ホンダがオンラインで新車販売!「ああ、販売店の値引き文化が消えるのか?」担当者に聞いた(2)

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ホンダが国内の自動車大手では初めて、新車販売をすべてオンラインだけで受け付けるサービスを始めた。日産自動車など、ほかのメーカーにも追随する動きがあるという。

ああ、あの新車を試乗してハンドルを握った時のワクワク感! そして販売店のディーラーと値引き交渉をして、端数の数万円をまけさせた時の快感!

そんな新車購入時の「お約束文化」はもう過去のものになるのだろうか――。ホンダの担当者に聞いた。

「若者にとってクルマ購入は家賃や携帯料金と同じ」

引き続き、J-CASTニュース会社ウォッチ編集部が、ホンダ本社広報部の担当者に聞いた。

――オンライン販売について、特に強調しておきたいことはありますか。

広報担当者「『オンラインでクルマを買うのは抵抗がある』『値引き交渉がしにくい』という声をよく聞きます。しかし、そういう見方は世代によって違うと思います。若い人にとって、クルマの購入費を月額支払いにするということは、家賃や携帯電話料金と同じなのです。そういう感覚でクルマに乗りたいようです。
従来のように、販売店で値引きしてもらって一括購入しても、5月頃に自動車税、2年ごとに車検代と、十数万円が突発的にかかってきます。そういう不安定な支払いが続くより、サブスクリプションで月額払いにすると、税や車検代がコミコミですから、支払いがフラットになります。若い人にとって家計のやりくりが楽になるというメリットがあるのです」

今回のホンダの「オンライン販売」についてインターネット上では、日本の自動車業界の大きな変革の一つになるという意見が多い。ヤフコメでは専門家たちの間で、こんな指摘があがっている。

自動車ライターの平塚直樹さんはこう指摘した。

「ホンダの発表によると、まずは、トヨタのKINTO(編集部注:トヨタが2019年に始めたサブスクリプションによるトヨタ車の利用システム)のようなサブスクリプションから開始し、順次ほかの販売方法も取り入れていくとあります。また、提供エリアも、当初は東京都内在住かつ、東京都の84拠点ある販売店『Honda Cars』に納車やメンテナンスで来店できるユーザーに限定し、順次エリアを広げていくとのことです。
国内で自動車メーカーのオンライン販売は、トヨタが認定中古車のネット販売は行っていますが、新車では販売拠点が実質的に全国で4か所しかないテスラのみ。ホンダの場合は、すでにある全国の販売網をいかに活用しながら、サブスクリプション以外の販売も含め、日本にオンライン販売を定着させることができるのかが注目されます」

モータージャーナリストの藤島知子さんは、こう期待する。

「輸入車など、一部の車種でオンライン販売を行うケースは日本でもすでに存在している。購入する側がある程度の情報を入手し、自分好みの仕様をホームページ上でシミュレーションを行い、注文に至る過程でロスを減らせるという点では、現場・現物への投資を抑え、そのぶん、ユーザーが何らかのサービスを享受できる可能性もあるだろう。
一方で、クルマという工業製品は、現物に触れてみて、視界感覚や操作感を確かめないとメリットやデメリットがわかりづらい。五感で感じる要素が購入するか否かを左右するとすれば、そのクルマの魅力に触れる拠点や方法を設けることが求められるだろう。コロナ禍においては、オンライン商談などの仕組みも発達し、子育て中の母親など、苦労して店舗に足を運ぶことなく商談ができるメリットも得られている。オンラインだから実現する新しい提案に期待したい」

販売ディーラーの生き残りをかけた大転換は?

日本総合研究所調査部マクロ経済研究センター所長の石川智久さんは、こう説明する。

「数年前、とある自動車メーカーのディーラーから相談されたことを思い出します。クルマがオンラインで購入された時代のカーディーラー網はどうしたらよいかというもの。その時はまだ先のように思えましたが、意外と早くやってきたというのが素直な感想です。もちろん、車は修理や点検があるので販売店は必要ですが、今の数でよいのか議論が分かれるところです。
一方でカーディーラーは幹線通り沿いのクルマで行きやすいところに構えており、その特性を活かして新しいビジネスを行えばチャンスがあるとも言えます。ネット販売とディーラー販売をどう棲み分けしていくのか、カーディーラー網を使ってどう新しいビジネスを作っていくのか、今後が注目されます」

経営コラムニストの横山信弘さんも、販売ディーラーの存続に思いをはせた。

「全国に存在する販売ディーラーの存続にかかわる話だ。携帯電話の販売店も激減した。『クルマだからリアルで確認しないと』という考え方はゼロにはならないが減っていくと考えると、クルマの販売チャネルも時代の変化とともに変遷していくということだ。総務省の『令和元年労働力調査年報』には、『販売従事者』の70%は職を失う可能性があると記されている。つまり、お客様の高度な問題解決に関わる提案ができない販売員は、オンライン化の波に押し流されていくということだ。地域密着型の販売ディーラーは生き残りをかけてビジネスモデルそのものの転換を迫られている」

(福田和郎)

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  • 10/5 19:45
  • J-CAST

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