福山雅治 齊藤工を迎えて映画と腸活についてのトークが止まらない!

シンガーソングライターで俳優の福山雅治がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「福のラジオ」。10月9日(土)の放送は、ゲストに齊藤工さんをお招きして、齊藤さんが企画・プロデュースされた映画『その日、カレーライスができるまで』にまつわるお話や、モノづくりを通じた福山さんとの交流などについて、たっぷりと伺いました。

福山雅治さん、齊藤工さん

まずは、現在公開中の映画『その日、カレーライスができるまで』のあらすじから。

ひどい雨の日、誰もいない部屋に帰ってくる中年の男・健一(リリー・フランキー)。彼は息子・映吉(中村羽叶)を病で亡くし、それが原因で妻も去ってしまったなかで1人、後悔の日々を送っている。

そんななかで迎える妻の誕生日。その3日前、1人で台所に向かう健一。家での癒やしはラジオ。ラジカセから聴こえてくるDJがメッセージを読み上げる。

「今年も妻の誕生日にカレーを作っています。3日後が誕生日です。妻は3日目のカレーが好きなんです。ただ、いろいろあって今年は1人です」

メッセージの送り主は健一。ラジカセの前で1人、DJのトークを聴く健一がいる。映吉の写真、カレーライス、ラジオ。ラジオへの投稿をきっかけに、小さな奇跡が起こり始める。

* 

福山:映画とラジオドラマの中間にあるような感じで、観ている人の想像をすごくかき立てるんですよね。隣に住んでいる人はどういう人なのだろう? 外は雨が降り続いているようだけど、今の雨脚はどれくらいなのだろう? カレーは、さっきよりもどれくらい煮えているのだろう?……というふうに。そして、音やリリーさん演じる健一の表情で、出てこない奥さんや亡くなった息子・映吉といった人たちの存在感がすごく立ち上がってくるんですよ。

齊藤:リリーさんも、すごくそのことはおっしゃっていました。最初、1人芝居は照れくさいっておっしゃっていたんですけど、さまざまな音だったり、主人公が見るビデオテープだったり、1人という感じが全然しなかったと。ほぼワンシチュエーションの1人芝居で展開されていくんですけど、作品自体の着想やテーマとは別軸で、映画俳優としてのリリーさんをカメラで捉えたいという企画でもあったんですよね(笑)。

福山:金魚鉢というか檻のなかに閉じ込めて、この生き物はどんな生態なのかと(笑)。

齊藤:まさに(笑)。日本映画界の1つの謎を解き明かそうというチャレンジでもありました。結果的にはリリーさんでないと成立しない作品でしたね。

――また、作品の着想について齊藤さんが明かしてくれました。

齊藤:コロナ禍で部屋にこもっている時に、孤独を受け入れざるを得ないという状況になったんですよね。その間、外界と唯一つながれた瞬間が音のメディア、つまりラジオだったんですよ。ラジオの心の距離にかなり救われました。午前中は映像を観るのを止めて、ベランダで陽に当たりながらラジオを聴くっていうのを日課にして、どうにかしのげたというか。なので、閉じ込められた状況のなかで、音がどれだけ自分の心の深い部分に触れてくれるかがわかったんですよね。それって映画館で映画を観ている状況と非常に近いんじゃないかなと思いました。そこで、心の距離が近いラジオと映画が1つになった作品があったらいいのでは? っていうところから着想していきました。

福山:改めて今の着想の話を聞いて、実際に完成した映画を観ていただくと、まさに工くんの着想や心情が実に良く可視化されているんですよね。これって、できそうでなかなかできないことだと僕は思っていて。その発想から作品へとつなげる“イメージの具現化”というんですかね、それが(長編初監督作)『blank 13』(2018年)の頃よりも格段に上がっていますね。

齊藤:でも本当に『blank 13』がなかったら今はないと思います。その時に僕の背中を押してくれたのが、他でもない福山さんですから。

――ここで、リスナーから齊藤さんに「納得の30代を過ごせましたか?」という質問が。これに対して齊藤さんは、コロナ禍以降続けている“腸活”を交えて答えてくれました。

齊藤:そうですね、30代で重要なことに気づきましたので納得の30代を過ごせたと言ってもいいかもしれませんね。自然界には「発酵」と「腐敗」とあって、周りに害のあるのが「腐敗」、周りの旨味を引き出すのが「発酵」ですよね。これって人間も同じだなと思うんです。人間って悲しいかな気づかないうちに腐敗していってしまうんですよね。よほど自分を厳しくジャッジしていない限り。そこからどうにか発酵のほうにいけないものかと。すなわち、周りの人たちに良い影響を与えていく方向に歩み出さないといけないなということに気づいたんですよ。その気づきを与えてくれたのが、まさに福山さんです。数年前にラジオに出させていただいた時に、「映画を作るべきだよ」っておっしゃってくださったんです。それを鵜呑みにして動き出した結果、『blank 13』という作品ができたんですよね。だから僕の周りには福山さんやリリーさんといった、“人間発酵”の先輩がいらっしゃる。そこを目指せばいいんだって思ったんですよ。

福山:だから僕やリリーさんは、工くんにとっての“麹菌”みたいなものですね。

齊藤:最高の麹(こうじ)先輩ですね(笑)。だって福山さんは、俳優としての僕だけではなく、僕が本当にやりたいと思っていた、映画を作るという欲求を見抜いて、「君は映画を作るべきだ」って言ってくれたわけですから。僕は本当にラッキーだと思います。

福山:でも正直いうと、もっと時間がかかると思っていたんですよ。工くんが工くんの作りたい映画を作れるようになるには。でも今回の作品『その日、カレーライスができるまで』を拝見して、若きクリント・イーストウッドがもう始まっているなと感じましたよ。想像を超えたスピードで発酵していっていますよ(笑)。

齊藤:元の麹は福山さんなんで(笑)。

――最後に、これからの展望をお聞きしました。

齊藤:原作ものの長編映画の準備をしていて、来年クランクインする予定です。それは監督としての作品になります。「この原作で映画を撮ってほしい」というお話をいただいて作るものなんですけど、自分の作りたいものだけを作る美しさももちろんわかりつつ、でも『blank 13』の時に、福山さんがおっしゃったことで忘れられないのは、「クリエイターとして商業的なフィールドでしっかりと役目を果たすことに価値があるんだよ」という言葉です。

福山:すみませんエラそうに(笑)。

齊藤:とんでもない! 本当にその通りなんですよ。自分が傷つかない場所だけで何かを作るというのではなく、大きなフィールドに参戦していくという気持ちがなくなったら終わりだなっていう想いはずっとあって。なので、ここで勝負しようと思っています。

福山:いやぁ……グッときますね。でも、時は来ましたよ。

齊藤:そうですね。もう待ったなしですよね。

「観てくださった方が自分にとっての奇跡や希望ってなんだろうっていうことを、この映画を観た帰り道にあったかい気持ちで考えることができる。そういった贈り物を受け取るような作品です」と福山さんが絶賛する映画『その日、カレーライスができるまで』。今後、公開になる地域もたくさんあるということですので、ぜひオフィシャルWebサイトをご確認ください。

次回の放送は10月16日(土)です。お楽しみに!

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聴取期限:2021年10月17日(日)AM 4:59 まで

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<番組概要>

番組名:福山雅治 福のラジオ

放送日時:毎週土曜14:00~14:55

パーソナリティ:福山雅治

番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/fukunoradio/

2021/10/9 16:00

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