「喜んでほしかっただけなのに…」キレイ好きの女が彼氏のために頑張りすぎたコトとは?

ようやく付き合えた彼から、別れを切り出されてしまった女たち。

「私は別れたくないのに、どうして…?」

彼氏に夢中になる女のなかには、自らの行動で関係を壊してしまう“恋愛クラッシャー”が存在する。

では彼女たちの何が原因で、この恋はクラッシュしてしまったのだろうか?

▶前回:朝6時前。彼氏のスマホに届いた1通のメッセージをキッカケに、烈火のごとく怒りだした女の末路

今回の悩める女子:相馬里菜(33歳・メーカー勤務)


「あのさ…。そこまでしなくてもいいんじゃない?」

私の品川の賃貸マンションで食事をしているとき、付き合って3ヶ月になる立花剛(30)は冷たい口調で話しかけた。言いにくそうな顔をしているけれど、不満があるのは明らかな雰囲気だ。

剛は、久しぶりにできた彼氏。だから、引っ越してきて1年経つこの部屋に、男の人が来るのも剛が初めてなのだ。

普段から整理整頓が好きな私だけれど、特別に気合を入れて隅々まで掃除をしていたのは言うまでもない。

彼だって、そんな私の部屋ではすっかりくつろいだ様子だった。

「仕事が終わったら、行ってもいい?」という、突然の訪問が多い彼のために、冷蔵庫にはパッとつまみを作れるようたくさんの食材を常備している。彼専用のお泊りグッズだって、準備万端だ。

この日も、いつものように簡単な夕飯を用意して彼を待っていたのだが、唐突に否定的なことを言われてしまったのだ。

― 一体どういうこと?

私には、言葉の意味がさっぱり理解できなかった。

剛にくつろいでもらうために、里菜がしたこととは?

私は美人ではないと思う。つい半年前までは、オシャレや美容にも疎く仕事が終われば直帰して1人で読書をして過ごすような毎日を送っていた。

だが、気がつけば33歳。

独身・彼氏なしの同僚たちが婚活に本腰を入れ始めたのを横目に、私もせめて彼氏くらいはと奮起したのだ。メイクの勉強を始め、ヘアスタイルは流行りのくびれミディアムにイメチェンした。

その努力の結果が実ったのか、1ヶ月後に会社の先輩が剛を紹介してくれたのだ。

元柔道部員だという彼は、30歳になる今でもがっしりしていて男らしく、スーツの襟元から覗く首まわりの筋肉にドキッとさせられた。

体育会系の学生時代の名残なのか、声が大きく、細かなことを気にしないところは私とは正反対だけれど、そこも魅力的に映ったのだ。

一方、彼から見た私の印象は「いつも鞄の中が整頓されている几帳面な人」らしいが、そこがよかったようだ。出会ってから1ヶ月後に告白されたときに、面白い人だなと思ってOKした。


「今度、里菜の部屋に行ってもいい?」

彼からそう言われたのは、3度目のデートのとき。

何年かぶりのおうちデートにテンションが上がり、気合を入れて部屋の隅々まで掃除した。生活感のあるものを徹底的に隠すと、2LDKのいつもの部屋がまるでホテルの一室のようにシンプルになった。

― うーん、何か殺風景かな?

でも、散らかっていて恥ずかしいものを見られるよりはずっといい。仕事を終え、部屋にやって来た剛はぐるりと見回してこう言った。

「へえー、すごくキレイにしてるんだね!掃除、得意なんだ?」

「そんなことないよ!今日は剛が来るから頑張っただけ」

お酒とつまみをテーブルに並べ、ソファに座って一緒に映画を観る。そのままいい雰囲気になると、彼は私の部屋に泊まっていった。

翌朝。洗面所にいる剛が困ったような声を出した。

「ねえ、予備の歯ブラシってある?」

「ごめん、ないかも。買ってこようか?」

「ううん、こっちこそごめん。会社に行く途中で買うから大丈夫だよ」

― そっか、歯ブラシね。買っておけばよかった…。

それに、前日の靴下を翌日も身に着けているのも気になる。そこで私は、考えをめぐらせある行動に出たのだ。



数日後。

「え、歯ブラシとか用意してくれたんだ?気が利くね!何かさ、里菜の部屋に来ると落ち着くよ」

剛は何げなくこう言ったけれど、私は彼がこの部屋でくつろげるように入念な準備をしている。歯ブラシもそうだし、男性用のボディーソープや靴下、パジャマなんかもあるといいだろうと思って買っておいた。

剛も「助かるよ、ありがとう!」と言ってくれた。

― よかった、喜んでくれて。そうしたら、あとは料理かな…。

こうして、私はアメニティーグッズにとどまらず、料理でも剛をもてなそうと努力を始めたのだった。

剛をもてなし続けた里菜の行く末は…?

「今日は、剛が好きなカニクリームコロッケにしたよ!」

「うわー美味しそうだね!いただきます」

ビールをグラスに注ぎながら剛の反応をうかがうと、ものすごく嬉しそうな顔をしてパクパクと食べていた。いつもたくさん食べてお酒も飲む彼は、料理の作り甲斐があっていい。

「あっ!ちょっと待って」

ビールグラスから垂れる水滴がテーブルを濡らし、剛のシャツの腕のあたりがグッショリと湿っていた。その水滴をタオルで拭くのだけれど、もともと細かなことが気にならない性格の剛は、何度も同じことを繰り返すので余計に気になった。

揚げ句の果てには、コロッケのソースが袖にべっとりとついていた。

― 洗って、アイロンをかけておけば大丈夫かな。

そして翌朝。ピシッと畳まれたシャツを見た剛はどこか申し訳なさそうに「いつもごめんね」と言ったのだった。



問題は、その次に泊まりに来たときに起こった。

例のごとく、アメニティーグッズと料理でもてなしの準備は完璧。だが、どういうわけか彼の箸の進みが遅い。

それを気にしながら、テーブルの汚れを拭き取ったりお酒を冷蔵庫から取り出したりと、せわしなく動く私にこんな言葉が飛んできた。

「あのさ…。そこまでしなくてもいいんじゃない?」

剛の表情は沈んでいる。声もどこか冷たい。

「そこまでって?」

ただならぬ雰囲気に、思わず眉間にシワを寄せてしまった。すると、私の態度にカチンときたのか剛の口調が強まる。

「何かさ、この部屋にいると緊張するんだよね。休まらないっていうか」

― は?ちょっと待ってよ、私は剛のために…。

そう言いかけて剛を見ると、ベッドの上に畳んでおいたパジャマを眺めながら、ため息をついている。

いろいろとやってもらっておいてそれはないだろうと、剛の言動が身勝手に思えた私は、持っていたタオルを勢いよく床に投げつけた。

「ごちそうさま。今日は帰るよ!里菜もちょっとゆっくり休んで」

驚いた顔でこっちを見た剛は、そそくさと玄関に向かう。そして、彼が私の部屋に来たのは、これが最後となってしまった。

連絡をしても、どこかよそよそしく避けられているように感じる。

私の何がいけなかったのだろう…。あんなに頑張ったのに。

立花剛(30歳・IT関連会社勤務)が考えていたこと


学生時代、柔道をしていたときに親しくなった先輩から「紹介したい人がいる」と言われた。

ちょうど彼女が欲しいと思っていたので、すぐに場を設けてもらうことに。そこには派手なタイプではないのだけれど、パッと目を引く里菜がいたのだ。

― 整ってるなあ!

というのも、着ている服や靴、チラリと覗く鞄の中身がキレイに保たれていたのだ。どちらかというとがさつで大ざっぱな僕は、それだけで彼女のことが気になり始めた。

そして、里菜は僕の思ったとおりの人だった。初めて部屋にあがったときは、あまりのきれいさにびっくりした。細かなことにもよく気がつく。

― 清潔感があるし、この部屋って落ち着くよなあ。

そんなふうに感心すると次に泊まったときに、歯ブラシやボディーソープ、靴下、パジャマまで出てくるようになったのだ。

これにはさすがに少し身構えたけれど、ここまではまだよかった。僕が過ごしやすいように、いろいろと気を使ってくれているんだろうと感謝していた。

だが、彼女の気遣いがどんどんエスカレートしていくと同時に、僕は居心地の悪さを覚えていったのだった。



ある日の夜。

カニクリームコロッケを食べていると、ビールのグラスから垂れた水滴を彼女がしきりに気にし始めたのだ。袖口にソースをうっかりつけてしまうと、ここでもまた彼女の目が光る。

― 何だかじっくり見られすぎていて、食べた気がしないんだよ…。

せわしなく動きまわる彼女が視界に入ると、こっちまで落ち着かない気持ちになった。

翌朝、洗濯とアイロンが済んだシャツが畳んで置いてあったとき、僕はこう思ってしまった。

― …これは、まるで旅館のおもてなしだ!

聞こえはいいかもしれないが、彼女がここまでもてなしばかりしてくると、逆にしんどくなってしまった。“してもらっている感”ばかりが強くなり、変に気を使うし、何をするにも監視されているようで緊張するのだ。

そんな僕の気持ちとは裏腹に、次に会ったときも彼女はリビングとキッチンを行ったり来たり、せわしなく動いていて一緒に食事を楽しむどころではなかった。

ただ、2人でゆっくり過ごせるだけでいいのに。

「あのさ…。そこまでしなくてもいいんじゃない?」

「ちょっとは休んだら?」という意味で、僕は言った。だが、里菜は眉間にシワを寄せて怪訝そうな顔をした。だから、僕もついカッとなって本音をこぼしてしまったのだ。

問題は、そのあとだ。彼女は手に持っていたタオルを強く床に投げつけた。

― 怖っ!え、里菜ってこんなふうに怒るタイプだったの?

少し冷静になるべきだと逃げるように自宅に帰った僕だが、最後の光景が目に焼き付いて離れない。そのせいで、しばらくたっても彼女に会う気になれないでいる。LINEでのやり取りも、早々に切り上げたいくらいだ。

あんなふうに感情が爆発するなんて。彼女は、僕との付き合いで相当無理をしていたのだろうか…。


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