実は全然稼げない「オンラインサロン」…それでもブームが終わらない理由

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 コロナ禍によって、人との接点が喪失する中、いま再びオンラインサロンに注目が集まっている。人気メンズファッションバイヤーであり、1000人規模のオンラインサロンを運営するMB氏と、オンラインサロンをはじめとするファンマーケティングのコンサルティングを行う株式会社SPIQUEの山本彬央氏の対談が実現。現在のオンラインサロン事情から今後のトレンドなどについて聞いた。

◆ノウハウ系のオンラインサロンには要注意

――オンラインサロンで、いろいろなチャンスや出会いを掴む人がいる一方で、一部では「オンラインサロンで騙された」「詐欺まがいだった」などという噂を聞くこともあります。そのあたりをお二人はどう思われますか?

山本 オンラインサロンは非常に多様化していますからね。僕自身、時々「情報商材を売られて困りました」とか「高額な入会費を取られました」などという話を聞くこともありますね。

MB 僕の印象では「ノウハウを教えます」系のオンラインサロンは、騙されるリスクが高い印象があります。

山本 特に「年商がこれだけ稼げるようになる経営を教えます」「お金が短期間で稼げます」といったような拝金主義的なサロンは、危険なケースが多いですね。ただ、こうしたサロンが悪目立ちするせいで、「オンラインサロン=悪いもの」だと考えられがちですが、多くは健全なものだと思います。

◆オンラインサロンは驚くほど儲からない

――悪いサロンに騙されない方法はなにかあるんでしょうか?

山本 一番は、使う人側がリテラシーを高めることが大切なのかなと。たとえば、時々、特に目標がないのに「短期で儲かりそうだから、ビジネスサロンに入った」という人がいるんですよ。でも、それなら、サロンに入るよりは、自分で何かしら副業やビジネスをやったほうが早いと僕は思っています。これはオンラインサロンの参加者だけではなく、サロン運営をしてお金稼ぎをしたいと考える方も同様ですね。

MB オンラインサロンは驚くほど儲からないですからね(笑)。単純にお金を稼ぎたいと思うのならば、普通にYouTubeやメルマガなどで情報発信するだけのほうが時間も手間もかからないし、利幅は大きいと思います。それでもサロン運営をしようと思うのであれば、「お金」以外の目的が必要ですよね。

◆同じ趣味趣向があるからこそ、目的も達成しやすい

――現在、MBさんはメンズファッションに興味のある参加者で構成されたオンラインサロンを運営されています。YouTubeやメルマガなどの情報発信にはない、オンラインサロンでしかできないことってなんだと思われますか?

MB 自分たちがやりたいことを実現できる点ですね。たとえば、僕のサロンにはいま会員が約1000人いるんです。これだけの人数がいると、メンバーたちがほしいものの意見を出し合って、自分たちが欲しいけど売ってないようなアイテムを自分たちで作って、サロン内で販売することもできる。いわば、“地産地消”ですよね。

山本 へぇ、すごいですね! それは、同じ趣味趣向を持つ仲間たちだからこそ、成立するスキームですね。

MB ニッチすぎるニーズしかなければ、さすがに洋服などを作って販売するとなると、赤字になってしまいますが、1000人いればちゃんと収支の面も成立するんですよ。あと、会員にとっては世界が広がるチャンスもありますね。

――もし具体的な成功例などがありましたら、ぜひ教えてください。

 たとえば、会員さんの中に本業でクラフトビール製造をしている人がいて、その人が「こういうのを作っているんです」と自分の製品を紹介したら、サロン内で人気が出て売れ始めた……なんてこともありました。僕らにとってはいい商品を知れるよい機会だったし、販売者の人にとっては自分のビジネスチャンスが広がるよいきっかけになったのかなと。実際、そのビールを僕はそのまま愛飲するようになって、いまも冷蔵庫にストックが入ってますよ。

◆サロン運営は「学生時代の部活」と一緒

山本 1000人も会員さんがいると、運営にもコツがいると思うのですが、MBさんが心がけていることはどんなことですか?

MB 僕の場合は、「横のつながり」を大事にしていますね。ファンマーケティングにはいろんな形があると思うのですが、僕は自分のオンラインサロンを「部活」のようなものだと考えているので。

山本 ……部活、ですか? 

MB 学生時代って、家と学校の往復の中に部活があって、「家にいても楽しくない」「学校も楽しくない」という子たちが救われていた部分もあると思うんです。僕自身も社会に出たときに、「会社ってどうしてこんなにつまんないんだろう」と思ったとき、「あ、部活がないからだな」と気がついたんです。

山本 なるほど。学生時代のMBさんにとってのサードプレイスだった「部活」を、ファッション好きな社会人に向けてサロンとして運営しているイメージですね。

MB そうですね。だから、僕が前に立って何かするというよりは、「横のつながりで仲間同士が、部活感覚を味わえるような仕組み」を作ることを大事にしています。部活でいえば、顧問がガンガン頑張るより、部活内に求心力のあるリーダーの方が盛り上がる。サロンでも同じで、周囲から慕われている人やおもしろい人に前に出てもらう仕組みを作る感じですね。

山本 コミュニティを自走させるのはかなり難しいですからね。僕もコミュニティを盛り上げるために、リーダーを作ることを意識しています。たとえば、目立つ発言をしてくれる人たちに「支部長」など肩書を持ってもらうと、その人たちを中心に盛り上がりが生まれ、コミュニティを活性化しようと頑張ってくれる。

MB そうですね、たしかに運営側が会員さん同士の交流を重視して、促進していかないと、コミュニティは大きくならないとも思います。

◆今後は地方にも多様なサロン文化が生まれる

――今後のオンラインサロン事情はどうなっていくと思われますか?

山本 以前、岡田斗司夫さんと箕輪厚介さんが対談の中で、「今後オンラインサロンは、新しい時代の“家族”のような存在になるかもしれない」とおっしゃっていました。僕自身も、人とのつながりが希薄になりつつある時代だからこそ、趣味趣向が合う人たちが「家族に準ずるなにか」になる可能性は十分にあるんじゃないでしょうか。

MB 僕は、スモールでミニマルなオンラインサロンやコミュニティが、全国的にたくさんできるんじゃないかと思っています。いま、サロンをやっているインフルエンサーのような人は、東京や大阪などの大都市圏に多くて、その人たちが都会の華やかな情報を発信していく形式がメインですよね。でも、いまでは、地方にもインフルエンサーと呼ばれる人たちが少しずつ発生していて、影響力を持つようになっている気がするんです。

山本 たしかに。僕が知っている範囲で範囲でも、地方ではスポーツコミュニティなどを中心に、どんどん活気が出てきていますね。

MB そうした地方のインフルエンサーたちが主催する小さなコミュニティから生まれたそれぞれの個性や考え方、価値観が組み合わさって、新たに多様な文化が生まれていくはず。そしたら、きっと社会はもっともっと面白くなるんじゃないかなと思います。

【山本彬央氏】
株式会社SPIQUE代表取締役社長。コミュニティマーケティングやファンマーケティングの設計、運営を数多く手がける。オンラインコミュニティプラットフォーム「Village」の運営も行う(Twitterアカウント:@yamamo_spique)

【MB氏】
ファッションバイヤー。『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』ほか関連書籍が累計100万部を突破。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

<構成/藤村はるな 撮影/岡戸雅樹>


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