義母の誘いに「ワクチン副反応で」とウソついて断ったら
新型コロナウィルスの副反応は、かなり個人差がありバラバラなようですね。
中には体調に変化がないのに副反応だと嘘をついて、めんどうな事を避けようとする人もいるようです。
今回は、そんなエピソードを3つご紹介しましょう。
◆義母に業務スーパーに誘われて
A子さん(37歳・主婦)の場合。
「同じ路線にお義母さん(61歳)が一人で暮らしているのですが、月に2度ぐらいのペースで『業務スーパーに行こう』と誘われるんです」
昨年、ネット記事で話題になっていた業務スーパーに行ってみたいなと思い調べてみると、義母の家から徒歩15分のところにある事が分かり、一緒に行ったのがきっかけでした。
「ですが2人とも車の免許を持っていないので、毎回お義母さんの自転車を引いて行き、帰りに荷物を積んで帰ってくるんですが、つい浮かれていっぱい買い込んでしまうので運ぶのが結構大変なんですよね」
そしてお義母さんは話好きで、A子さんが帰ろうとしてもなかなか帰してくれません。
「仲良くしてもらえて嬉しいのですが、3時間とかずっと話を聞かされると、ちょっとうんざりしてしまう時があるんですよ」
そんなある日、またお義母さんからの業務スーパーへのお誘いLINEが届きました。
◆ワクチン副反応だとウソをついた
「夫と私とお義母さんのグループLINEで連絡を取り合っているのですが、その日は朝から雨が降っていて…私、どうしても行きたくなかったんですよね」
以前も雨の日に業務スーパーに行き、重い荷物で手がちぎれそうに痛くなるは、傘を持つ手もブレブレで濡れてしまいひどく疲れたそう。
「なのでつい『お義母さん、すみません。ワクチンの副反応で熱があるのでまた今度にして下さい』と嘘をついてしまいました。本当はワクチンを打ってもう3日目で、ほぼ復活していたのですが」
義母は「お大事に」とA子さんを気遣ってくれたのですが…。
◆夫に安易なウソを怒られた
「帰宅したFに『副反応って嘘だろ?』と怒られてしまいました。お義母さんが私を心配してFに『A子さんにお弁当とか果物とか買って帰ってあげなさい』と連絡があったそうです」
夫から「そういう時はちゃんと『雨だから今日は止めて他の日にしましょう』と言えばいい」と言われてA子さんは、確かに安易な嘘をついてしまい悪かったなと反省しました。
「このご時世、副反応だといえば仕方ないと許してもらえるだろうってつい思ってしまったんですよね。ですが、雨だから行きたくないとかなかなか言えないですよね。私ってそういう性格なんです…」
続いては、副反応とウソをついて会社を早退した女性の話です。
◆副反応だと嘘をついて会社を早退したら
N香さん(33歳・会社員)の場合。
「職域接種の前日に、同僚のYさんが『2回目の接種の後は、かなりの確率で副反応が出るらしい。もしかしたら早退しないといけないかもな』と何度も言ってきて、ふーんと思っていたのですが」
そして当日、接種が終わりしばらくすると、Yさんは頭痛と倦怠感をがヒドいと本当に早退していきました。
「他にも数名、副反応で早退していたので、つい私も熱っぽいと嘘をついて早退しちゃったんですよね」
前日からYさんが何度も「早退」と言うので、N香さんはつい早退した時のシミュレーションをしてしまっていたそう。
「そういえば、以前住んでいた街のよく通っていた洋食屋さんが、コロナの影響でもうすぐ閉店になってしまうと聞いたので、最後に懐かしのハンバーグを食べに行きたいなとぼんやり考えていたんですよ」
◆外食していたら同僚とバッタリ
久々の駅に降り立ち、お気に入りの洋食屋さんで注文を済ませると楽しみにしていたハンバーグが運ばれてきました。
「その数年ぶりに食べたハンバーグがすごく美味しくて。最後にもう一度食べる事ができて本当に良かったなと思っていたら…」
すると知っている顔が店内に入ってきたそう。
「ラフな服装だったので一瞬分からなかったのですが、Yさんでした。私がハッとしたら、バッチリ目が合ってしまってとても気まずかったです」
食事を終えると、Yさんに会釈をしてN香さんはお店を出ました。
「Yさんの出現で動揺してしまい、せっかくのハンバーグなのに、途中から味が全く分からなかったですよ。ですが、Yさんと私はおたがい様なので、まだ良かったです。嘘ついて早退なんかするとろくな事がおきませんね」
その後、会社でYさんと会っても一切その話題には触れていないそうです。
続いては、夫に副反応だと嘘をついた妻の話です。
◆夫に副反応だとウソをついたら
「結婚して3年目になる夫(Tさん・37歳・会社員)は、ふだん家の事は全て私に任せっきりで何もしてくれないんですよ」
そんなK美さん(32歳・主婦)は、先日2回目のワクチン接種を終えました。
「Tは職域接種だったので私より10日程前に打ち終わっていたのですが、副反応で38度の熱が出てかなり辛そうだったので、私もおびえて解熱剤やスポーツドリンク、アイスやゼリー飲料など買い揃えておきました」
そして19時を回った頃にTさんが帰宅し、開口一番「副反応は大丈夫?」と聞かれたK美さんは…。
「何だかとっさに『頭痛がするし、身体がダルくて動きたくない』と嘘をついてしまったんです。本当はなんでもなかったのですが」
◆夫が以前より優しくなった気がする
するとTさんが「分かるよ、辛いよね。横になった方がいいよ」と優しく声をかけてくれました。
「やった!と思い、お粥(かゆ)を作ってもらい寝室まで運んでもらったりと甘えてしまいました。そうしたら22時頃から本当に熱が出てきて(笑)ここからは具合の悪い演技をしなくてよくなりました」
嘘をついてしまい申し訳ない気持ちもありましたが、それより夫がちゃんと心配してくれた事が嬉しかったそう。
「それ以来、以前よりもTが優しくなった気がします。たまには弱っている姿を見せるのもいいのかもしれませんね」
<文&イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop