海外に“攻め”のデジタル戦略、Amazon×JETROの越境EC支援の意義

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 アマゾンジャパンと独立行政法人貿易振興機構(以下、JETRO)は、9月28日に越境ECを通じて米国Amazon.co.jpでの販売に取り組む日本企業への支援策を発表。10月6日にAmazon ECサミット2021内で行われたセッションで、JETROの佐々木伸彦理事長が提携の背景と意義を語った。

 今回の支援の肝となるのは、米国Amazon.co.jpの特集ページとして11月に開設する「JAPAN STORE」だ。同ページでは「日本で製造された日本企業の商品」「日本企業および在米日系企業により商品の規格を決定の上、当該商品規格を満たしていることが保証されている海外製造商品」を対象に取り扱い、ジャパンブランドを訴求していく。
 参加プランは無料の基本プランと1000ドル分のスポンサー広告費を付与する4万円のプレミアムプランを用意。中堅・中小企業を対象に募集し、上限は500社を予定している。月額でAmazonに支払う手数料などは別途かかってくるが、単独で展開するよりリーズナブルで、かつ広報や販路拡大でJETROのバックアップを受けることもできるメリットは大きい。
 背景にあるのは、新型コロナがもたらした販売戦略の転換だ。JETROの佐々木伸彦理事長は「当初はやむなくオンラインに頼るしかないという状況だったが、1年経ってみれば輸出量は以前よりも増加するなど、その力は予想以上に大きかった」と想定外の収穫を語る。
 実際に数字をみてみると、2020年の世界のEコマースの市場規模は4兆2800億ドルと5年前の約3倍に拡大。小売市場全体でも2022年には20%に達する見込みだという。一方で日本の中小企業はECに一歩踏み出せていないという状況もある。JETROが実施した調査によると、国内外の販売におけるEC利用率は34.3%と低く、参入にハードルを感じていることが分かった。「EC参入に意欲を示している中小企業の方は多い。われわれで多くの企業が海外市場に打って出るための“船”を用意したい」と佐々木理事長は意欲を示した。
 Amazonと政府機関の協業による米国Amazon.comにおける国単位の特集ページ設置はアジア地域として初の取り組みで、Amazon.co.jpとしても新しい挑戦となる。単に購入ページを設置するだけでなく、電子DMの配信やAmazonビジネスへの同時設置、担当営業による出品サポートなど手厚い支援を予定する。今回の販売支援も米国を皮切りに複数国で展開していく予定だ。
 米国での支援は2023年末までと期限付きだが、その先には支援した企業が独り立ちして越境ECを展開していけるよう育成したいという狙いもある。コロナをきっかけに大きく開かれたEコマースの門戸はアフターコロナにおいても閉まることはない。中小企業にとってECは長期的な戦略として重要性を増していきそうだ。(BCN・大蔵大輔)

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  • 10/7 7:30
  • BCN+R

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