【今週のおすすめBOOK】秋の夜長に読みたくなる3冊
あちこちで秋の訪れを感じるこの頃。ちょっと感傷的な気分に浸りたいな、なんて思うことはありませんか?そんなときは文学に触れて、感性豊かに過ごす時間を楽しんでみて。
千早茜「透明な夜の香り 」
天才的な嗅覚をもつ調香師とそこで働くアルバイトの女性を中心とした、「香り」にまつわるドラマチックな世界。気鋭の女流作家が紡ぎだす言葉によって、香りのありようが伝わってくる一冊。
https://city.living.jp/osaka/l-osaka/1222829
■おすすめしてくれた人
永山裕美さん(梅田 蔦屋書店 文学コンシェルジュ)
香りがもたらす、いくつもの記憶はその人が生きた軌跡そのもの。それぞれに歪みを抱えた朔と一香が、新たな関係性をゆっくりと築いていく姿にも心を打たれます。静かな中にも美しさを秘めた官能的な文体を、ぜひ味わってみてください。
「ちくま文学の森 1 美しい恋の物語」
安野光雅、森毅、井上ひさし、池内紀ら4人の識者が〝ほんとうに面白い話〟だけをセレクトした「ちくま文学の森」の文庫版。今回のテーマは、〝恋の痛みに効く〟。島崎藤村の「初恋」や、菊池寛の「藤十郎の恋」、バルザックの「ことづけ」など、小説やエッセイ、紀行、戯曲、浪曲などが1冊にまとめられた特別な短編集。
https://city.living.jp/osaka/l-osaka/1239398
■おすすめしてくれた人
本は人生のおやつです 店主・坂上友紀さん
目次だけを見ると一見難しそうな作品が集まっているようですが、実は、初めて読む人にも読みやすい話ばかりが入っているんです。昔の作品ながら、男性同士の恋の話なんかもあって、なかなか興味深い。難しく考えず、好きな作家や気になる作品から読んでみると、思わぬ発見があるかも。
米原万里「オリガ・モリソヴナの反語法」
ロシア語通訳やエッセイストとしても活躍していた米原万里による、初の長編小説。1960年代のチェコ・プラハが舞台。「反語法」と呼ばれる独特の言葉遣いで、主人公の日本人留学生が通う学校で人気を集めていた、舞踊教師のオリガ・オリソヴナ。物語では大人になった主人公が、ソ連崩壊直後のモスクワでかつての同級生や関係者に会いながら、オリガの秘められた謎の真相にたどり着くまでが描かれる。
https://city.living.jp/osaka/l-osaka/1256997
■おすすめしてくれた人
本は人生のおやつです 店主・坂上友紀さん
著者は、父親の仕事の関係で幼少期、チェコスロバキアで育ちました。国連で同時通訳をしていたこともあって、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実 』など、自身の身の上を綴ったエッセイでもよく知られています。そんな彼女の初の長編小説はミステリーの要素もあり、文章も巧みで引き込まれます。
*春里*【瓢箪鯰】
10/8 18:24
櫛木理宇【ぬるくゆるやかに流れる黒い川】 山田詠美【つみびと】