子どもを虐待から守るには?周囲が気づくためのチェックリスト

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 大阪府摂津市で2021年8月31日、3歳の男の子が、同居していた母親の交際相手の男性から熱湯をかけられ殺害されるという痛ましい虐待事件が起きてしまいました。この事件では、男の子の母親の交際相手が殺害容疑で逮捕されています。

◆2019年度の虐待死は78人にものぼる

 厚生労働省によると、2019年度の児童相談所による児童虐待相談対応件数は20万5029件にものぼり、前年より5.8%増えた結果になっています。また、78人もの虐待死が報告されました(心中による21人を含む)。

 摂津市の事件では、事前に市へ虐待を疑わせる情報が複数届いていましたが、「緊急性は低い」と判断されたままになっていました。このようなつらいケースもありますが、私たちにまずできることは「子どものSOSに気づくこと」そして「児童相談所などの公共機関へ知らせること」です。

 子どもの虐待に早期に気づくには、どうすればよいのでしょうか? 東京都が発行するリーフレット「虐待に気づくためのチェックリスト」から、虐待の兆候や要因になりそうな項目を紹介します(最新版は「東京OSEKKAI化計画」HPを参照)。

◆すぐに通告すべき「虐待に該当する項目」

 虐待に該当する、そして可能性のある、項目を紹介します。身近にいる子どもや保護者の中に、該当する様子が見られる人はいませんか?

 下記は、「虐待に該当する」項目です。「1つでも該当したら、すぐに通告をしてください」とチェックリストに記されています(通告先は後述)。

子どもの様子
① 不自然な外傷(あざ、打撲、やけどなど)が見られる
② 家の外に閉め出されている
③ 衣服や身体が極端に不潔である
④ 食事を与えられていない
⑤ 夜遅くまで遊んだり、徘徊している

保護者の様子
⑥ 小さい子どもを置いたまま外出している
⑦ 体罰を正当化する
⑧ 子どもが怪我や病気をしても医師に見せない、怪我等について 不自然な説明をする

◆虐待の可能性がある項目。迷わず通告を

 下記は、「虐待の可能性」がある項目です。気づいたら、「迷わず通告しましょう」と記されています。

子どもの様子
① いつも子どもの泣き叫ぶ声、叩かれる音が聞こえる
② 極端な栄養障害や発達の遅れが見られる (低身長、低体重、急な体重減少等)
③ 季節にそぐわない服装をしている
④ 食事に異常な執着を示す
⑤ ひどく落ち着きがなく乱暴、情緒不安定、過度に緊張し視線が合わない
⑥ 気力がない、表情が乏しく活気がない(無表情)
⑦ 態度が怯えていたり、親や大人の顔色をうかがったり、親を避けよう とする
⑧ 家に帰りたくないそぶりがある
⑨ 誰かれなく大人に甘え、警戒心が過度に薄い

保護者の様子
⑩ 地域や親族などと交流がなく、孤立している、支援に拒否的である
⑪ 子どもの養育に関して拒否的、無関心である
⑫ 年齢不相応な養育(しつけ)を正当化する
⑬ 子どもに対して拒否的な発言をする
⑭ 気分の変動が激しく、子どもや他人にかんしゃくを爆発させる
⑮ 夜間徘徊などを黙認する

◆関係機関別のチェクリスト。私たちが気づける項目も

 ここまで、すべての人が共通して気づくことができる共通項目を紹介してきました。次に、民間事業者や公共機関・医療機関など、「関係機関別」の項目を紹介します。

 なかにはコンビニやスーパー、交通機関など、私たちがよく利用する場所も含まれます。目を通しておきましょう。

水道・電気・ガス事業
① 子育て家庭においてライフラインが止まっている
② 子育て家庭において支払が長期間滞っているなど生活の困窮が心配される
③ 訪問時に、不自然に子どもを隠し、追い返そうとする
④ 子育て家庭においていわゆる「ごみ屋敷」など著しく不衛生である

スーパー、コンビニ、飲食店
① 保護者が子どもを叩くのを目撃した
② 低年齢の子どもが夜遅く子どもだけで店に出入りしている

マンション、集合住宅等の管理人
① マンション等の住民から子どもの虐待の目撃等の情報がある
② 子育て家庭において支払が長期間滞っているなど生活の困窮が心配される
③ 訪問時に、不自然に子どもを隠し、追い返そうとする
④ 子育て家庭においていわゆる「ごみ屋敷」など著しく不衛生である

民生委員・児童委員
① 公園などで一人で夜遅くまで遊んでいる
② 近所から子どもの虐待の目撃情報がある
③ 長らく子どもの姿が見えず、近所でも心配をしている
④ 外で保護者が子どもをよく怒鳴っている
⑤ 子育て家庭においていわゆる「ごみ屋敷」など著しく不衛生である

◆医療機関、交通機関でも気づくことができる

保育所・幼稚園・学校等
① 給食やおやつを不自然なほどガツガツと食べる
② 無断欠席が多く連絡がとれない
③ 保護者がいつも行事などに子どもを参加させない
④ 治療が必要であっても受診させない

医療機関
① 怪我の説明が二転三転し、矛盾する
② 子どもから怪我の原因を説明させない、保護者が口止めをしている様子
③ 病気でも受診が遅く、同伴しないこともある
④ 子どもの健康状態に無関心である
⑤ 不審な怪我がある
⑥ 保護者(母親)にも不審なあざ等がある

公共交通機関
① 乗り物やプラットホーム等の公共の場で、保護者が子どもを叩く等の目撃情報がある
② 低年齢の子どもが夜遅く子どもだけで電車やバスに乗っている、構内にいる

商店街・自治会
① 商店街などで、保護者が子どもを叩く、怒鳴る等の目撃情報がある
② 低年齢の子どもが夜遅く商店街を徘徊している
③ 子どもが万引きをしている

◆“虐待かも?”と思ったら「189(いちはやく)」か警察に通告を

 先に紹介した項目を職場や街中で見たら、それは虐待の兆候かもしれません。「虐待かも?」と思ったら、児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」へ連絡を入れましょう。近くの児童相談所につながります。

 子どもの生命や身体に危険があり、緊急だと思った場合は、ためらわずに警察へ「110」番通報をしましょう。

 この通告や相談は匿名で行うことができます。児童相談所、警察、役所は子どもの安全を第一に考え、通告者や相談内容については外へ漏れることはありません。ですので、少しでも異変に気づいたら迷わず通告を。

 地域の親子たちに目を向け、心遣いあふれた街を目指す「東京OSEKKAI化計画」のウェブサイトでは、虐待防止に関する最新のリーフレットも確認できます。

 児童虐待を防ぐためには、私たち一人一人が虐待について知ること、そして通告する勇気が大事です。虐待の兆候や要因になりそうな項目を頭の隅に置いて、生活してみませんか?

<文/るしやま>


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