夫のがん発覚後、治療法に迷う日々…“がんが治る水”に宗教の勧誘まで

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 筆跡アナリストで心理カウンセラーの関由佳です。夫のがんが発覚したのは、2017年の3月。それまではがん治療のことを真剣に考える機会など、一度もありませんでした。

 当事者になってがん治療について調べてみると、病院で提案される標準治療、保険適用外の先進医療や医学的に未知数の民間療法……などなど、根拠のあるものからないものまで、ありとあらゆる治療法があることに驚きました。

 何が正しくてどれを選べばいいのかわからず、途方に暮れたのを覚えています。

◆“がんが治る水”に宗教の勧誘まで

 夫ががんになった、という話はあまり多くの人には話していませんでしたが、夫の仕事の関係者などには伝える必要があるため、身近な人たちには知られていました。

 私の家族を含め、心配してくれる人々がたくさんいる一方で、「がんが治る水」や漢方薬、サプリメントなどのまことしやかな治療法を紹介されたり、説法が入ったCDや本などを渡されて、宗教に勧誘されたりすることも。ただでさえ治療法の選択に悩んでいるときなので、平常時のような冷静さを保てないところもあり、「怪しい」と思いつつも、つい話を聞いてしまうこともありました。

◆どんな治療も正解はない!

 幸い、私たちは悪徳商法などにだまされることはありませんでしたが、がん治療中は「藁にもすがりたい」というのが本音。本人も家族も、死の不安や恐怖で、思っている以上に心が不安定になってしまいます。

 進行がんで手術不可能だった夫は、結果的に、主治医が提案する標準治療に従って抗がん剤治療を進めていきました。とどのつまり、標準治療だとしても正解は医師にもわかりません。夫の知人に「がん治療はファーストライン(手術が不可能のがんに対する最初の抗がん剤治療)が勝負」と言われたことがありましたが、もはや薬選びは博打に近いレベル。ある程度、さまざまな数値で適している抗がん剤を見出すことはできますが、投与してみないと本当の結果は読めないのです

 つまり、標準治療も怪しい治療も、正解は誰にもわからないということ。ということは、選ぶ基準は正しさではなく、本人が納得できているかどうかが重要になるのです。

◆本人が納得して選んだ治療を行う

 抗がん剤を変えようと主治医に提案されるたびに、私は夫に「本当にそれでいい? 納得してる?」と確認していました。

 医師に指示されるままうなずいていたら、もし薬が合わなかったり副作用がひどかったりしたときに、当てどころのない怒りや後悔を感じてしまいそうだったから。リスクを含めて自分が納得して選んだ治療なら、つらいことも乗り越えようと考えられるのではないか、と思ったのです

 今となっては、夫が選んだ治療法が本当に合っていたのかどうか、正直わかりません。もしかしたら治療しない方が長生きしたかもしれませんし、当たる民間療法があった可能性だってあります。でも夫が納得して選んだ治療だったので、私に後悔はありません。そういう意味では正解だったかなと思っています。

◆人生の選択も判断基準は「納得しているかどうか」

 この経験から、がんの治療も人生の選択も、考え方は同じだと思うようになりました。学校を選ぶとき、会社を選ぶとき、恋人を選ぶとき……どれもやってみないと正解はわかりません。選ぶ基準は「正解かどうか」ではなく「自分が納得しているかどうか」しかないのです。

◆治療の選択でその後の生き様も左右する

 つい先日、ある年上の方ががんで急逝し、また大切な人がこの世からいなくなってしまったのですが、その方はがん発覚後、治療をしないという選択をしました。

  私は少しでも長く生きられるなら治療も選択肢に入れてほしい、と考えてしまったのですが、「もう少し若かったら障がいを負ってでも完治を目指したいけれど、年を取った今はQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を重視したい」と言われ、もうこの選択に納得されているのだな、と理解しました。その言い方は清々しく、素直に「応援しよう」と思えました。

 もちろん、選ぶにあたりいっぱい悩み考え、涙もたくさん流すはずです。やはり、納得に至るまでの時間には、苦しみを伴うもの。ですがこの期間は、人生と真剣に対峙する大切な時間。この時間とどれだけ真摯に向き合えるかが、その後の自分の生き様を左右すると思うのです。

◆正解がない=不正解もない

 夫の最期のときは、がんの末期症状でちゃんとした気持ちを言葉で聞けませんでしたが、いつでも彼の選択に迷いを感じたことはありませんでした。きっと自分で納得して選んでいたから、生きることにも自信を持てたのだろうと思います。もし重要な選択に迫られたとしても、しっかり悩んで納得して選択すれば、自信を持てる生き方ができるはず。正解がないということは、不正解もないのですから。

―シリーズ「私と夫の1063日」―

<文/関由佳>

【関由佳】
筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。Twitter/ブログ

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この記事のみんなのコメント

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  • 病気を治すのは医療行為(投薬とか手術とか)のみ! 医師が処方したワケでもない『癌が治る水』や『宗教行為』で治ったらこの世に医者なんていねぇわ(-_-#)

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