的共演を果たし、そして当時のももクロの勢いに完全に食われ評価を地に落としたSKE48から、19年に生まれたユニットだ。

 このあたりの史実に関しては、ネット上にもいくつかの記事や説が落ちているので気になった方は検索してみることをオススメする。

 結論から言うと、『AYAKARNIVAL 2019』でカミングフレーバーは、大いに躍動した。筆者は当日、これは直接見ておくべきイベントだと直感し会場に足を運んだ。そこで目撃したのは、カミングフレーバーがSKE48の若手ユニットとしてではなく、カミングフレーバーという一つのグループとして、経験も実力も大きく上回る=LOVE、EMPiREと必死に、そして堂々と渡り合う姿だった(佐々木彩夏はレベルが違いすぎたので、ここでは比較対象として除外する)。

 AYAKARNIVALは翌2020年も、コロナ禍という未曾有の状況を乗り越え、非常に厳しい感染対策を実施した上で、立川ステージガーデンにて開催された。=LOVE、EMPiRE、カミングフレーバーの3組に加え、アップアップガールズ(2)、STU48が新たに出演した。佐々木彩夏の灯した火は消えなかった。

 そして、今年は武道館だ。

 武道館と聞いて誰もが思い出すのは、00年2月26日の田村潔司VSヘンゾ・グレイシーの歴史的試合だろう。リングスKOKトーナメントの準々決勝として行われたこの試合は、日本のプロレス・格闘技史上最も重要な一戦である。遡るこ97年、高田延彦が「400戦無敗」という生きる伝説ヒクソン・グレイシーに破れた。翌98年のリベンジマッチでも、高田は負けた。

 高田=UWFこそが最強だと信じていたファンたちは、自分たちが捧げてきた青春が幻想だったと突きつけられ地に膝をついた。

 グレイシー一族の勢いは止まらず、ヘンゾも99年に坂田亘を秒殺した。そんな中、田村潔司というUWF最後の遺伝子を継ぐ男がグレイシーに挑むことになったのだ。ファンは期待した。そして恐れた。今度こそ本当に、夢は終わってしまうのではないかと。

 そして訪れた当日、田村潔司は普段とは違い、UWFのテーマ曲に乗って入場した。会場は爆発した。これは田村潔司個人の戦いではない。Uの魂を背負った戦いなんだとファンは瞬時に悟ったのだ。Uのテーマで入場するタイミングはここしかなかった。91年1月にUWFが解散してからおよそ10年、それだけの時間が必要だった。まるで試合が始まる前からもう終わったような空気の中、田村は勝った。

 カミングフレーバーはSKE48ではなく、カミングフレーバーだ。

 だが、カミングフレーバーには「Sの遺伝子」が流れていることもまた事実である。即席ユニットであった彼女たちには、いつだって明日はなかった。

 でもあのパシフィコ横浜から2年、カミングフレーバーはたくましく生き残った。そろそろ自分たちを誇ってもいいころだ。

 21年11月17日、『AYAKARNIVAL 2021』。あの頃「最強」と呼ばれたSKE48を、とうとう超える時がやってきたのかもしれない。カミングフレーバーはきっと、自分たちのオリジナルOVERTUREを流して入場するだろう。むしろそうであるべきだ。

 だが、その音色の内側で、SKE48に憧れた7人、SKE48を信じたファンの胸の中ではきっとそれぞれの「Sのテーマ」が流れるだろう。いや、もうすでに流れている。

 彼女たちのリーダーは野村実代。赤い衣装の頑固者。その懐には今、見えない小太刀が抱かれているはずだ。

  • 10/9 12:00
  • サイゾー

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